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第九十四話 エピローグ③
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「とにかく、ここで話しても埒が明かないから家に来い!」
「やだっ! 離してってば!」
元カレが私の腕を引っ張り無理矢理連れて行かれそうになる。必死に抵抗するも、お腹を庇っているため上手く逃げ出せなかった。
恐い。恐い。恐い。恐い。
今まで味わったことのない恐怖。最強だったからこそ、こんなにも一方的にされるがままなことがなくて、どうしたらいいのかわからなかった。
「いい加減にしろっ!」
「……やだっ、ヴィル……っ!」
「うわっ!? あっちぃ!!」
ヴィルの名を呼ぶと突然元カレが私の腕を離し、慌てふためき始める。よく見るとお尻に火がついていた。訳がわからず混乱していると、何者かにギュッと抱きしめられる。
「オレの妻に何をする!」
顔を上げるとそこには額に汗を滲ませつつも凛々しい顔をしたヴィルがいた。
「あち、あちちち! は? 妻!?」
「貴様! 彼女は我が国の聖女。そして我がマルデリア王国王子、ヴィデルハルトの妻と知っての狼藉か!?」
「せ、聖女で、王子の妻……!? いや、オレは、えっと、その、勘違いというか」
「不審者として貴様を拘束する! グルー!」
「……不届者ニハ相応ノ罰ヲ与エネバナ」
「ひぃ!」
グルーが普段の大きさで魔物らしく凄むと、そのまま白目を剥いて意識を失う元カレ。それを「なんじゃ、情けないのう。ではちと近衛兵達のとこへ連れて行くとするか」と呆れながらグルーは元カレの首根っこを咥えてそのまま飛んで行った。
「無事か、シオン」
「ヴィル。ありがとう助かった」
ギュッとしがみつくと強く抱きしめられる。そこで初めて自分が震えていたことに気づいた。
「間に合ってよかった」
「ごめん、心配かけて」
「シオンが無事ならそれでいい」
上向くとそのまま唇が重なる。何度か重ねるとだんだんと気持ちも落ち着いてきた。
「でも、あんな手荒な真似して大丈夫だったの? あいつも一応国民なわけだし」
「ふんっ、シオンに手を出すやつは国民だろうがなんだろうが許すわけないだろ」
「そうなの?」
「そうだ。シオンはオレにとって大切な存在だからな」
「……ありがとう」
微笑むと再び何度も口づけられる。ヴィルは思ったより執着が強いらしい。
「こら、ヴィル。しすぎ」
「好きなんだからいいだろ」
「そうだけどさー」
「シオン。愛してる」
「私も」
愛されていると実感する。
愛してくれたのは、結婚、子供、家族とずっとずっと欲しかったものをくれて、こんなダメダメな私を守って諭してくれる人。
誰よりも私のことを大事にしてくれる人と結婚できて、私は最強で最高に幸せな聖女だ。
終
「やだっ! 離してってば!」
元カレが私の腕を引っ張り無理矢理連れて行かれそうになる。必死に抵抗するも、お腹を庇っているため上手く逃げ出せなかった。
恐い。恐い。恐い。恐い。
今まで味わったことのない恐怖。最強だったからこそ、こんなにも一方的にされるがままなことがなくて、どうしたらいいのかわからなかった。
「いい加減にしろっ!」
「……やだっ、ヴィル……っ!」
「うわっ!? あっちぃ!!」
ヴィルの名を呼ぶと突然元カレが私の腕を離し、慌てふためき始める。よく見るとお尻に火がついていた。訳がわからず混乱していると、何者かにギュッと抱きしめられる。
「オレの妻に何をする!」
顔を上げるとそこには額に汗を滲ませつつも凛々しい顔をしたヴィルがいた。
「あち、あちちち! は? 妻!?」
「貴様! 彼女は我が国の聖女。そして我がマルデリア王国王子、ヴィデルハルトの妻と知っての狼藉か!?」
「せ、聖女で、王子の妻……!? いや、オレは、えっと、その、勘違いというか」
「不審者として貴様を拘束する! グルー!」
「……不届者ニハ相応ノ罰ヲ与エネバナ」
「ひぃ!」
グルーが普段の大きさで魔物らしく凄むと、そのまま白目を剥いて意識を失う元カレ。それを「なんじゃ、情けないのう。ではちと近衛兵達のとこへ連れて行くとするか」と呆れながらグルーは元カレの首根っこを咥えてそのまま飛んで行った。
「無事か、シオン」
「ヴィル。ありがとう助かった」
ギュッとしがみつくと強く抱きしめられる。そこで初めて自分が震えていたことに気づいた。
「間に合ってよかった」
「ごめん、心配かけて」
「シオンが無事ならそれでいい」
上向くとそのまま唇が重なる。何度か重ねるとだんだんと気持ちも落ち着いてきた。
「でも、あんな手荒な真似して大丈夫だったの? あいつも一応国民なわけだし」
「ふんっ、シオンに手を出すやつは国民だろうがなんだろうが許すわけないだろ」
「そうなの?」
「そうだ。シオンはオレにとって大切な存在だからな」
「……ありがとう」
微笑むと再び何度も口づけられる。ヴィルは思ったより執着が強いらしい。
「こら、ヴィル。しすぎ」
「好きなんだからいいだろ」
「そうだけどさー」
「シオン。愛してる」
「私も」
愛されていると実感する。
愛してくれたのは、結婚、子供、家族とずっとずっと欲しかったものをくれて、こんなダメダメな私を守って諭してくれる人。
誰よりも私のことを大事にしてくれる人と結婚できて、私は最強で最高に幸せな聖女だ。
終
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そして面白いとおっしゃっていただけてとても嬉しいです!!
グルーが絶対面倒見させられること間違いなしですね笑
めっちゃ乗られたり悪戯されたりして、シオンとヴィルに助けてくれーって言ってそうw
どうぞどうぞ!
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感想どうもありがとうございます!
面白いとおっしゃっていただけてとても嬉しいです!!
ありがとうございます〜!
もう一度吹っ飛ばされるのがいいか、塀にぶち込まれるのがいいか笑
吹っ切れた二人はイチャイチャらぶらぶですが、若干シオンのほうは引き気味かもですねw
このまま末永く幸せに、楽しい家族パーティーで世界平和に貢献すると思います笑