315 / 437
4.5章【閑話休題・マーラの物語】
マーラの物語15
しおりを挟む
ブランシェ国王曰く、今回の結婚式は偽装だったらしい。
何でも、詳細はあまりわからないのか教えてくださらなかっただけなのかは不明だが、ステラは少々訳ありだそうで、身柄を狙われていたらしい。
そして今回、どういう理由かは不明だがワタクシはステラと間違えられて拐われてしまったらしい。
そして、それに気づき、ステラがブランシェ国王にワタクシを迎えに行くように指示を出したとかどうとか。
そして、今回のステラを拐う計略を立てたのがブランシェ国王のご両親であり、前国王だとか、情報量が多すぎて理解が追いつかない。
「とにかく、マーラが無事でよかった。キミに何かあったらと思ったら……」
「ご心配いただき、どうもありがとうございます。急いできてくださったのですか?」
「まぁね。どの辺りまで進んでるかはわからなかったから、適当に目星をつけてきたけど、当たってよかった。やはり土地勘のある僕が来れたことが大きかったから、ステラに感謝しないとね」
そう言いながら、ホッとしたように笑いかけてくるブランシェ国王。確かに、土地勘の件もそうだが、個人的に現金だと思うもののステラよりもブランシェ国王に来てもらえて嬉しかったのも事実だ。
その辺りもステラは考慮してくれたのだろうか。そうだったら、やっぱりあの人は凄いと思う。
ブランシェ国王は、先程まで額に浮かんでいた汗もひき、いつもの素敵な顔つきに戻っているのが何だかちょっと羨ましい。
そして、ボロボロの自分が恥ずかしい。
せっかくブランシェ国王からのプレゼントだというのに、不可抗力とはいえ早々に汚して傷物にしてしまってしょんぼりしてしまう。
「どうしたんだい?」
「あ、いえ……何でも……」
ワタクシの様子をすぐに察したブランシェ国王が訪ねてくれるが、こんなしょうもないことを口に出すのは憚られて、口を閉ざす。
すると、「ダーメ」と頬に触れられたかと思えば、ブランシェ国王のほうに顔を向けらさせられた。
「たまにマーラは言いたいことを溜め込むところがあるよね。それは、あまりよくないよ。言いたいこと言わないで溜めたままでは身体……いや、精神に毒だよ」
「毒、ですか……」
「うん。僕も経験があるけど、ただ悶々と溜め込んでいても、腐すだけだからね。だから言いたいことははっきりと、ちゃんと伝えることも大事だと思うよ」
(飲み込まずに、伝える)
真っ直ぐにワタクシの瞳を見つめてくるブランシェ国王に気づいて、急に恥ずかしくなってくる。きっとワタクシを心配しているだけで他意はないことはわかっているが、それでもなんだか恥ずかしい。
言いたいことを言え、と暗に圧力をかけられていることもあって、居た堪れず「あの……」と口を開く。
「せっかくブランシェ国王が誂えてくださった服を、その……こんな状態にしてしまって……申し訳ないなぁ、と思いまして……」
「なんだ、そんなこと。いや、そんなことではないか。まぁ、でもそもそもキミのせいではないしね。元を辿れば僕の責任さ。せっかく仕立てたものは残念だけど、僕としてはキミの命のほうが大切だし、服ならまた仕立てればいいのだから気にしないでくれ」
「ありがとう、ございます」
優しく頭を撫でられて、あまりそういうことをされ慣れていないから顔が熱くなる。まるで茹だったように頬が赤くなっている気がする。
「……それにしても、やっぱり僕の見立て通りだ。とてもキミによく似合っている。今回は残念だったが、次は一緒に選んでもっといいものを仕立ててみせるよ」
「ありがとうございます。嬉しい、です」
嬉しい、と素直に言えばさらに嬉しそうに微笑まれる。
(あぁ、やっぱりワタクシはこの方が好きですわ)
胸が熱くなるのを感じる。ブランシェ国王の傍らにいるというのがとても心地よかった。
「さて、ステラを待たせているからな。無事に決着がついていればいいが、我が父ながら前国王は意地が悪いから、何もなければいいのだが……」
「そうですわね。ステラが無事だといいのですが」
彼女はきっと強いから大丈夫、でも、何かあったら……。
そう思うと気が気でなくて、逸る気持ちを抑えながら、ブランシェ国王との時間は名残惜しいものの、ステラの身を案じて、城に着くのをまだかまだかと思っていた。
