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13)属性判定
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「なに?神聖力が出ないかもしれないだと?」
「はい。神官長どの。あの少年はチカラが安定せずムラがありすぎるのです。」
もしもの事を考えて、宰相が来る前に魔導士のモーガンにチカラを見極めてもらった。魔法の訓練と称して少年に近づきこっそり測定してもらったのだ。
「召喚のためにあれだけ時間とチカラを使い果たしたと言うのにか。まぁこんな時のためにと魔道具を用意しておいた。皇子を連れてこい」
あやつが来る前でよかったわい。これでこの少年を神殿に留め置ける。浄化をさせる前に大々的に国中に知らしめて顔と名前をうり、その後見人がワシだということを示すのだ。それでまたこの神殿が脅威となるだろう。
「笑いが止まらぬわ。わははは」
「ゲイルが呼んでると神官がうるさかったぞ!」
あいかわらず偉そうだな。ワシの事を呼び捨てにしやがって。生意気なガキめ!皇子でなければ容赦なく鞭打つところだ。泣きはらした顔を見てみたいものだな。
それにしてもばさばさの黒髪に黒い詰襟の学生服姿。前髪が長すぎて顔の表情もよく見えない。わざと隠しているようだ。好みが激しく袖の長い服しか着たがらない。変わった少年だ。異世界人は皆こうなのだろうか?
「皇子さま。魔法訓練は進んでますかな?」
「あんなものしなくても俺にはチート能力があるはずだ!」
「はて?そのチートとはいつ発動するのですかな?」
「そ、それは魔物と戦う時に決まっているだろ!」
まったく、この子は目が覚めた途端に訳のわからないことばかり言い、挙動不審すぎる。自分は勇者だとか。国宝の剣をよこせだの。いつまでたってもなにかの夢物語でも見ているような感じが抜けない。ろくに身体も鍛えてないものがまともに剣を握れるわけがなかろうに。
なだめすかすのに時間がかかって、未だに社交界にも出られやしない。だが、愚かな者ほど利用しやすい。
「いいですか皇子さま。貴方が使えるのは浄化のチカラです。チートとかいうものではありません。さあ、これをおつけください」
「なんだ?このネックレスは?」
「これは皇子さまを守るネックレスです。首から下げてなるべく人の目につかないように衣服の下に隠しておいてくださいませ」
「おお?特殊アイテムだな?攻撃力アップか?いや防御力アップ?それとも経験値レベルアップか?わかった、保有ステータス強化だな?」
なにやら急に早口でわからない単語を言われたが、身につけてくれるならいいだろう。勝手に納得してうんうんうなづいている。まあこの魔道具をつけてさえいれば判定も容易に行えるわい。しかしこれ以上おかしな事を言うようならモーガンに洗脳魔法をかけてもらうとするか。
光属性を持つものはこの神殿の扱いとなる。あの腹黒宰相が何を考えてるかはわからぬが、わしに対抗するなら光属性に関連したもののはずだ。ならばその手に入れたモノすらわしの手の内となろう。属性判定の神殿からの招集は絶対だ。逆らうことは許されない。嫌々でもここに持参するだろう。
さて、宰相の手元には何がいるのだろうな。
「宰相殿が到着されました」
「祭壇の間に連れて行っておけ」
今日は有力な貴族どもも呼んである。噂好きな奴らだ。これであっと言う間に話題に上るだろう。あえて貴族たちには重要な儀式とだけ伝えてその内容は教えなかった。だからこそ余計に好奇心を煽るだろう。
「神官長殿は何やら嬉しそうですな。何か良いことでもあったのですかな?」
来たのか。腹黒宰相め。
「ブラッドフォード卿。よくぞ来られましたな。今日で皇子様の地位が確定されると思うと嬉しくてな」
「地位が確定?それはどういう意味ですかな?」
「ここで属性がわかり、浄化に出られると言うことはとても名誉な事ではありませぬか。しいては浄化後も揺るぎない地位を確立されることでしよう」
「ふむ。それは王宮側が決める事であって、貴殿や俺がとやかく言う事ではないではないか」
「まあ、そうではございますが」
くそ。邪魔をするつもりか?こやつ何を企んでいる?
「さあ、始めるといたしましよう」
わしが祭壇に向かうと、ひょこっと宰相の後ろに隠れていた少年が顔をだした。
「緊張しなくてもいいぞ。俺が側にいるからな」
「はい。大丈夫です」
くりくりした瞳に小ぶりな鼻。薄桃の唇。なんて可愛らしいんだ!
それになんだあの宰相の甘ったるい声は?聞いたことないぞ。あれが宰相の手に入れたモノか?やはりあの森で見つけたのだな。わしらも後から森に入ったが何も見つけられなかった。あんな薄暗い森の中でみつけたのか?くそ。宰相も少年愛好家だったのか?
