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5 予期せぬ事態に若返りました
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「あの老いぼれが……今度は我が息子を狙っているだと……!」
後日。
仕事で数日屋敷をあけて帰宅したセシルに、セラスが先日図書館で見たことをそのまま話すと、セシルは額に青筋を立てていきなり若返った。そして傍らで本を読んでいるヨハンを抱き締めた。
「お前のことはこの父が護るからな!」
「父さまが兄さまになっちゃった」
セシルは見た目年齢15歳前後に戻っていた。
見た目はヨハンと変わらぬ美少女ぶり。だが中身は39歳の男だ。
「ちょ……まさかヨハンが狙われないよう、囮になるつもりですか?」
「そんなつもりは毛頭ない。だがこの姿なら勢い余ってあの馬鹿を殴っても重症で済む。これ以上の姿だと筋肉がついてしまうからな」
「な、殴るのですか? いえ、殴りそうなのですね?」
「ああ。実は今朝屋敷に入る前にちょうど速達人と鉢合わせて、これを渡されたんだ。セラスには見せない方がいいと思って後で燃やしておこうと考えていたのだが……」
セシルが懐から出したもの。
それはハンス・ロッセンからヨハンへの婚約の打診だった。セラスは呆れてものが言えなかった。そしてハンスはどうやってヨハンの所在を調べたのか。打診書の封筒を見るとどうやらハンスは図書館の忘れ物サービスを利用して中身が打診書の手紙をヨハンの忘れ物として王立司書が届ける手配をしていたようだった。
以前ハンスが忍び込んだ夜会でもだが、ハンスは本当にこういうところが狡猾だと、セラスの気が遠くなってきた。だがとうとうキレた。
「全くいい加減にして欲しいわ! 服装は個人の自由だけど、やることなすことまで若い令息達と同じだなんて!」
セラスも15歳前後に見た目を若返らせた。
この姿なら勢い余って馬鹿の首を絞めてしまっても周りが止めてくれるだろうとセシル同様急ブレーキがかかったのだ。なんせ二十代の頃のセラスは騎士になるべく鍛えていたのだから。その頃のセラスなら現在五十代のハンスを絞めころすくらい徐の口だった。
セラスはハンスの打診書をビリリ!と破り、ヨハンを抱き締めた。
「ヨハン! 貴方は命をかけてもこの母が盾となって護りますからね!」
「……母さままで姉さまになっちゃった」
後日。
仕事で数日屋敷をあけて帰宅したセシルに、セラスが先日図書館で見たことをそのまま話すと、セシルは額に青筋を立てていきなり若返った。そして傍らで本を読んでいるヨハンを抱き締めた。
「お前のことはこの父が護るからな!」
「父さまが兄さまになっちゃった」
セシルは見た目年齢15歳前後に戻っていた。
見た目はヨハンと変わらぬ美少女ぶり。だが中身は39歳の男だ。
「ちょ……まさかヨハンが狙われないよう、囮になるつもりですか?」
「そんなつもりは毛頭ない。だがこの姿なら勢い余ってあの馬鹿を殴っても重症で済む。これ以上の姿だと筋肉がついてしまうからな」
「な、殴るのですか? いえ、殴りそうなのですね?」
「ああ。実は今朝屋敷に入る前にちょうど速達人と鉢合わせて、これを渡されたんだ。セラスには見せない方がいいと思って後で燃やしておこうと考えていたのだが……」
セシルが懐から出したもの。
それはハンス・ロッセンからヨハンへの婚約の打診だった。セラスは呆れてものが言えなかった。そしてハンスはどうやってヨハンの所在を調べたのか。打診書の封筒を見るとどうやらハンスは図書館の忘れ物サービスを利用して中身が打診書の手紙をヨハンの忘れ物として王立司書が届ける手配をしていたようだった。
以前ハンスが忍び込んだ夜会でもだが、ハンスは本当にこういうところが狡猾だと、セラスの気が遠くなってきた。だがとうとうキレた。
「全くいい加減にして欲しいわ! 服装は個人の自由だけど、やることなすことまで若い令息達と同じだなんて!」
セラスも15歳前後に見た目を若返らせた。
この姿なら勢い余って馬鹿の首を絞めてしまっても周りが止めてくれるだろうとセシル同様急ブレーキがかかったのだ。なんせ二十代の頃のセラスは騎士になるべく鍛えていたのだから。その頃のセラスなら現在五十代のハンスを絞めころすくらい徐の口だった。
セラスはハンスの打診書をビリリ!と破り、ヨハンを抱き締めた。
「ヨハン! 貴方は命をかけてもこの母が盾となって護りますからね!」
「……母さままで姉さまになっちゃった」
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