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4)ここはどこ その1
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大学の講義を終えバイト先のコンビニに行く途中で足元に魔法陣が現れた。
「なっなんだよそれ!アニメと一緒じゃん」
「え?アニメ?」
後ろから聞こえた声に振り返ると、突然走って来た少年に突き飛ばされた。一瞬何が起こったのか理解ができなかったが僕の身体はそのまま地面に叩きつけられることなく魔法陣の中に吸い込まれていった。身体が重いと感じたのは少年が僕にしがみついていたからだ。
「どけ!俺が行くんだ!」
少年は光の中で僕のTシャツを掴んで暴れ回った。危ない。こんな天地がひっくり返るような重力がおかしい場所で暴れるなんてどうかしている。
「君、ちょっと。暴れないで」
「うるさいっ!」
暴れたせいか光の中でくるりくるりと回転しだした。徐々に加速がかかっていく。
「わわっ!目が回る~」
「うわあああ」
◇◆◇
目覚めると見知らぬ場所だった。寮の部屋じゃない。こんな広いベッドで寝たのは初めてだ。天井が高い。
壁際にはランプが浮いている。浮いてる?ああ、そうか、これは夢なんだな。
ぼんやりと視界を彷徨わせるとイケメンと目が合った。銀髪で碧眼だ。綺麗な男の人だなあ。僕は物心ついた時から恋愛対象は男性だった。初恋は近所のハーフのお兄さんだった。
やっぱり夢だ。夢だから好みのタイプの人が現れたんだな。こんな綺麗な男の人が僕のそばにいるはずがない。
「王子様みたい?カッコいいなあ」
僕の言葉にイケメンが驚いている。驚いた顔も整っているんだな。
「……それは俺の事か?」
「うん。声も素敵だなぁ」
「ぷっ!くくく」
「イケメンが笑ってる?笑顔もかっこいいなぁ」
「そりゃどうも」
「……??」
「俺はエルシド・オウル・ブラッドフォードだ。君の名前を伺ってもいいかな?」
「へ?あの……滝沢一颯(たきざわいぶき)です」
「タキジャワイブキ。ここらではきかない名前だな」
日本語がペラペラだと言う事はハーフなのかな?
「そうですか?言いづらいならイブキか、イブでかまいませんよ」
「イブキ。イブと呼ばせてもらおう。俺のこともシドでいいぞ」
「シド?へへ。素敵な呼名だなぁ」
エルシドは僕が目覚めるのを待っていたみたい。夢の中で自己紹介なんて。なんだか現実的な夢だなあ。
「フフ。面白い夢」
なんだかふわふわする。頭がぼうっとして変な感じだ。エルシドが心配そうに大きな手で僕の頭をなでる。
「治癒師は頭は打ってないと言っていたが?どこか痛いところはないか?」
頬を撫でられて思わず擦り寄ってしまった。だって手のひらがとってもあったかいんだ。なんだかほっとする。
「これは……その、なんだか、ちょっと。悪い事をしている気になるな」
「あ、あの宰相様」
あれ?もう一人いたのか?イケメンの後ろにイケメンがいた。金髪碧眼。彼のほうが若そうだ。彼は僕の頬を撫でるエルシドを見て苦笑している。
コホンと咳をするとエルシドの手が離れていく。ほんの少しだけ名残惜しいと思ってしまった。
「紹介しよう。俺の側近のデニスだ」
「デニス・フォルシアンだ」
「はじめまして。イブキです。デニスもカッコいいな。イケメンばっかり出てくる不思議な夢だなあ」
「くく。夢ではないぞ。まだ寝ぼけているのだな?そろそろ目を覚ませ」
「へ?夢じゃないの?」
「いや、現実だ」
むにっと頬をエルシドにつねられた。そのまま頬を引っ張られ、むにむにされる。
「ひ、ひちゃいです~(痛いです)」
「どうだわかったか?」
「ふぁい……あの、ここはどこでしようか?」
夢じゃない?現実なのか?徐々に意識が覚醒していく。
「俺の屋敷だ。イブは森の中で倒れていた。何があったか聞いてもいいか?」
「それが僕にもよくわからなくて」
「獣に襲われたのではないのか?衣服が破れていた」
「あれ?そういえば僕の服は?」
「ボロボロだったので、こちらで用意したものに着替えさせたぞ」
本当だ。手触りのいい服を着ている。周りを見るのに必死で自分の服まで気にしてなかった。
「あ……りがとうございます。後で洗濯して返しますね」
「いや、それは構わない。そのままもらってくれ。それより、あそこで何をしていたのだ?」
「えっと、僕は……その」
とう説明したらいいのだろう。魔法陣が現れたなんて言っても信じてくれるだろうか。
「なっなんだよそれ!アニメと一緒じゃん」
「え?アニメ?」
後ろから聞こえた声に振り返ると、突然走って来た少年に突き飛ばされた。一瞬何が起こったのか理解ができなかったが僕の身体はそのまま地面に叩きつけられることなく魔法陣の中に吸い込まれていった。身体が重いと感じたのは少年が僕にしがみついていたからだ。
「どけ!俺が行くんだ!」
少年は光の中で僕のTシャツを掴んで暴れ回った。危ない。こんな天地がひっくり返るような重力がおかしい場所で暴れるなんてどうかしている。
「君、ちょっと。暴れないで」
「うるさいっ!」
暴れたせいか光の中でくるりくるりと回転しだした。徐々に加速がかかっていく。
「わわっ!目が回る~」
「うわあああ」
◇◆◇
目覚めると見知らぬ場所だった。寮の部屋じゃない。こんな広いベッドで寝たのは初めてだ。天井が高い。
壁際にはランプが浮いている。浮いてる?ああ、そうか、これは夢なんだな。
ぼんやりと視界を彷徨わせるとイケメンと目が合った。銀髪で碧眼だ。綺麗な男の人だなあ。僕は物心ついた時から恋愛対象は男性だった。初恋は近所のハーフのお兄さんだった。
やっぱり夢だ。夢だから好みのタイプの人が現れたんだな。こんな綺麗な男の人が僕のそばにいるはずがない。
「王子様みたい?カッコいいなあ」
僕の言葉にイケメンが驚いている。驚いた顔も整っているんだな。
「……それは俺の事か?」
「うん。声も素敵だなぁ」
「ぷっ!くくく」
「イケメンが笑ってる?笑顔もかっこいいなぁ」
「そりゃどうも」
「……??」
「俺はエルシド・オウル・ブラッドフォードだ。君の名前を伺ってもいいかな?」
「へ?あの……滝沢一颯(たきざわいぶき)です」
「タキジャワイブキ。ここらではきかない名前だな」
日本語がペラペラだと言う事はハーフなのかな?
「そうですか?言いづらいならイブキか、イブでかまいませんよ」
「イブキ。イブと呼ばせてもらおう。俺のこともシドでいいぞ」
「シド?へへ。素敵な呼名だなぁ」
エルシドは僕が目覚めるのを待っていたみたい。夢の中で自己紹介なんて。なんだか現実的な夢だなあ。
「フフ。面白い夢」
なんだかふわふわする。頭がぼうっとして変な感じだ。エルシドが心配そうに大きな手で僕の頭をなでる。
「治癒師は頭は打ってないと言っていたが?どこか痛いところはないか?」
頬を撫でられて思わず擦り寄ってしまった。だって手のひらがとってもあったかいんだ。なんだかほっとする。
「これは……その、なんだか、ちょっと。悪い事をしている気になるな」
「あ、あの宰相様」
あれ?もう一人いたのか?イケメンの後ろにイケメンがいた。金髪碧眼。彼のほうが若そうだ。彼は僕の頬を撫でるエルシドを見て苦笑している。
コホンと咳をするとエルシドの手が離れていく。ほんの少しだけ名残惜しいと思ってしまった。
「紹介しよう。俺の側近のデニスだ」
「デニス・フォルシアンだ」
「はじめまして。イブキです。デニスもカッコいいな。イケメンばっかり出てくる不思議な夢だなあ」
「くく。夢ではないぞ。まだ寝ぼけているのだな?そろそろ目を覚ませ」
「へ?夢じゃないの?」
「いや、現実だ」
むにっと頬をエルシドにつねられた。そのまま頬を引っ張られ、むにむにされる。
「ひ、ひちゃいです~(痛いです)」
「どうだわかったか?」
「ふぁい……あの、ここはどこでしようか?」
夢じゃない?現実なのか?徐々に意識が覚醒していく。
「俺の屋敷だ。イブは森の中で倒れていた。何があったか聞いてもいいか?」
「それが僕にもよくわからなくて」
「獣に襲われたのではないのか?衣服が破れていた」
「あれ?そういえば僕の服は?」
「ボロボロだったので、こちらで用意したものに着替えさせたぞ」
本当だ。手触りのいい服を着ている。周りを見るのに必死で自分の服まで気にしてなかった。
「あ……りがとうございます。後で洗濯して返しますね」
「いや、それは構わない。そのままもらってくれ。それより、あそこで何をしていたのだ?」
「えっと、僕は……その」
とう説明したらいいのだろう。魔法陣が現れたなんて言っても信じてくれるだろうか。
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