57 / 83
57 どこへ行くんです?
しおりを挟む
「どこへ行くんです?」
「貴様には関係ないことだ」
(関係ないって……人を連行しておいてどういうつもり!?)
それ以上は口を閉ざし、何も言わないグロウ。
マリーリは内心憤るも、相手は王族なので追及したいができない状況だった。
明らかに王都とは別方向、むしろ国境近くに向かっていることに気づき、不安になりながらもグロウに弱気を悟られぬようマリーリは背筋を伸ばして堂々と振る舞う。
「ふんっ。ヤツといいお前といい、随分と癪に触るヤツだな」
「それはどうも」
グロウの態度を見て、どう考えても自分に好意があってこんなことをしてるとマリーリは思えなかった。
一応馬車に乗せられているにしても扱いがいいとは言えず、グロウは愛想もなければ会話もなく、どちらかと言えば忌々しげに一瞥されるのを鑑みても、明らかに好意とは真逆の感情が見え隠れしている。
(一体、何の意図があってこんな脅しのようなことをするのかしら)
マリーリはグロウの意図を探ろうとするも、そもそも接点もあまりなければ自分に利用する価値などがあるとは思えず、思考はすぐに行き詰まった。
しいて言うなら今までの話ぶりから何かジュリアスと確執があるようなのと、キューリスと何かしら繋がっている可能性もなくはないと思うが、それはそれで接点が思い浮かばないため、さらに謎が深まる。
(目的は何?)
様々な可能性を逡巡するも、結局マリーリには皆目見当がつかなかった。
そのため目的地もわからないまま、会話もなくただ馬車に揺られているだけ。
だが、なんとなくこの先自分にとってよくないことが起こりそうな予感はしていた。
(怖い。本当はとても怖い。あのブランのときのようなことがあったら私……)
過去のトラウマに、ギュッと握る手に力がこもった。
何も会話がない空間でだんだんと緊張感だけが高まっていき、マリーリの額には無意識のうちに冷や汗が浮き出て顔色が悪くなっていく。
それを見て、グロウは嬉しそうに口元を歪めるとゆっくりと口を開いた。
「はは、さすがに怖いか。無理もない。貴様には相当量の薬が盛られているはずだからな。本当は今すぐにでも泣き出して逃げ出したいのだろう?」
「薬……? 何のことですか?」
突然グロウから「薬を盛られた」と言われても身に覚えがなくて、訝しむようにマリーリが眉を顰めるとグロウはクックッと声を殺しながら笑う。
それがあまりにも醜くて、美形だと名高いグロウの表情がこんなにも醜く歪むのかとマリーリの恐怖をさらに煽った。
「あのキューリスという娘からずっと薬を盛られていたのさ。キミが何も知らずに彼女と仲良くしていた頃からね」
「え? そんな、まさか……」
思わぬグロウの告白に、絶句するマリーリ。
そんな以前から一体何の薬を飲まされていたというのか、と不安で震える。
「お前はよっぽど効きが悪いようだがな。この薬を大量に盛られた者は普通なら精神が錯乱して死んでいてもおかしくないはずだが」
「うそ……そんなわけ……」
「身に覚えがないわけではないだろう? たまによからぬ妄想に取り憑かれて悲観し、死にたくなることはないか?」
「そ、れは……」
(もしかして、私が悪いことを考えがちだと思っていたのは薬のせい……?)
言われてみれば辻褄が合うことが多い。
キューリスと会ったのはブランとの婚約後ではあったが、その頃からブランと少しずつギクシャクし始めたし、あまり考え込まない楽天家だったはずが悪いほう悪いほうに思考がいきがちなのもその時期辺りであった。
社交界に出なくなったのも、そもそもキューリスが周りが自分の悪口を言ってると教えてくれて、それで実際に遠巻きにされたことがキッカケであるとだんだん鮮明に記憶が蘇ってくる。
(全部、キューリスに薬を盛られていたせい……)
「もはや致死量と言っていいほど盛られてるはずなのに未だに平気にしているというのは、ある意味賛辞に値するだろう」
「それを私に言ってどうするんです?」
「さすがタフなだけはある。それを見込んで今後の話をしよう。このあと越境し、隣国へと入る」
「隣国へ……!?」
隣国とは牽制し合っている仲で、いつ戦争が始まってもおかしくないほどピリピリとした状態だ。
その国へ行くだなんて死地に向かっていると言っても過言ではない。
ますますマリーリの顔色が青ざめた。
「ところで、ジュリアスがどうして出世したかは聞いているか?」
「それは、隣国に奪われた土地を取り戻したって……」
「そうだ。つまり隣国のヤツらはあいつに怨みを持っている。理不尽な逆恨みというやつだが、あちらからしたら土地を奪った敵国の男だからな」
「それが、私に一体何の関係が?」
「大アリさ。敵国はジュリアスが最も大切にしている宝……お前を奪えるのだからな」
(まさか、私をジュリアスへの仕返しに利用するということ?)
