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おまけ(男爵令嬢のその後)

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殿下と浜辺に戻るといつの間にか頭上に輪がある男爵令嬢がいました。しかめっ面で、テン様がよく使っているノートブックという機械とにらめっこをしています。そして整理券が配られなかったにしては、どこか満足げな顔をしています。

「こんなところで何をしているんですか?  まさかまた地上を混沌に陥れようと策を巡らせているのですか?」

男爵令嬢に声をかけると嫌そうな顔を返されました。彼女の前世は女神様ですが、礼儀は通しません。

「……違うわよ。それにあたしはただ……テン様に会いたかっただけ。だから罪を犯したの。そうすればきっとあたしを罰しに会いにきてくれると思ったから」
「そんな理由で何万人も死亡させたんですか?」
「女神は傲慢な生き物なのよ」
「この地のナイン様に失礼です。謝って下さい」
「すまないん」
「…………なんですって?」
「ごめんないん」

ふざけていますね。砂でもかけてやりましょうか。

「それで、テン様に会えても直ぐに処されたそうじゃないですか。せっかくの転生をたった数秒の再会に使うなんて、貴女は愚かな生き物ですね」
「だって転生させないでって、ずっと側に居たいって言ったのに、テン様あたしのこと煙たがるんだもん」
「でも今回は整理券は配られなかったんですよね?」
「うん。あと、たまになら会いにきていいって、言ってくれた」
「よかったじゃないですか。戦争を勃発させられたサード国とフォース国の国民は貴女の幸せを心からのろっていますよ。またフラれろって思ってる筈です」
「……うるさいなあ。罪は償うわよ。あたしが死に追いやった人はちゃんと元の位置に戻して、加護も足しておくから。この仕事が終われば、テン様が初めて一緒にお茶をしようって約束してくれたんだもの。だからちゃんとやるわ!」
「そうですか。なら私からはもう何も言うことはありませんが……」

私はちらっと背後を見ました。殿下は穏やかな顔で海を眺めています。遠慮してか、少し離れてくれています。なら今がチャンスです。ここはお亡くなりになられた方々の為にももう一声。


「実は私、今までテン様と十回もお茶したんですよー、これ聞いて今どんな気持ち?」
「キイイイ!  なによ、羨ましくなんてないんだからね!  さっさと終わらせてあたしだってテン様とお茶するわよ!」



【終】
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