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28)KISS*
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安心しきった顔ですぐにウトウトと眠りに入ったようだった。それだけ信頼されているという事か。俺は悪い大人なんだぞ。気を付けた方が良いのに。まつげが長いな。頬を撫でると気持ちよさそうだ。
可愛いな。腕の中に閉じ込めてしまいそうになる。指先でぷっくらした唇を撫でる。少しかさついているのは緊張していたからか?湿らせてやった方が良いだろうか?
体がだるいと言っていたな。充分に休息すればじきに魔力はもどるだろうが。念のため補充しておいた方が良いだろうな。顎を少し上に向かせると愛らしい唇が薄く開く。赤い舌が見える。
無防備すぎる。迷いなくその唇に吸い付くと少しずつ俺の魔力を流し込んでいく。ゆっくりと驚かさない様に。
俺とイブキの魔力の相性は良い。相性が悪いと譲渡するときに痛みさえ伴うらしい。与える側もこんなに気持ちが良いなら受ける側も良いものだと思いたい。
少し甘噛みして柔らかな唇を堪能しているとふいにイブの身体が強張った。
「……っ!……」
ヤバい。やり過ぎたか。至近距離で大きな瞳が見開かれていた。
「……ぁ……シ……ド?」
みるみる真っ赤に染まっていく。顔全体が赤くなるなんて。どれだけ初心なんだ?
「なにを?……ぁ……ぁの」
「……俺の魔力を分け与えていたのだ」
咄嗟に出る言葉はろくなもんじゃねえな。他に言い方があっただろうに。
「ま、魔力?あ……あの」
「以前、魔力枯渇症になっただろう?予防のために俺の魔力を少しづつ与えていた」
「そ、そうだったんですね」
眼をそらし俺と視線をあわせないまま、姿勢を正して俺から距離を取ってしまった。警戒させてしまったか?
「驚くほどの事ではないぞ。寝込んでいた時は毎日やっていたことだからな」
「まっ!毎日?そ、それは僕の……く、くちに?」
「そうだ。魔力は対象者に手を触れるだけでも渡せるが、確実に分け与える為には粘膜譲渡が一番効率的なのだ。イブは異世界から来たしこの世界の方法でどこまで渡せるかわからなかったからな。確実な方法を選んだ」
この言葉に嘘はない。それだけ助けたいと思っていたし、この唇に触れたいとも思っていたからだ。
「そ……うなんですね……」
なんだ?機嫌が悪くなった?何か怒らせるような事を言ったのか?
「イブ?そんなに嫌だったのか?」
俺は嫌われてはいないはずだと思っていたが。うぬぼれていたのか?
「そうじゃないです。……ファーストキスだったので。ちょっとびっくりしただけです」
「ファーストキス?」
「そうです」
「20歳だよな?」
「そうですってば!」
「それはすまなかった」
「謝らないで下さい!あ~もう!」
イブは頭を抱えて反対側を向いてしまった。今度こそ完全に拗ねてしまったようだ。
「…………」
この年齢になってもキスをしたことがなかったのか。ということは俺が初めて唇を許した相手なのか?駄目だ。口元がゆるんでしまう。俺は窓辺を見るフリで口元を隠した。
魔力譲渡の話は嘘ではない。イブが寝込んでいる時は毎日どころか合間を見ては何度も口づけを交わし魔力を分け与えていた。もちろん心配だったからというのもある。
だけど――今日はそこまでひどい状態ではなかった。そうだ。魔力補充なんてただの言い訳だ。俺が口づけをしたかったのだ。これは認めるしかないな。
可愛いな。腕の中に閉じ込めてしまいそうになる。指先でぷっくらした唇を撫でる。少しかさついているのは緊張していたからか?湿らせてやった方が良いだろうか?
体がだるいと言っていたな。充分に休息すればじきに魔力はもどるだろうが。念のため補充しておいた方が良いだろうな。顎を少し上に向かせると愛らしい唇が薄く開く。赤い舌が見える。
無防備すぎる。迷いなくその唇に吸い付くと少しずつ俺の魔力を流し込んでいく。ゆっくりと驚かさない様に。
俺とイブキの魔力の相性は良い。相性が悪いと譲渡するときに痛みさえ伴うらしい。与える側もこんなに気持ちが良いなら受ける側も良いものだと思いたい。
少し甘噛みして柔らかな唇を堪能しているとふいにイブの身体が強張った。
「……っ!……」
ヤバい。やり過ぎたか。至近距離で大きな瞳が見開かれていた。
「……ぁ……シ……ド?」
みるみる真っ赤に染まっていく。顔全体が赤くなるなんて。どれだけ初心なんだ?
「なにを?……ぁ……ぁの」
「……俺の魔力を分け与えていたのだ」
咄嗟に出る言葉はろくなもんじゃねえな。他に言い方があっただろうに。
「ま、魔力?あ……あの」
「以前、魔力枯渇症になっただろう?予防のために俺の魔力を少しづつ与えていた」
「そ、そうだったんですね」
眼をそらし俺と視線をあわせないまま、姿勢を正して俺から距離を取ってしまった。警戒させてしまったか?
「驚くほどの事ではないぞ。寝込んでいた時は毎日やっていたことだからな」
「まっ!毎日?そ、それは僕の……く、くちに?」
「そうだ。魔力は対象者に手を触れるだけでも渡せるが、確実に分け与える為には粘膜譲渡が一番効率的なのだ。イブは異世界から来たしこの世界の方法でどこまで渡せるかわからなかったからな。確実な方法を選んだ」
この言葉に嘘はない。それだけ助けたいと思っていたし、この唇に触れたいとも思っていたからだ。
「そ……うなんですね……」
なんだ?機嫌が悪くなった?何か怒らせるような事を言ったのか?
「イブ?そんなに嫌だったのか?」
俺は嫌われてはいないはずだと思っていたが。うぬぼれていたのか?
「そうじゃないです。……ファーストキスだったので。ちょっとびっくりしただけです」
「ファーストキス?」
「そうです」
「20歳だよな?」
「そうですってば!」
「それはすまなかった」
「謝らないで下さい!あ~もう!」
イブは頭を抱えて反対側を向いてしまった。今度こそ完全に拗ねてしまったようだ。
「…………」
この年齢になってもキスをしたことがなかったのか。ということは俺が初めて唇を許した相手なのか?駄目だ。口元がゆるんでしまう。俺は窓辺を見るフリで口元を隠した。
魔力譲渡の話は嘘ではない。イブが寝込んでいる時は毎日どころか合間を見ては何度も口づけを交わし魔力を分け与えていた。もちろん心配だったからというのもある。
だけど――今日はそこまでひどい状態ではなかった。そうだ。魔力補充なんてただの言い訳だ。俺が口づけをしたかったのだ。これは認めるしかないな。
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