ますますとんでもないことだとマリーリは恐怖で凍りつく。
ブランのときとは比べものにならないほどの恐怖。
たった一人、ブランの力にさえ勝てなかったというのに、ジュリアスに恨みを持つ敵国に差し出されるなど、死ねと言われているのと同義である。
「そんな……! グロウさまは王族なのになぜそんなことするんです!?」
「そんなこと決まっているだろう。ジュリアスが目障りだからさ! あいつばかり兄上に目をかけてもらって……! おれのほうが優秀だというのに!! だからジュリアスではなくおれのほうが優秀だということを兄上にアピールするのさ!! そしてジュリアスにも一矢報いることができる!」
(ジュリアスが憎いからって隣国を巻き込むだなんて……!)
こんな人物が騎士団長を務めているという事実に目眩がする。
そしてなぜギルベルト国王がジュリアスを頼っているのかもマリーリは察した。
「何、安心しろ。殺させはしないさ。程々に甚振られたあとにおれが助けてやる。おれの手柄として、な。相手も全員粛清するから安心しろ」
つまり隣国に自分という餌をやり、それに群がっている間に一網打尽にするというつもりらしいと知って、マリーリは目の前が真っ暗になる。
自分の手柄、ジュリアスよりも活躍するというところをギルベルト国王に見せつけるためだけに自分は利用されるのかとマリーリは絶望した。
「少々痛い目に遭うかもしれんが、さらに薬を盛って全部忘れさせてやるから安心しろ。あぁ、いっそジュリアスのことも忘れてしまったら面白いな。あぁ、それは傑作だな!! あはははははは!!」
(狂ってる……)
目の前で笑う男は正気の沙汰ではないとマリーリは絶望しながらも、どうしたらこの状況を脱せられるのかと思考を巡らせるのであった。
「貴様には関係ないことだ」
(関係ないって……人を連行しておいてどういうつもり!?)
それ以上は口を閉ざし、何も言わないグロウ。
マリーリは内心憤るも、相手は王族なので追及したいができない状況だった。
明らかに王都とは別方向、むしろ国境近くに向かっていることに気づき、不安になりながらもグロウに弱気を悟られぬようマリーリは背筋を伸ばして堂々と振る舞う。
「ふんっ。ヤツといいお前といい、随分と癪に触るヤツだな」
「それはどうも」
グロウの態度を見て、どう考えても自分に好意があってこんなことをしてるとマリーリは思えなかった。
一応馬車に乗せられているにしても扱いがいいとは言えず、グロウは愛想もなければ会話もなく、どちらかと言えば忌々しげに一瞥されるのを鑑みても、明らかに好意とは真逆の感情が見え隠れしている。
(一体、何の意図があってこんな脅しのようなことをするのかしら)
マリーリはグロウの意図を探ろうとするも、そもそも接点もあまりなければ自分に利用する価値などがあるとは思えず、思考はすぐに行き詰まった。
しいて言うなら今までの話ぶりから何かジュリアスと確執があるようなのと、キューリスと何かしら繋がっている可能性もなくはないと思うが、それはそれで接点が思い浮かばないため、さらに謎が深まる。
(目的は何?)
様々な可能性を逡巡するも、結局マリーリには皆目見当がつかなかった。
そのため目的地もわからないまま、会話もなくただ馬車に揺られているだけ。
だが、なんとなくこの先自分にとってよくないことが起こりそうな予感はしていた。
(怖い。本当はとても怖い。あのブランのときのようなことがあったら私……)
過去のトラウマに、ギュッと握る手に力がこもった。
何も会話がない空間でだんだんと緊張感だけが高まっていき、マリーリの額には無意識のうちに冷や汗が浮き出て顔色が悪くなっていく。
それを見て、グロウは嬉しそうに口元を歪めるとゆっくりと口を開いた。
「はは、さすがに怖いか。無理もない。貴様には相当量の薬が盛られているはずだからな。本当は今すぐにでも泣き出して逃げ出したいのだろう?」
「薬……? 何のことですか?」
突然グロウから「薬を盛られた」と言われても身に覚えがなくて、訝しむようにマリーリが眉を顰めるとグロウはクックッと声を殺しながら笑う。
それがあまりにも醜くて、美形だと名高いグロウの表情がこんなにも醜く歪むのかとマリーリの恐怖をさらに煽った。
「あのキューリスという娘からずっと薬を盛られていたのさ。キミが何も知らずに彼女と仲良くしていた頃からね」
「え? そんな、まさか……」
思わぬグロウの告白に、絶句するマリーリ。
そんな以前から一体何の薬を飲まされていたというのか、と不安で震える。
「お前はよっぽど効きが悪いようだがな。この薬を大量に盛られた者は普通なら精神が錯乱して死んでいてもおかしくないはずだが」
「うそ……そんなわけ……」
「身に覚えがないわけではないだろう? たまによからぬ妄想に取り憑かれて悲観し、死にたくなることはないか?」
「そ、れは……」
(もしかして、私が悪いことを考えがちだと思っていたのは薬のせい……?)
