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22皇后と対面

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 皇后さまは城の最奥の厳重に警戒されている扉の奥にいた。綺麗な長い銀髪の持ち主でどことなくイスベルクにも似ている。にこにこ嬉しそうにされていた。
「母上にはご機嫌うるわしゅう……」
「もぉ、そんな難しい挨拶なんていらないでしょ。もっと近くで顔を見せて頂戴」
 イスベルクが近づくと見つめる目が潤んでいくのが分かる。きらきらしてとても澄んだ瞳だった。
「こんなに大きくなって……」
「もうじき20歳になります」
 イスベルクが苦笑している。本当に久しぶりに会ったのだろうな。王族って大変だな。
「……そう。もうそんな年齢なのね。成人の儀の話はすでに聞いたのね?」
「はい。先日」
 なんだろ?成人の儀って?小説に載ってない設定がなにかあるのだろうか?
「……貴方の運命は貴方のものよ。私たちは見守るだけ」
「わかっております」

「……ごめんなさいね待たせてしまって」
 ふいに話をふられて焦った。オレの事も気にしてくれていたんだな。
「はじめまして。私はイスベルクの母のネージュよ」
「お初にお目にかかります。僕はルミエールと言います」
「ウフフ。とってもかわいい子ね。それになんだか私の親友に似ているわ」
「親友ですか?……母は北の生まれだったと聞きます。マリアージュと言うのですが」
「うそ!マリアージュの息子なの?ああ。マリアージュは元気にしているの?」
「数年前に他界しました。母をご存じなのですか?」
 ルミエールの母親の友人なのか?北の国だからもしやゆかりのある人に会えるかとは思ったけど。
「っ……そう、他界してしまっていたのね。会いたかったわ。マリアージュは私の友人だったの。……でも嬉しいわ親友の子が息子の元に来てくれて」
「そうだったのか。やはりルミエールとは縁があったのだな」
 イスベルクがオレの手を取って口づけてきた。ひゃあ。や~めて~。恥ずかしいっ。
「あらあらあら。まあ、イスベルクったらイゴールそっくりね!」
「え?俺が父上と?」
 うっわ。嫌そうな顔。
「あの人ったら今でも私に同じような事するのよ。あたりかまわず抱き寄せては膝の上に乗せるし」
「ぶ!ぐははっ……膝の上……」
 ありゃ。そっくりだわ。思わずって感じで壁になっていたユージナルが吹き出している。笑っちゃうよね。
「まあ。笑顔が本当にマリアージュにそっくり。さあこちらに来て私の手を取って頂戴」
 
 おずおずと手を差し出すと握った場所から暖かい気が流れ込んできた。
「……っ」
「しっ。大丈夫よ。貴方の属性を調べているだけだから」
 ゆっくりと暖かい気が全身を駆け巡る。心地よい。穏やかな気の流れだった。
「聖なるチカラが強いわ。治癒力に長けている。あとは雷。風。うふふ。貴方妖精と何か契約したのね?妖精の加護がついているわよ。そのため樹木も自由に操れるわ。凄いわね。」
「妖精の加護?」
 そういえば春の街でマカロンをあげたっけ?そのせいなのか?
「凄いな。まさにルミエールは妖精のようだからな」
 いや、イスベルク。それは言いすぎ。恥ずかしいから心の中で突っ込んどくよ。
「残念ながら炎とは相性が悪いみたいね。その髪の色からして炎属性はほとんど受け継いでないみたい」
「そのほうがいいんです。僕はずっとイスベルクと共に居たい。反発する属性でないほうが良いんです」
 この小説の中では氷と炎は反発する属性だった。

「まあまあまあ!そうなのね!素敵だわ!純愛なのね!」
 イスベルクが真っ赤だ。あれ?なんかオレ変な事言ったっけ?
「え?え?あの……えっと」
「ふふふ。イゴールに婚約式を早める様に催促するわね!」
 ネージュ様は茶目っ気たっぷりに笑った。

「母上~」
 頃合いを見計らったように男の子が走ってきた。まるでイスベルクのミニチュア版だ。可愛い!
「あっ……兄上?」
 男の子がそのままその場で固まってしまう。
「ああ。元気でいるか?」
「はいっ!」
「フロワ様っ。ダメですよ。謁見中ですってば」
 侍従の方が後から追いかけてきて男の子を捕まえる。
「イスベルクの弟なの?」
「ああ。フロワというのだ」

「こんにちは。ルミエールと言います。はじめまして」
「フロワです!7歳です」
「もうそんな時間だったのね?」
「はい。父上に母上を迎いに行くようにと言われました」
「はあ……あの人ったら!もう心配性なのだから。ごめんなさいね。このくらいで倒れることもないのに」
「あ、あの。今日はありがとうございました!」
「いえいえ。いいのよ。そうだ。今度は一人で来てくれない?私マリアージュの話が聞きたいわ」
「え?僕一人でですか?」
 オレはイスベルクを見た。オレだけって?いいのかな?
「……ルミエールがいいのなら。行ってやってくれるか?」
「うん。わかった」
 



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