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29幸せ過ぎると怖い
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式の日取りが決まった。イスベルクの誕生日に合わせるらしい。
「それいいね!おめでとうが二倍になるじゃん」
「はは。おめでとうが二倍か。いいなそういうの」
「うん」
イスベルクが嬉しそうだ。くすぐったい気持ちでいっぱいになる。
「こほん。報告が終わりましたら公務にお戻りください」
おっとグラソンもいたのか。忙しいもんね。名残惜しそうなイスベルクにまた後でねと離れようとすると抱きしめられた。頬から鼻の先。唇と順にキスをされる。グラソンが居るのに恥ずかしい。
「ルミエールから癒しをもらわないと仕事をしたくなくなる」
「……はあ。さようですか」
グラソン。ユージナルみたいな白目をむかないでくれよ。
「ほ、ほら。グラソンが待ってるよ。仕事をしてるイスベルクはカッコイイよ」
「そうか?わかった。早めに終わらせる」
あれから夜は一緒に寝床を共にしている。だけどオレの身体の事を想ってくれて体を慣らすのは一日おきにしてくれている。でもなかなかイスベルクのモノが大きすぎて進まない。イスベルク自身もオレを壊しそうで怖いと無理には入れてこない。オレはかなり健康になった。なったが元がひ弱すぎたのでやっぱりもっと鍛えないといけないのだ。いや、言い訳だな。実を言うとちょっとオレも怖い。いまでこんなに気持ちイイのにもっと気持ちよくなってしまったらどうなっちゃうんだろうって。そう思うと最後の一歩が踏み出せないんだ……。イスベルクは最後までシない日でも離れたくないと朝まで一緒に居てくれる。たわいのない話をして一緒にベットで微睡むのも幸せだ。幸せ過ぎて怖い。贅沢な悩みだとは思う。オレでいいのかなって思っちゃうよ。
皇后ネージュ様からはイスベルクは陛下にそっくりだから執着も強いはずと言われていた。覚悟はできていたが、人前でキスとかハグをされるのは恥ずかしい。でも嫌じゃないと感じている自分自身にも戸惑う。オレってチョロいのかな?初めて会った瞬間からイスベルクが気になっていた。それは母様と同じ銀髪のせいかと思っていたけれど違ったようだ。まるでずっと以前から探していたものに巡り合えたような感覚がする。イスベルクには番だからだと言われた。魂の片割れのような存在だと。そうか。そうなのか……。
◇◆◇
「ルミエール!探したわよ~」
キャンベルがドドドっと走りこんでくる。シーヴルがスッと間に入り抱きつかれるのを阻止した。
「もう。邪魔しないでよってシーヴルさんじゃないの?ルミエールについてるの?」
「はい。私はルミエール様付きの侍従兼護衛でございます」
「ふ~ん。陛下の侍従である貴方がねえ」
「え?じゃあシーヴルって陛下の……」
「今はルミエール様の侍従です」
「そっか。陛下が僕の為に自分の侍従をつけてくださったのか」
「でも主は陛下なんでしょ?護衛兼見張りってとこなんじゃないの?」
「…………」
そうなのか。陛下は何か思うところがあるのだな。シーヴルが強いのはわかっている。魔法属性がわかってからは護身術だけじゃなく魔力の使い方も教えてもらっている。頼れる師匠のような存在だ。
「それよりキャンベルは僕に用があったんじゃないの?」
「あら、そうそう!婚礼衣装の試着をお願いしたいの!」
「ありがとう!」
「ピンクにしようか迷ったんだけどやっぱり白よね!」
シルクのような肌触りのブラウスに真っ白な変形タキシード。左右アシメントリ―なデザインだ。裾広がりのパンタロン式のズボンには裾にスリットが入っている。歩くと足首がちらちら見える。
「むふふ。ルミエールの美脚をちょっぴり皆にも魅せてあげなきゃと思ってね」
「なんかファッションショーみたいだよ」
「あら?それなに?ファッションって服のショー?いいわねそれ!今度やりましょう!」
貴方も手伝ってねとウィンクされる。う~言わなきゃよかった。
「イスベルクはどんな式服なの?」
「そりゃあもう特注の軍服よ!」
おお!軍服!かっこいいもんね。楽しみだなあ。
「うふふ。よかったわ。嬉しそうで。本当はちょっと心配していたのよ。イスベルク様が溺愛してるみたいなのはすぐに分かったけど、ルミエール自体はどうなのかなって。皇太子からせまられたら嫌とは言えないでしょ?無理してないかと思ってたのよ」
「無理なんかしてません。確かに戸惑ってるところはあるけれど……好きなので」
「きゃああ。いいわねいいわね!そうでなきゃ。腕を振るうわね!」
「ありがとうございます」
くわ~。恥ずかしいっ。でも、好きって言えるようになったんだなオレ。
「そうそう。当日は占い師も来るらしいわよ」
「占い師?」
「ええ。よく当たるっていう人と全然当たらないって言う人がいるんだけどね。まあ気休めだから。吉凶占いらしいわよ」
ん?イスベルクが炎の国に来ることになった占いの事かな?
「なんでもミコトって玄武の子孫らしいわよ。長生きする種族みたいだわね」
「へえ。そうなんだ……」
ん?玄武の国の子孫?占い師?なんか聞いたことがあるような?そうだ……小説の中のひとつに玄武のわがまま姫の話が載っていた。
「それいいね!おめでとうが二倍になるじゃん」
「はは。おめでとうが二倍か。いいなそういうの」
「うん」
イスベルクが嬉しそうだ。くすぐったい気持ちでいっぱいになる。
「こほん。報告が終わりましたら公務にお戻りください」
おっとグラソンもいたのか。忙しいもんね。名残惜しそうなイスベルクにまた後でねと離れようとすると抱きしめられた。頬から鼻の先。唇と順にキスをされる。グラソンが居るのに恥ずかしい。
「ルミエールから癒しをもらわないと仕事をしたくなくなる」
「……はあ。さようですか」
グラソン。ユージナルみたいな白目をむかないでくれよ。
「ほ、ほら。グラソンが待ってるよ。仕事をしてるイスベルクはカッコイイよ」
「そうか?わかった。早めに終わらせる」
あれから夜は一緒に寝床を共にしている。だけどオレの身体の事を想ってくれて体を慣らすのは一日おきにしてくれている。でもなかなかイスベルクのモノが大きすぎて進まない。イスベルク自身もオレを壊しそうで怖いと無理には入れてこない。オレはかなり健康になった。なったが元がひ弱すぎたのでやっぱりもっと鍛えないといけないのだ。いや、言い訳だな。実を言うとちょっとオレも怖い。いまでこんなに気持ちイイのにもっと気持ちよくなってしまったらどうなっちゃうんだろうって。そう思うと最後の一歩が踏み出せないんだ……。イスベルクは最後までシない日でも離れたくないと朝まで一緒に居てくれる。たわいのない話をして一緒にベットで微睡むのも幸せだ。幸せ過ぎて怖い。贅沢な悩みだとは思う。オレでいいのかなって思っちゃうよ。
皇后ネージュ様からはイスベルクは陛下にそっくりだから執着も強いはずと言われていた。覚悟はできていたが、人前でキスとかハグをされるのは恥ずかしい。でも嫌じゃないと感じている自分自身にも戸惑う。オレってチョロいのかな?初めて会った瞬間からイスベルクが気になっていた。それは母様と同じ銀髪のせいかと思っていたけれど違ったようだ。まるでずっと以前から探していたものに巡り合えたような感覚がする。イスベルクには番だからだと言われた。魂の片割れのような存在だと。そうか。そうなのか……。
◇◆◇
「ルミエール!探したわよ~」
キャンベルがドドドっと走りこんでくる。シーヴルがスッと間に入り抱きつかれるのを阻止した。
「もう。邪魔しないでよってシーヴルさんじゃないの?ルミエールについてるの?」
「はい。私はルミエール様付きの侍従兼護衛でございます」
「ふ~ん。陛下の侍従である貴方がねえ」
「え?じゃあシーヴルって陛下の……」
「今はルミエール様の侍従です」
「そっか。陛下が僕の為に自分の侍従をつけてくださったのか」
「でも主は陛下なんでしょ?護衛兼見張りってとこなんじゃないの?」
「…………」
そうなのか。陛下は何か思うところがあるのだな。シーヴルが強いのはわかっている。魔法属性がわかってからは護身術だけじゃなく魔力の使い方も教えてもらっている。頼れる師匠のような存在だ。
「それよりキャンベルは僕に用があったんじゃないの?」
「あら、そうそう!婚礼衣装の試着をお願いしたいの!」
「ありがとう!」
「ピンクにしようか迷ったんだけどやっぱり白よね!」
シルクのような肌触りのブラウスに真っ白な変形タキシード。左右アシメントリ―なデザインだ。裾広がりのパンタロン式のズボンには裾にスリットが入っている。歩くと足首がちらちら見える。
「むふふ。ルミエールの美脚をちょっぴり皆にも魅せてあげなきゃと思ってね」
「なんかファッションショーみたいだよ」
「あら?それなに?ファッションって服のショー?いいわねそれ!今度やりましょう!」
貴方も手伝ってねとウィンクされる。う~言わなきゃよかった。
「イスベルクはどんな式服なの?」
「そりゃあもう特注の軍服よ!」
おお!軍服!かっこいいもんね。楽しみだなあ。
「うふふ。よかったわ。嬉しそうで。本当はちょっと心配していたのよ。イスベルク様が溺愛してるみたいなのはすぐに分かったけど、ルミエール自体はどうなのかなって。皇太子からせまられたら嫌とは言えないでしょ?無理してないかと思ってたのよ」
「無理なんかしてません。確かに戸惑ってるところはあるけれど……好きなので」
「きゃああ。いいわねいいわね!そうでなきゃ。腕を振るうわね!」
「ありがとうございます」
くわ~。恥ずかしいっ。でも、好きって言えるようになったんだなオレ。
「そうそう。当日は占い師も来るらしいわよ」
「占い師?」
「ええ。よく当たるっていう人と全然当たらないって言う人がいるんだけどね。まあ気休めだから。吉凶占いらしいわよ」
ん?イスベルクが炎の国に来ることになった占いの事かな?
「なんでもミコトって玄武の子孫らしいわよ。長生きする種族みたいだわね」
「へえ。そうなんだ……」
ん?玄武の国の子孫?占い師?なんか聞いたことがあるような?そうだ……小説の中のひとつに玄武のわがまま姫の話が載っていた。
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