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第九十話 星空
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「はぁ、やっと解放された~!」
大きく息を吐きながら身体を伸ばす。
慰労にかこつけたパーティーが終わり、王城内のあてがわれた部屋へ戻る途中、少しでも外の空気が吸いたくなってテラスに出る。
そこには誰もいなくて、先程までの喧騒も嘘のように静かだった。酒を飲まされて火照ってしまった身体に当たる夜風が心地よく、少しだけ心が安らぐ。
「あー疲れたー。回復魔法でこの疲労の倦怠感も回復できたらいいのに……」
グルーの背に乗って帝都の王城まで戻ってきたはいいが、帰ってくるなり報告だのパーティーだのと大忙しだった。
会食では旅でのことを根掘り葉掘り聞かれ、ダンスパーティーでは慣れないダンスを踊らされ。先程ようやくパーティーが終わったのだが、普段と違って気を遣うことが多かったせいか身体中バキバキになっていた。
この疲れが溜まる感じは年をとったせいな気もしないが、認めたくはなかったのであえて慣れないことをしたせいだと自分で自分に言い訳する。
「こんなところにいたのか」
声をかけられて振り向くと、そこにはヴィルが立っていた。
相変わらずパーティー後だというのに服の乱れもなくイケメンのままだ。
「王子様がこんなとこにいてもいいの?」
「シオンが迷子になってないか確認しに来ただけだ」
「失礼ね。迷子じゃなくてわざと道を外れただけ。ちょっと休みたくて」
テラスの手すりにもたれかかるように空を見上げると、満天の星空。こうして空をゆっくり見上げるの久しぶりだなぁと思っていると隣にヴィルがやってくる。
「さっきまでずっと飲めや歌えや踊れやだったしな」
「そそ。もう疲れちゃった。帰ってきてから休む間もなくだったし」
「悪いな。父さんも悪気があったわけじゃないんだが、何でもすぐに行動したがる人だから」
「あー、前にもそんなこと言ってたわよね。実際、聖女になれって言われたときもそんな感じだったし」
思い返してみれば、あのときも断ってるのにヴィルと結婚させようとしたり大司教を呼んで説得させようとしたりと強引だった気がする。
とはいえ、その説得でこうして聖女になることに決めたわけだが。
「でも、結婚認められてよかったじゃないか」
「まぁね~」
「どうしたんだ? もっと喜ぶかと思ったのに」
「そりゃあ嬉しいは嬉しいけどさぁ」
約束通り試練をクリアしたので、聖女になったあとも結婚の許可はもらえたのだが……
「でも、結局聖女としての活動は続けなきゃいけないわけじゃない? それなのに魔王を倒した聖女として知れ渡らせられたら私、結婚から遠ざかると思わない?」
「あー……」
「美しくて可憐で優しい聖女が人生のパートナーを探してます。とかだったらきっと引くて数多だったかもしれないのに、魔王倒した聖女です! 結婚相手募集中です! じゃ、印象全然違うでしょ」
「それは、そうだな」
試練をクリアし、ついでに魔王も倒したことを報告したあと、王様は何を思ったか国民全員に私のことを魔王を倒した聖女として大々的に発表したのだ。まさに絶望である。
「もう信じられないよね。何考えてんのか。こっちは本気で結婚したいってのに! 王様じゃなかったら殴ってたわ」
「あーその、何だ。それについては身内として謝る」
「別にヴィルが謝る必要はないから。言っちゃったもんは仕方ないし。でも、もしこれで婚期が遠のいたら王様には責任とってもらうからね」
万が一これで結婚相手がいなくなったら本気で婚活パーティーでも開いてもらおう。こうなりゃ職権でも何でも濫用してやる。
大きく息を吐きながら身体を伸ばす。
慰労にかこつけたパーティーが終わり、王城内のあてがわれた部屋へ戻る途中、少しでも外の空気が吸いたくなってテラスに出る。
そこには誰もいなくて、先程までの喧騒も嘘のように静かだった。酒を飲まされて火照ってしまった身体に当たる夜風が心地よく、少しだけ心が安らぐ。
「あー疲れたー。回復魔法でこの疲労の倦怠感も回復できたらいいのに……」
グルーの背に乗って帝都の王城まで戻ってきたはいいが、帰ってくるなり報告だのパーティーだのと大忙しだった。
会食では旅でのことを根掘り葉掘り聞かれ、ダンスパーティーでは慣れないダンスを踊らされ。先程ようやくパーティーが終わったのだが、普段と違って気を遣うことが多かったせいか身体中バキバキになっていた。
この疲れが溜まる感じは年をとったせいな気もしないが、認めたくはなかったのであえて慣れないことをしたせいだと自分で自分に言い訳する。
「こんなところにいたのか」
声をかけられて振り向くと、そこにはヴィルが立っていた。
相変わらずパーティー後だというのに服の乱れもなくイケメンのままだ。
「王子様がこんなとこにいてもいいの?」
「シオンが迷子になってないか確認しに来ただけだ」
「失礼ね。迷子じゃなくてわざと道を外れただけ。ちょっと休みたくて」
テラスの手すりにもたれかかるように空を見上げると、満天の星空。こうして空をゆっくり見上げるの久しぶりだなぁと思っていると隣にヴィルがやってくる。
「さっきまでずっと飲めや歌えや踊れやだったしな」
「そそ。もう疲れちゃった。帰ってきてから休む間もなくだったし」
「悪いな。父さんも悪気があったわけじゃないんだが、何でもすぐに行動したがる人だから」
「あー、前にもそんなこと言ってたわよね。実際、聖女になれって言われたときもそんな感じだったし」
思い返してみれば、あのときも断ってるのにヴィルと結婚させようとしたり大司教を呼んで説得させようとしたりと強引だった気がする。
とはいえ、その説得でこうして聖女になることに決めたわけだが。
「でも、結婚認められてよかったじゃないか」
「まぁね~」
「どうしたんだ? もっと喜ぶかと思ったのに」
「そりゃあ嬉しいは嬉しいけどさぁ」
約束通り試練をクリアしたので、聖女になったあとも結婚の許可はもらえたのだが……
「でも、結局聖女としての活動は続けなきゃいけないわけじゃない? それなのに魔王を倒した聖女として知れ渡らせられたら私、結婚から遠ざかると思わない?」
「あー……」
「美しくて可憐で優しい聖女が人生のパートナーを探してます。とかだったらきっと引くて数多だったかもしれないのに、魔王倒した聖女です! 結婚相手募集中です! じゃ、印象全然違うでしょ」
「それは、そうだな」
試練をクリアし、ついでに魔王も倒したことを報告したあと、王様は何を思ったか国民全員に私のことを魔王を倒した聖女として大々的に発表したのだ。まさに絶望である。
「もう信じられないよね。何考えてんのか。こっちは本気で結婚したいってのに! 王様じゃなかったら殴ってたわ」
「あーその、何だ。それについては身内として謝る」
「別にヴィルが謝る必要はないから。言っちゃったもんは仕方ないし。でも、もしこれで婚期が遠のいたら王様には責任とってもらうからね」
万が一これで結婚相手がいなくなったら本気で婚活パーティーでも開いてもらおう。こうなりゃ職権でも何でも濫用してやる。
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