何でも、詳細はあまりわからないのか教えてくださらなかっただけなのかは不明だが、ステラは少々訳ありだそうで、身柄を狙われていたらしい。
そして今回、どういう理由かは不明だがワタクシはステラと間違えられて拐われてしまったらしい。
そして、それに気づき、ステラがブランシェ国王にワタクシを迎えに行くように指示を出したとかどうとか。
そして、今回のステラを拐う計略を立てたのがブランシェ国王のご両親であり、前国王だとか、情報量が多すぎて理解が追いつかない。
「とにかく、マーラが無事でよかった。キミに何かあったらと思ったら……」
「ご心配いただき、どうもありがとうございます。急いできてくださったのですか?」
「まぁね。どの辺りまで進んでるかはわからなかったから、適当に目星をつけてきたけど、当たってよかった。やはり土地勘のある僕が来れたことが大きかったから、ステラに感謝しないとね」
そう言いながら、ホッとしたように笑いかけてくるブランシェ国王。確かに、土地勘の件もそうだが、個人的に現金だと思うもののステラよりもブランシェ国王に来てもらえて嬉しかったのも事実だ。
その辺りもステラは考慮してくれたのだろうか。そうだったら、やっぱりあの人は凄いと思う。
ブランシェ国王は、先程まで額に浮かんでいた汗もひき、いつもの素敵な顔つきに戻っているのが何だかちょっと羨ましい。
そして、ボロボロの自分が恥ずかしい。
せっかくブランシェ国王からのプレゼントだというのに、不可抗力とはいえ早々に汚して傷物にしてしまってしょんぼりしてしまう。
「どうしたんだい?」
「あ、いえ……何でも……」
ワタクシの様子をすぐに察したブランシェ国王が訪ねてくれるが、こんなしょうもないことを口に出すのは憚られて、口を閉ざす。
すると、「ダーメ」と頬に触れられたかと思えば、ブランシェ国王のほうに顔を向けらさせられた。
「たまにマーラは言いたいことを溜め込むところがあるよね。それは、あまりよくないよ。言いたいこと言わないで溜めたままでは身体……いや、精神に毒だよ」
「毒、ですか……」
「うん。僕も経験があるけど、ただ悶々と溜め込んでいても、腐すだけだからね。だから言いたいことははっきりと、ちゃんと伝えることも大事だと思うよ」
(飲み込まずに、伝える)
真っ直ぐにワタクシの瞳を見つめてくるブランシェ国王に気づいて、急に恥ずかしくなってくる。きっとワタクシを心配しているだけで他意はないことはわかっているが、それでもなんだか恥ずかしい。
言いたいことを言え、と暗に圧力をかけられていることもあって、居た堪れず「あの……」と口を開く。
「せっかくブランシェ国王が誂えてくださった服を、その……こんな状態にしてしまって……申し訳ないなぁ、と思いまして……」
「なんだ、そんなこと。いや、そんなことではないか。まぁ、でもそもそもキミのせいではないしね。元を辿れば僕の責任さ。せっかく仕立てたものは残念だけど、僕としてはキミの命のほうが大切だし、服ならまた仕立てればいいのだから気にしないでくれ」
「ありがとう、ございます」
優しく頭を撫でられて、あまりそういうことをされ慣れていないから顔が熱くなる。まるで茹だったように頬が赤くなっている気がする。
「……それにしても、やっぱり僕の見立て通りだ。とてもキミによく似合っている。今回は残念だったが、次は一緒に選んでもっといいものを仕立ててみせるよ」
「ありがとうございます。嬉しい、です」
嬉しい、と素直に言えばさらに嬉しそうに微笑まれる。
(あぁ、やっぱりワタクシはこの方が好きですわ)
胸が熱くなるのを感じる。ブランシェ国王の傍らにいるというのがとても心地よかった。
「さて、ステラを待たせているからな。無事に決着がついていればいいが、我が父ながら前国王は意地が悪いから、何もなければいいのだが……」
「そうですわね。ステラが無事だといいのですが」
彼女はきっと強いから大丈夫、でも、何かあったら……。
そう思うと気が気でなくて、逸る気持ちを抑えながら、ブランシェ国王との時間は名残惜しいものの、ステラの身を案じて、城に着くのをまだかまだかと思っていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,923
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる