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11 後半
しおりを挟む事を終わり。
人の姿で布団の上で目を覚ます。
時計を見れば、午後八時を過ぎを針が差していた。
ハラが減ったなぁ、と起き上がりお腹を擦っていると母屋から離れにシュウマは戻ってきた。
「あ、起きた。おにぎり作ってきたんだ。どう食べる?」
「食べる゛」
「その前に水だね」
喉がガラガラだ。
シュウマから麦茶をもらい、ゴクゴクと一気に飲み干すとおにぎりを手に取る。
「んだよ、こっち…見んなよ」
モグモグと塩気の効いた米を口の中いっぱいに頬張っていると自分を観察するシュウマに気付く。
セックスをやめろといったのにやめてくれなかったことを思い返し、少々ムカついていたので素っ気ない口調になった。
「・・・怒ってる?」
不機嫌そうに見えたのだろう。
少し機嫌が斜めになっているアヤトに確認する。
「アヤトの方から試しにきたんだ。やめられるわけないだろ」
「オレを好きならやめろよな!」
「好きだからやめらんないんだよ。信じてほしかったし」
自分で発言しておいて照れた様子を見せるシュウマに「照れながらいうな」とアヤトはツッコミを入れる。シュウマにつられ、アヤトも照れた。
なお、大昔シカノメの血と肉を分け与えられた村の人々は、血肉の影響で強い信仰心を持つようになる。
その強い信仰心により、シカノメの子孫らの『お願い』や『提案』などを村の人々は耳を傾け、手助してきた。
されど、そこには親しみはあっても恋ではないのだ。
アヤトを愛するシュウマは勘違いではなく、本当に恋をしているのだ。
「オレ…信じる。シュウマのこと」
「アヤト……」
「別れるっていってごめん。ずっと一緒にいたい」
「じゃあ」
「でも、いったん帰るからな。アパートの更新あるし、大学はまだどうすっか決めてねーし」
うん、うん、とアヤトの話にシュウマは頷く。
相変わらず表情は変わらないけれど、なんだかとても嬉しそうに見えた。
一日だけ予定をズラした。
翌日、逃げるようにさっさと村を出て行くと思っていたが、アヤトの予想はハズレた。
ハズレた理由は、隣に立つシュウマの存在だ。
いつの間にかシュウマの家族らにアヤトと交際したことを打ち明けており、誘われるまま朝食を一緒に食べた。
また、少しの間アヤトのところで暮らすことを許しを出していた。
農家の仕事をどうするんだとアヤトは心配になるが、家族総出で大丈夫と押されてしまっては厚意を無碍にはできない。アヤトにとって都合がいいのである。
・・・というわけで、準備のため、一日ズラしてのアパートへの帰宅である。
(正直しんどかったからな、よかった)
これからどうなるにせよ、シュウマがいれば何とかなる。
頼りっきりな気もするが、アヤトは隣にいるシュウマを見つめ、笑いかけるのだった。
完
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