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11)中庭
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僕はここの中庭が好きだ。綺麗な花々が咲く花壇も素敵だけど、目に鮮やかな青々とした広葉樹が植えられている。本当に青なのだ。空に溶けこむような青い葉が茂っている。種類によっては緑も紅もある。青はエルシドの瞳の色だ。そして僕の好きな色でもある。
「綺麗だなあ」
「そうですね」
後ろでデニスが答えてくれる。
「立派な樹だね。育てるのも大変だろうに」
「ここは土壌が良いようで植えるだけで木は育ち綺麗な花々が咲いてくれるそうですよ」
「そうなんだ。素敵な庭園だね」
毎日中庭を散歩するのが日課となっていた。外の空気を吸いにデニスと共に部屋から出て中庭を見て回る。この中庭は小さな動物がよく遊びに来る。その子達と遊んだりするのが楽しい。花の名前を教えてもらうのも新鮮でたのしい。僕が質問ばかりするから庭師のおじさんとはかなり仲良くなった。
屋敷で生活をするようになって、エルシドが普段と仕事時のオンオフに差があることがわかった。
朝は弱いし寝起きは気怠げで大人の色気が凄い。クルトが前にエルシドが仕事服を着たら貴族になるって言っていたのは、寝起きは機嫌が悪いけど服を着たら仕事モードに意識が切り替わるという事なんだと思う。
それにメイドさん達の話しによれば以前は女性関係も多く、仕事に熱中しだすと食事もとらず、そのくせアルコールの飲みすぎでアル中になりかけたこともあったそうだ。屋敷の資金を持ち出して賭け事に嵌ったこともあると言う。
ちょっと信じられない。
今のエルシドを見る限り全く想像できない。例えそうであったとしても、最初にダメなところを聞いていた方が後でショックを受ける事も少ないと思う。
考え事をしながらぼんやりと辺りを見回すと、キラリと目の前の樹の洞の中に何かが光って見えた。
「なんだろ?石かな?」
手に取ってみると手のひらにすっぽりはまるサイズの楕円形だった。卵みたいな石だな。
「どうかされましたか?」
「いや、なんでもないです」
そのまま懐にいれる。あとで図書室で調べてみよう。
言葉が通じるのと同じように文字も自然と読み取る事が出きた。それがわかってからは本を読むのが楽しい。これは珍しい石かな?それとも卵の化石だろうか?
バサッと飛びたつ音がして羽が一枚落ちてきた。綺麗な白い羽。
「ふふ。木の枝にとまっていた小鳥が羽ばたいたのかな。そういえばこのお屋敷梟のレリーフが多いですね」
「レリーフですか?オウルのことですね」
ここでもオウルっていうんだ。梟の意味だ。
「そういえばシドの名前の中にもオウルがありますね?」
「そうだ。俺のミドルネームはオウルだ」
いつの間にかエルシドがすぐ傍まで来ていた。エルシド・オウル・ブラッドフォード。カッコいい名前。デニスが一歩下がってエルシドに場所を譲る。
「シド。仕事はもういいの?」
「ああ。今日はもういいのだ。それよりも何か興味をもつモノはあったか?」
「えっと、屋敷の中に梟の……オウルのレリーフが沢山あったなって思って」
「オウルは賢者や知恵。ハンターの意味も持つ。そしてオウルはブラッドフォード家を現す言葉でもあるんだ」
「そうなんですね。それであちこちにオウルの紋章がついているんですね」
「良く気付いたな」
「動物が好きだからです。この世界の動物の事も知りたいと思っています」
「それなんだが、俺と専属契約を結ばないか?」
「専属契約?」
「綺麗だなあ」
「そうですね」
後ろでデニスが答えてくれる。
「立派な樹だね。育てるのも大変だろうに」
「ここは土壌が良いようで植えるだけで木は育ち綺麗な花々が咲いてくれるそうですよ」
「そうなんだ。素敵な庭園だね」
毎日中庭を散歩するのが日課となっていた。外の空気を吸いにデニスと共に部屋から出て中庭を見て回る。この中庭は小さな動物がよく遊びに来る。その子達と遊んだりするのが楽しい。花の名前を教えてもらうのも新鮮でたのしい。僕が質問ばかりするから庭師のおじさんとはかなり仲良くなった。
屋敷で生活をするようになって、エルシドが普段と仕事時のオンオフに差があることがわかった。
朝は弱いし寝起きは気怠げで大人の色気が凄い。クルトが前にエルシドが仕事服を着たら貴族になるって言っていたのは、寝起きは機嫌が悪いけど服を着たら仕事モードに意識が切り替わるという事なんだと思う。
それにメイドさん達の話しによれば以前は女性関係も多く、仕事に熱中しだすと食事もとらず、そのくせアルコールの飲みすぎでアル中になりかけたこともあったそうだ。屋敷の資金を持ち出して賭け事に嵌ったこともあると言う。
ちょっと信じられない。
今のエルシドを見る限り全く想像できない。例えそうであったとしても、最初にダメなところを聞いていた方が後でショックを受ける事も少ないと思う。
考え事をしながらぼんやりと辺りを見回すと、キラリと目の前の樹の洞の中に何かが光って見えた。
「なんだろ?石かな?」
手に取ってみると手のひらにすっぽりはまるサイズの楕円形だった。卵みたいな石だな。
「どうかされましたか?」
「いや、なんでもないです」
そのまま懐にいれる。あとで図書室で調べてみよう。
言葉が通じるのと同じように文字も自然と読み取る事が出きた。それがわかってからは本を読むのが楽しい。これは珍しい石かな?それとも卵の化石だろうか?
バサッと飛びたつ音がして羽が一枚落ちてきた。綺麗な白い羽。
「ふふ。木の枝にとまっていた小鳥が羽ばたいたのかな。そういえばこのお屋敷梟のレリーフが多いですね」
「レリーフですか?オウルのことですね」
ここでもオウルっていうんだ。梟の意味だ。
「そういえばシドの名前の中にもオウルがありますね?」
「そうだ。俺のミドルネームはオウルだ」
いつの間にかエルシドがすぐ傍まで来ていた。エルシド・オウル・ブラッドフォード。カッコいい名前。デニスが一歩下がってエルシドに場所を譲る。
「シド。仕事はもういいの?」
「ああ。今日はもういいのだ。それよりも何か興味をもつモノはあったか?」
「えっと、屋敷の中に梟の……オウルのレリーフが沢山あったなって思って」
「オウルは賢者や知恵。ハンターの意味も持つ。そしてオウルはブラッドフォード家を現す言葉でもあるんだ」
「そうなんですね。それであちこちにオウルの紋章がついているんですね」
「良く気付いたな」
「動物が好きだからです。この世界の動物の事も知りたいと思っています」
「それなんだが、俺と専属契約を結ばないか?」
「専属契約?」
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