言われてみれば辻褄が合うことが多い。
キューリスと会ったのはブランとの婚約後ではあったが、その頃からブランと少しずつギクシャクし始めたし、あまり考え込まない楽天家だったはずが悪いほう悪いほうに思考がいきがちなのもその時期辺りであった。
社交界に出なくなったのも、そもそもキューリスが周りが自分の悪口を言ってると教えてくれて、それで実際に遠巻きにされたことがキッカケであるとだんだん鮮明に記憶が蘇ってくる。
(全部、キューリスに薬を盛られていたせい……)
「もはや致死量と言っていいほど盛られてるはずなのに未だに平気にしているというのは、ある意味賛辞に値するだろう」
「それを私に言ってどうするんです?」
「さすがタフなだけはある。それを見込んで今後の話をしよう。このあと越境し、隣国へと入る」
「隣国へ……!?」
隣国とは牽制し合っている仲で、いつ戦争が始まってもおかしくないほどピリピリとした状態だ。
その国へ行くだなんて死地に向かっていると言っても過言ではない。
ますますマリーリの顔色が青ざめた。
「ところで、ジュリアスがどうして出世したかは聞いているか?」
「それは、隣国に奪われた土地を取り戻したって……」
「そうだ。つまり隣国のヤツらはあいつに怨みを持っている。理不尽な逆恨みというやつだが、あちらからしたら土地を奪った敵国の男だからな」
「それが、私に一体何の関係が?」
「大アリさ。敵国はジュリアスが最も大切にしている宝……お前を奪えるのだからな」
(まさか、私をジュリアスへの仕返しに利用するということ?)
ますますとんでもないことだとマリーリは恐怖で凍りつく。
ブランのときとは比べものにならないほどの恐怖。
たった一人、ブランの力にさえ勝てなかったというのに、ジュリアスに恨みを持つ敵国に差し出されるなど、死ねと言われているのと同義である。
「そんな……! グロウさまは王族なのになぜそんなことするんです!?」
「そんなこと決まっているだろう。ジュリアスが目障りだからさ! あいつばかり兄上に目をかけてもらって……! おれのほうが優秀だというのに!! だからジュリアスではなくおれのほうが優秀だということを兄上にアピールするのさ!! そしてジュリアスにも一矢報いることができる!」
(ジュリアスが憎いからって隣国を巻き込むだなんて……!)
こんな人物が騎士団長を務めているという事実に目眩がする。
そしてなぜギルベルト国王がジュリアスを頼っているのかもマリーリは察した。
「何、安心しろ。殺させはしないさ。程々に甚振られたあとにおれが助けてやる。おれの手柄として、な。相手も全員粛清するから安心しろ」
つまり隣国に自分という餌をやり、それに群がっている間に一網打尽にするというつもりらしいと知って、マリーリは目の前が真っ暗になる。
自分の手柄、ジュリアスよりも活躍するというところをギルベルト国王に見せつけるためだけに自分は利用されるのかとマリーリは絶望した。
「少々痛い目に遭うかもしれんが、さらに薬を盛って全部忘れさせてやるから安心しろ。あぁ、いっそジュリアスのことも忘れてしまったら面白いな。あぁ、それは傑作だな!! あはははははは!!」
(狂ってる……)
目の前で笑う男は正気の沙汰ではないとマリーリは絶望しながらも、どうしたらこの状況を脱せられるのかと思考を巡らせるのであった。
0
お気に入りに追加
2,231
あなたにおすすめの小説
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
王太子殿下から婚約破棄されたのは冷たい私のせいですか?
ねーさん
恋愛
公爵令嬢であるアリシアは王太子殿下と婚約してから十年、王太子妃教育に勤しんで来た。
なのに王太子殿下は男爵令嬢とイチャイチャ…諫めるアリシアを悪者扱い。「アリシア様は殿下に冷たい」なんて男爵令嬢に言われ、結果、婚約は破棄。
王太子妃になるため自由な時間もなく頑張って来たのに、私は駒じゃありません!
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒―
私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。
「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」
その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。
※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。

【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる