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5章【外交編・モットー国】
1 謝罪
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「改めて、今回は色々とお騒がせしました」
出港してすぐ、とりあえずクエリーシェル、ヒューベルト、船長、船員と船長前にみんなを集めるだけ集めてお詫びの意味を込めて頭を下げる。
今回のサハリ国では到着早々捕虜として捕まり、その後擬似結婚式までとにかくバタバタだった。
しかも、部屋から生活圏から別れてしまっていたため、クエリーシェルはさておきほとんどのメンバーと朝食時に顔を合わせることはあっても、ほぼ会話などはできない状況だtらのだ。
「いや、まぁ……捕まったのはびっくりしたが、そのあとは歓待してもらえたし、いいベッドで美味い食事にありつけたから、俺としては問題なかったけどな」
「あぁ、確かに!あんなに柔らかいベッドで寝たのなんていつぶりだったか!」
「飯もスッゲーうまかったしな!」
「あと、ねーちゃんが美人でな!」
ガハハハ、と船長を皮切りに船員達もそこまで気にしていなかったようで、ちょっとホッとする。いや、ただ私を気遣ってそう言ってくれたのかもしれないが、それでもそう言ってもらえて安堵した。
「とりあえず、今後の進路ですが」
「お、切り替え早いな、嬢ちゃん。さぁさぁ、お前らはさっさと持ち場に戻れー!この先も荒れる可能性があるからな!」
船長が追い立てるように船員達を各持ち場へ戻るように指示する。さすがの普段傍若な船員達も船長の言うことは絶対なので、慌てて彼らは持ち場へと戻っていった。
残ったのは、私とクエリーシェルとヒューベルトと船長である。
「……で、今後はどうするって?」
「地図をもらったので、それを見ながら説明します」
バッと机の上に、ブランシェからもらった地図を広げる。そして重石代わりに、適当に散らばっているものを上に乗せておく。
「現在地がここ。まだサハリからそう遠くない場所ですが、ここから東に向かって北上していきます。ですが、この辺りには海賊が出るそうなので、なるべく入り江は避けて、遠回りするのがいいかと言ってました」
「あー、海賊かぁ。この辺りは酒の流通もあって、活動が盛んだからなぁ」
「えぇ、そうなんです。ですが今回、帝国がモットーの酒流通ルートを掌握したらしいので、今後の動きがどうなるか予測できないそうで、その辺りは不安視すべき点ではあると思います」
地図に、ブランシェから得た情報をいくつか書き込みを入れつつ説明する。情報は新しければ新しいほどよい。そのため、持てる情報を全て吐き出す必要があった。
「なるほどな。俺もちょっくらサハリで海に出るやつらから話を聞いたが、最近はどうにも海賊が荒れているらしいと言っていたが、帝国によってルート規制がかけられているのかもしれないな」
「船長、サハリ国の言葉わかるんですか?」
「あぁ?よくはわからんけど、あーいうのはノリでどうにかなるもんだろ」
話の途中でつい気になってしまって訪ねてしまったが、船長は特に気にした様子もなく笑っている。
ただのガサツな人だと思っていたが、こういう他国でも怖気つかずに行くところは肝っ玉が据わっていると思う。
そして、情報収集の上でも抜け目がないというか、地理や天候、各国の情勢などを考慮することができる上でも、この人はちゃんと船長たる素質を持っている人なのだとしみじみ実感した。
「すみません、話を脱線させましたが、とにかくその情報が正しければ、入り江からもう少し沖の辺りに出張ってきてる可能性がありますね。あちらも生活がかかってるでしょうから、少しでも多くの船から強奪できるように躍起になっているかと」
「その可能性はあるな。とりあえず、警戒に関しては目がいいやつをメインに見張り番のシフトを出すようにしよう」
「そうしていただけると助かります」
その後、海域の説明やら各国の情勢について話し始める。本来なら秘密裏にしていることも今回はオープンだ。船長もその辺りは心得ているのだろう、あえて声の音量は抑えていた。
「ブライエに行くためには、モットーを通らねばならねーんだよな。となると、この船はどうすればいい?」
「それが一番の悩みどころです」
「ん?どういうことだ」
先程まで沈黙していたクエリーシェルが口を出してくる。地図から多少離れていたからか、きちんと地理を把握できていないようだった。
「ここを見てください」
「んん?……随分と変わった地形だな」
今度はモットーとブライエのみを記載した詳細地図を出す。それを覗き込んだクエリーシェルが難しい顔をするが、それは無理もなかった。
土地の構造上、周りが大きな崖地に囲まれたモットーは、通常であれば海岸から着岸するしかない。
そして、完全にモットーだけでなくブライエの周りまでもが崖で覆われているため、どうやってもブライエに行くためにはモットーを通るしか方法がないのだ。
出港してすぐ、とりあえずクエリーシェル、ヒューベルト、船長、船員と船長前にみんなを集めるだけ集めてお詫びの意味を込めて頭を下げる。
今回のサハリ国では到着早々捕虜として捕まり、その後擬似結婚式までとにかくバタバタだった。
しかも、部屋から生活圏から別れてしまっていたため、クエリーシェルはさておきほとんどのメンバーと朝食時に顔を合わせることはあっても、ほぼ会話などはできない状況だtらのだ。
「いや、まぁ……捕まったのはびっくりしたが、そのあとは歓待してもらえたし、いいベッドで美味い食事にありつけたから、俺としては問題なかったけどな」
「あぁ、確かに!あんなに柔らかいベッドで寝たのなんていつぶりだったか!」
「飯もスッゲーうまかったしな!」
「あと、ねーちゃんが美人でな!」
ガハハハ、と船長を皮切りに船員達もそこまで気にしていなかったようで、ちょっとホッとする。いや、ただ私を気遣ってそう言ってくれたのかもしれないが、それでもそう言ってもらえて安堵した。
「とりあえず、今後の進路ですが」
「お、切り替え早いな、嬢ちゃん。さぁさぁ、お前らはさっさと持ち場に戻れー!この先も荒れる可能性があるからな!」
船長が追い立てるように船員達を各持ち場へ戻るように指示する。さすがの普段傍若な船員達も船長の言うことは絶対なので、慌てて彼らは持ち場へと戻っていった。
残ったのは、私とクエリーシェルとヒューベルトと船長である。
「……で、今後はどうするって?」
「地図をもらったので、それを見ながら説明します」
バッと机の上に、ブランシェからもらった地図を広げる。そして重石代わりに、適当に散らばっているものを上に乗せておく。
「現在地がここ。まだサハリからそう遠くない場所ですが、ここから東に向かって北上していきます。ですが、この辺りには海賊が出るそうなので、なるべく入り江は避けて、遠回りするのがいいかと言ってました」
「あー、海賊かぁ。この辺りは酒の流通もあって、活動が盛んだからなぁ」
「えぇ、そうなんです。ですが今回、帝国がモットーの酒流通ルートを掌握したらしいので、今後の動きがどうなるか予測できないそうで、その辺りは不安視すべき点ではあると思います」
地図に、ブランシェから得た情報をいくつか書き込みを入れつつ説明する。情報は新しければ新しいほどよい。そのため、持てる情報を全て吐き出す必要があった。
「なるほどな。俺もちょっくらサハリで海に出るやつらから話を聞いたが、最近はどうにも海賊が荒れているらしいと言っていたが、帝国によってルート規制がかけられているのかもしれないな」
「船長、サハリ国の言葉わかるんですか?」
「あぁ?よくはわからんけど、あーいうのはノリでどうにかなるもんだろ」
話の途中でつい気になってしまって訪ねてしまったが、船長は特に気にした様子もなく笑っている。
ただのガサツな人だと思っていたが、こういう他国でも怖気つかずに行くところは肝っ玉が据わっていると思う。
そして、情報収集の上でも抜け目がないというか、地理や天候、各国の情勢などを考慮することができる上でも、この人はちゃんと船長たる素質を持っている人なのだとしみじみ実感した。
「すみません、話を脱線させましたが、とにかくその情報が正しければ、入り江からもう少し沖の辺りに出張ってきてる可能性がありますね。あちらも生活がかかってるでしょうから、少しでも多くの船から強奪できるように躍起になっているかと」
「その可能性はあるな。とりあえず、警戒に関しては目がいいやつをメインに見張り番のシフトを出すようにしよう」
「そうしていただけると助かります」
その後、海域の説明やら各国の情勢について話し始める。本来なら秘密裏にしていることも今回はオープンだ。船長もその辺りは心得ているのだろう、あえて声の音量は抑えていた。
「ブライエに行くためには、モットーを通らねばならねーんだよな。となると、この船はどうすればいい?」
「それが一番の悩みどころです」
「ん?どういうことだ」
先程まで沈黙していたクエリーシェルが口を出してくる。地図から多少離れていたからか、きちんと地理を把握できていないようだった。
「ここを見てください」
「んん?……随分と変わった地形だな」
今度はモットーとブライエのみを記載した詳細地図を出す。それを覗き込んだクエリーシェルが難しい顔をするが、それは無理もなかった。
土地の構造上、周りが大きな崖地に囲まれたモットーは、通常であれば海岸から着岸するしかない。
そして、完全にモットーだけでなくブライエの周りまでもが崖で覆われているため、どうやってもブライエに行くためにはモットーを通るしか方法がないのだ。
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