イシュタムに会うのはまた今度

もとした 影

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第Ⅰ章

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 ▼全くその通りだ。
 僕は目が覚めてからまずはじめに視界に目に入るのは、心地の良い陽の光でも、シワシワに縒れた布団でもない。
 幻覚だ。
 今、僕の目の前には、狂ったように咲き乱れる虞美人草の花畑が広がっている。
 そして少し離れところに、小さな男の子が立っている。あれは六年前の僕だ。僕は勝手にあの男の子を「ぼく」と呼んでいる。
 ぼくはボロボロの服を着て、酷く痩せている。
 近くまで歩いて来ても、男の子の顔は長い前髪に隠れていてよく見えない。特徴的な顔ではないが、印象的な体だ。 
 ▽ねぇ、ぼく。僕は一体どうしたら死ねるんだろう。ナイフで首をかっ切るとか、川に身を投げ出すとか、自分の身体に火をつけるとか。たくさん考えたんだけど、どれも怖くてできないんだ。ナイフも、水も、火も。みんな怖くて、でもこのまま生き続けるのも怖い。ねぇ、ぼくはどうしたらいいんだと思う?
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