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第Ⅱ章
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僕は近くにあった机に座って、小さくため息を吐く。普段はこんな大胆なことはしないけど、今は特別だ。この教室には僕以外、誰もいないのだから。
誰もいない教室というのは、なんだか感傷的な気分になる。窓から差し込む目障りくらいに眩しい陽の光に照らされて、綺麗に磨かれた黒板が、使われていないチョークが、主人《あるじ》を無くした机が、椅子が、なんだかとても悲しく見えた。
腕に力を入れて立ち上がり、カーテンを閉めようと窓辺に近づく。八月の終わりの気温はまだ高い。チラチラと眩しい日差しとは反対に、空気は澄んでいる。少し触れると火傷してしまいそうな、でも鋭利なその空気を僕は気に入っていた。
ふと、その淡くぼんやりと滲《にじ》んだ空の遠くに、爪で引っ掻いたような、はっきりとした傷があることに気が付いた。絆創膏《ばんそうこう》を貼ってあげたくなるような、その傷を消してあげたくなるような、繊細な空の美しさを台無しにしているような傷だ。
僕はその傷を消し去るために、屋上へ向かった。
誰もいない教室というのは、なんだか感傷的な気分になる。窓から差し込む目障りくらいに眩しい陽の光に照らされて、綺麗に磨かれた黒板が、使われていないチョークが、主人《あるじ》を無くした机が、椅子が、なんだかとても悲しく見えた。
腕に力を入れて立ち上がり、カーテンを閉めようと窓辺に近づく。八月の終わりの気温はまだ高い。チラチラと眩しい日差しとは反対に、空気は澄んでいる。少し触れると火傷してしまいそうな、でも鋭利なその空気を僕は気に入っていた。
ふと、その淡くぼんやりと滲《にじ》んだ空の遠くに、爪で引っ掻いたような、はっきりとした傷があることに気が付いた。絆創膏《ばんそうこう》を貼ってあげたくなるような、その傷を消してあげたくなるような、繊細な空の美しさを台無しにしているような傷だ。
僕はその傷を消し去るために、屋上へ向かった。
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