欲しい。あの少年が欲しい。他のもの同様に洗脳してわしのものに……。
「はい。神官長どの。あの少年はチカラが安定せずムラがありすぎるのです。」
もしもの事を考えて、宰相が来る前に魔導士のモーガンにチカラを見極めてもらった。魔法の訓練と称して少年に近づきこっそり測定してもらったのだ。
「召喚のためにあれだけ時間とチカラを使い果たしたと言うのにか。まぁこんな時のためにと魔道具を用意しておいた。皇子を連れてこい」
あやつが来る前でよかったわい。これでこの少年を神殿に留め置ける。浄化をさせる前に大々的に国中に知らしめて顔と名前をうり、その後見人がワシだということを示すのだ。それでまたこの神殿が脅威となるだろう。
「笑いが止まらぬわ。わははは」
「ゲイルが呼んでると神官がうるさかったぞ!」
あいかわらず偉そうだな。ワシの事を呼び捨てにしやがって。生意気なガキめ!皇子でなければ容赦なく鞭打つところだ。泣きはらした顔を見てみたいものだな。
それにしてもばさばさの黒髪に黒い詰襟の学生服姿。前髪が長すぎて顔の表情もよく見えない。わざと隠しているようだ。好みが激しく袖の長い服しか着たがらない。変わった少年だ。異世界人は皆こうなのだろうか?
「皇子さま。魔法訓練は進んでますかな?」
「あんなものしなくても俺にはチート能力があるはずだ!」
「はて?そのチートとはいつ発動するのですかな?」
「そ、それは魔物と戦う時に決まっているだろ!」
まったく、この子は目が覚めた途端に訳のわからないことばかり言い、挙動不審すぎる。自分は勇者だとか。国宝の剣をよこせだの。いつまでたってもなにかの夢物語でも見ているような感じが抜けない。ろくに身体も鍛えてないものがまともに剣を握れるわけがなかろうに。
なだめすかすのに時間がかかって、未だに社交界にも出られやしない。だが、愚かな者ほど利用しやすい。
「いいですか皇子さま。貴方が使えるのは浄化のチカラです。チートとかいうものではありません。さあ、これをおつけください」
「なんだ?このネックレスは?」
「これは皇子さまを守るネックレスです。首から下げてなるべく人の目につかないように衣服の下に隠しておいてくださいませ」
「おお?特殊アイテムだな?攻撃力アップか?いや防御力アップ?それとも経験値レベルアップか?わかった、保有ステータス強化だな?」
なにやら急に早口でわからない単語を言われたが、身につけてくれるならいいだろう。勝手に納得してうんうんうなづいている。まあこの魔道具をつけてさえいれば判定も容易に行えるわい。しかしこれ以上おかしな事を言うようならモーガンに洗脳魔法をかけてもらうとするか。
光属性を持つものはこの神殿の扱いとなる。あの腹黒宰相が何を考えてるかはわからぬが、わしに対抗するなら光属性に関連したもののはずだ。ならばその手に入れたモノすらわしの手の内となろう。属性判定の神殿からの招集は絶対だ。逆らうことは許されない。嫌々でもここに持参するだろう。
さて、宰相の手元には何がいるのだろうな。
「宰相殿が到着されました」
「祭壇の間に連れて行っておけ」
今日は有力な貴族どもも呼んである。噂好きな奴らだ。これであっと言う間に話題に上るだろう。あえて貴族たちには重要な儀式とだけ伝えてその内容は教えなかった。だからこそ余計に好奇心を煽るだろう。
「神官長殿は何やら嬉しそうですな。何か良いことでもあったのですかな?」
来たのか。腹黒宰相め。
「ブラッドフォード卿。よくぞ来られましたな。今日で皇子様の地位が確定されると思うと嬉しくてな」
「地位が確定?それはどういう意味ですかな?」
「ここで属性がわかり、浄化に出られると言うことはとても名誉な事ではありませぬか。しいては浄化後も揺るぎない地位を確立されることでしよう」
「ふむ。それは王宮側が決める事であって、貴殿や俺がとやかく言う事ではないではないか」
「まあ、そうではございますが」
くそ。邪魔をするつもりか?こやつ何を企んでいる?
「さあ、始めるといたしましよう」
わしが祭壇に向かうと、ひょこっと宰相の後ろに隠れていた少年が顔をだした。
「緊張しなくてもいいぞ。俺が側にいるからな」
「はい。大丈夫です」
くりくりした瞳に小ぶりな鼻。薄桃の唇。なんて可愛らしいんだ!
それになんだあの宰相の甘ったるい声は?聞いたことないぞ。あれが宰相の手に入れたモノか?やはりあの森で見つけたのだな。わしらも後から森に入ったが何も見つけられなかった。あんな薄暗い森の中でみつけたのか?くそ。宰相も少年愛好家だったのか?
欲しい。あの少年が欲しい。他のもの同様に洗脳してわしのものに……。
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