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第一章 冒険の備忘録
第一話 屑の青年
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第一話 屑の青年
現代社会。明日が来ることを最低限約束された世の中。そんな中、技術進歩の為の資源を取り尽くし戦争も起こせない程衰退した人類に差し伸べられたでは無情にも全ての人を縋らせるには充分すぎた。甘い誘惑は時に人を堕落させる。
ある日を境に異界と呼ばれていた世界から世界7都市に異世界を移動することのできる転移門が開かれた。光の亀裂が迸り、その中から出てきた者は見たことのない動物の服を着て武装していた。
剣、弓、杖、刀、短剣、無抵抗のひとを嬲り殺すには十分すぎる装備。しかし、異界から来た彼らが疲弊しきった人類に伸ばした手には暖かさがあった。
持ち合わせの食料で食事を振る舞い、異界からは多くの物資、現代社会からはさまざまな技術が送られ、一時は両世界のこれまでに無いほど繁栄していった。
永遠にその時間が約束されているかのように思われる程に。
しかし、その3年後、違う種類の異界へと通じる亀裂が東京だけに生じた。救いの手が差し伸べらた亀裂とは違い、禍々しく、重っくるしい雰囲気を醸し出し中からは多くの魔物が蛆虫のように湧き出した。
銃火器を駆使し、対抗するも生物としての構造がこちらの世界とは異なるせいか効果が薄く、東京は一瞬にして危機に見舞われた。
最初に開かれた転移門から武器を手にした冒険者と呼ばれる身体に魔力を宿した者達が独自の剣術や魔法ですぐさま撃退されたが後に歴史に残る
初の異界からの侵略となって波紋を呼ぶ。
東京の代表と東京の転移門から通じるエルタネ公国を治めるリーム王と協議し合い、すぐさま対策が打ち出され、様々な事が浮き彫りになった。
異界では人を脅かす魔物が存在し、世界線を転移門で飛び越えて他の異界を侵略する種と自然循環の一環を担い、貢献する種が存在すること。
少数ではあるが冒険者と呼ばれる魔力で身体を強化して侵略目的である魔物を倒している事。
エルタネ公国は異世界で有数の軍隊を複数持つ、軍事国家だが三年前に侵略型の魔物によって先代の王が命を落し、若干20歳にして治めた領地では反対派がクーデターを起こし鎮圧する毎日で、まわりにいる魔物を倒している余裕がなく、討伐出来なかったモンスターがエルタネから転移門を通り東京に来た事。
その結果東京では一つの政策が講じられた。
『異世界調査隊制度』
東京から侵略型の魔物が出現し、少なからず他県に魔物が流入した。そんな折、異世界の食材で作られた物を食べたところ一部の人間が小型の魔物に限るが倒す事ができた。
個人差は大きくあるものの、微弱な魔力が食事を通じて体内に蓄積され、超人的な力が体に現れていたのだ。そこに目をつけ、魔力濃度の高い異界にリーム王協力のもと転移させて異界で訓練を積み、侵略型の魔物を討伐させる制度を打ち出した。
普通ならば命をかけて危険を犯すものは少ない。しかし、目に見える功績を挙げたものには帰還時に恩賞として国の土地や食料、金を優先的に私財にしていいとの一言がつけば話は別だ。
既得権益を望む、財閥系の血筋が跡取りや養子を国に捧げた。
人類の生存を賭けた物語が今始まる。
気を抜いたら吸い込まれてしまいそうなほど深い青色の岩肌が鈍色に輝く。
鋭い爪で岩肌をくり抜かれた空間がそこには無数に存在した。その中の一つ。多くの人々が一体の翼竜に翻弄されている光景があった。洞窟とは言え、天井が高く大穴が空いているため、薄暗さは感じるが目視は効く。
先程まで騎馬隊は隊列を組み、身の丈以上の大盾を持つものは火球を防ぎ、弓隊と魔道隊は遠隔魔法でサポートをしていたが、見る影もない。
翼にデバブをかけられた空の覇者が背中の穴から噴煙を撒き散らした最後の抵抗。前衛だけしか包むことのできない苦し紛れの煙幕。誰もがそう思う中、最初に大盾隊の後ろにいた重装兵が爆発に巻き込まれて四方八方に吹き飛んだ。
前衛にいる重装兵ならまだしも、相手からの攻撃が通る筈のない場所の者が何かに攻撃され、バタバタと次々に人が倒れる。
新手の存在を確認しようと魔法隊による探知魔法が洞窟全体に張り巡らされるが、洞窟内にそれらしいものは見つからない。
一瞬で不安が戦場を駆け巡り、前衛の重装兵も散り散りに走り出し、その度に爆風に巻き込まれる。ずっと攻撃を受けていられる訳ではなく、大盾隊も目視が効かない噴煙の中、無惨に爪で引き裂かれていく。
『撤退だ。撤退し.,』
断末魔と共に叫びを上げた男が軽々と爆風で壁まで吹き飛ばされ力無く地面に平伏す姿は宛ら空の主人に敬意を表すと言えなくもない。見事なオリーブを模ったレリーフが彫られた白銀の鎧に全身を包み、牛を連想させる兜を被る重装備の鎧も役に立たない。
