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第Ⅱ章
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幼い頃から空が好きだ。アイツと暮らしていたとき、殴られる時以外、僕はベランダにいることしか許されなかったから、他の人と比べて空を見る機会がずっと多かったと思う。アイツに殴られた傷が痛むとき、空を眺めた。冬の寒さに凍えそうなとき、夜空を見上げた。空腹で眠れないとき、雲の行方を追って気を紛らわせた。空は僕になにも教えてくれなかったけど、それでよかった。僕は空を見て、雲を見て、天気を予測した。太陽や月を見て日時を知った。空はあの薄汚いベランダから逃げ出せない僕に、色々なものを見せてくれた。
一組の教室の隣にひっそりと、息を潜めるように細い階段がある。きっとこれが屋上に続く階段なのだろう。階段の手前にはロードコーンが二つ置いてあって、階段を登らせないために黄色と黒色のテープがそこを遮るように貼ってある。
僕はその無意識に人を警戒させる色合いのテープを、何の躊躇も無く一息で飛び越える。
忘れられてしまったような階段だ。文化祭で使うための小道具が入った段ボール箱だとか、丸められた大きな画用紙だとか、埃を被った古い机が置いてある。なんだかここだけ時間が停滞しているように思えた。
屋上へ続く重々しい扉には「施錠厳守」「立ち入り禁止」と書いてある紙が貼ってあり身構えたが、力を加えると意外にも扉は素直に開いた。
一組の教室の隣にひっそりと、息を潜めるように細い階段がある。きっとこれが屋上に続く階段なのだろう。階段の手前にはロードコーンが二つ置いてあって、階段を登らせないために黄色と黒色のテープがそこを遮るように貼ってある。
僕はその無意識に人を警戒させる色合いのテープを、何の躊躇も無く一息で飛び越える。
忘れられてしまったような階段だ。文化祭で使うための小道具が入った段ボール箱だとか、丸められた大きな画用紙だとか、埃を被った古い机が置いてある。なんだかここだけ時間が停滞しているように思えた。
屋上へ続く重々しい扉には「施錠厳守」「立ち入り禁止」と書いてある紙が貼ってあり身構えたが、力を加えると意外にも扉は素直に開いた。
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