それを最後に噴煙の中から飛ばされで来る人は居なくなった。すべての前衛に居た勇敢な者達が吹き飛ばされ、攻撃を遮る壁がいなくなった事で、不安が充満する。
現代社会。明日が来ることを最低限約束された世の中。そんな中、技術進歩の為の資源を取り尽くし戦争も起こせない程衰退した人類に差し伸べられたでは無情にも全ての人を縋らせるには充分すぎた。甘い誘惑は時に人を堕落させる。
ある日を境に異界と呼ばれていた世界から世界7都市に異世界を移動することのできる転移門が開かれた。光の亀裂が迸り、その中から出てきた者は見たことのない動物の服を着て武装していた。
剣、弓、杖、刀、短剣、無抵抗のひとを嬲り殺すには十分すぎる装備。しかし、異界から来た彼らが疲弊しきった人類に伸ばした手には暖かさがあった。
持ち合わせの食料で食事を振る舞い、異界からは多くの物資、現代社会からはさまざまな技術が送られ、一時は両世界のこれまでに無いほど繁栄していった。
永遠にその時間が約束されているかのように思われる程に。
しかし、その3年後、違う種類の異界へと通じる亀裂が東京だけに生じた。救いの手が差し伸べらた亀裂とは違い、禍々しく、重っくるしい雰囲気を醸し出し中からは多くの魔物が蛆虫のように湧き出した。
銃火器を駆使し、対抗するも生物としての構造がこちらの世界とは異なるせいか効果が薄く、東京は一瞬にして危機に見舞われた。
最初に開かれた転移門から武器を手にした冒険者と呼ばれる身体に魔力を宿した者達が独自の剣術や魔法ですぐさま撃退されたが後に歴史に残る
初の異界からの侵略となって波紋を呼ぶ。
東京の代表と東京の転移門から通じるエルタネ公国を治めるリーム王と協議し合い、すぐさま対策が打ち出され、様々な事が浮き彫りになった。
異界では人を脅かす魔物が存在し、世界線を転移門で飛び越えて他の異界を侵略する種と自然循環の一環を担い、貢献する種が存在すること。
少数ではあるが冒険者と呼ばれる魔力で身体を強化して侵略目的である魔物を倒している事。
エルタネ公国は異世界で有数の軍隊を複数持つ、軍事国家だが三年前に侵略型の魔物によって先代の王が命を落し、若干20歳にして治めた領地では反対派がクーデターを起こし鎮圧する毎日で、まわりにいる魔物を倒している余裕がなく、討伐出来なかったモンスターがエルタネから転移門を通り東京に来た事。
その結果東京では一つの政策が講じられた。
『異世界調査隊制度』
東京から侵略型の魔物が出現し、少なからず他県に魔物が流入した。そんな折、異世界の食材で作られた物を食べたところ一部の人間が小型の魔物に限るが倒す事ができた。
個人差は大きくあるものの、微弱な魔力が食事を通じて体内に蓄積され、超人的な力が体に現れていたのだ。そこに目をつけ、魔力濃度の高い異界にリーム王協力のもと転移させて異界で訓練を積み、侵略型の魔物を討伐させる制度を打ち出した。
普通ならば命をかけて危険を犯すものは少ない。しかし、目に見える功績を挙げたものには帰還時に恩賞として国の土地や食料、金を優先的に私財にしていいとの一言がつけば話は別だ。
既得権益を望む、財閥系の血筋が跡取りや養子を国に捧げた。
人類の生存を賭けた物語が今始まる。
気を抜いたら吸い込まれてしまいそうなほど深い青色の岩肌が鈍色に輝く。
鋭い爪で岩肌をくり抜かれた空間がそこには無数に存在した。その中の一つ。多くの人々が一体の翼竜に翻弄されている光景があった。洞窟とは言え、天井が高く大穴が空いているため、薄暗さは感じるが目視は効く。
先程まで騎馬隊は隊列を組み、身の丈以上の大盾を持つものは火球を防ぎ、弓隊と魔道隊は遠隔魔法でサポートをしていたが、見る影もない。
翼にデバブをかけられた空の覇者が背中の穴から噴煙を撒き散らした最後の抵抗。前衛だけしか包むことのできない苦し紛れの煙幕。誰もがそう思う中、最初に大盾隊の後ろにいた重装兵が爆発に巻き込まれて四方八方に吹き飛んだ。
前衛にいる重装兵ならまだしも、相手からの攻撃が通る筈のない場所の者が何かに攻撃され、バタバタと次々に人が倒れる。
新手の存在を確認しようと魔法隊による探知魔法が洞窟全体に張り巡らされるが、洞窟内にそれらしいものは見つからない。
一瞬で不安が戦場を駆け巡り、前衛の重装兵も散り散りに走り出し、その度に爆風に巻き込まれる。ずっと攻撃を受けていられる訳ではなく、大盾隊も目視が効かない噴煙の中、無惨に爪で引き裂かれていく。
『撤退だ。撤退し.,』
断末魔と共に叫びを上げた男が軽々と爆風で壁まで吹き飛ばされ力無く地面に平伏す姿は宛ら空の主人に敬意を表すと言えなくもない。見事なオリーブを模ったレリーフが彫られた白銀の鎧に全身を包み、牛を連想させる兜を被る重装備の鎧も役に立たない。
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