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第八十八話 ネックレス
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一応、あまり変なところを触ったつもりはないが、ヴィルは恥ずかしかったらしく真っ赤になっていた。
「全く。無茶するんだから」
「シオンに言われたくない。あぁ、あとこれのおかげで助かった。ありがとう」
言われて視線を落とすとそこには以前あげたネックレスが。なるほど、これのおかげでヴィルは死なずに済んだらしい。過去の私グッジョブすぎる。
「てか、どうなってるんだ? 魔王は? 一体、何がどうなって……」
「ふっふっふー。何を隠そう、この最強の聖女たる私が倒したわよ!」
「……は? じょ、冗談だろ?」
ふふん、と胸を張るとあからさまに怪訝そうな顔をするヴィル。どう見ても信じてないといった感じだ。
「そう思うでしょ? それが本当なんだな~。おかげで城も綺麗になってるでしょ?」
「た、確かに。言われてみればそうだな。……マジか」
「マジで~す」
いぇーいとピースして見せれば苦笑される。そりゃ魔王を倒したと言われても、あれだけの能力差があったし、すぐに理解できないのも無理はない。
「そうか。凄いな、シオン。本当にやってのけるなんて」
「ふふふ。まぁね! でもまぁ、こうして倒せたのもヴィルのおかげではあるけどね。ヴィルのおかげで私が活躍できたわけだし。ありがと、ヴィル」
「っ、あ、あのときのオレにできることと言ったらアレくらいしかなかったし」
「もう、照れちゃって~。素直にどういたしまして、くらい言いなさいよ」
「……別に照れてないし」
「素直じゃないな~」
再びギュッと抱きつく。
「ヴィル、ありがとう」
「……~~っ」
未だに照れている様子のヴィルが面白くて笑っていると、ヴィルは「笑うなよっ」とさらに顔を赤らめていて可愛らしかった。
「……お主らは本当にムードというのに無縁だのう。こういうときくらいブチュッとキスの一つや二つすりゃあいいじゃろうに」
「グルー!」
目の前には呆れたような表情のグルー。いつのまにか近くにいたようだ。
「お、オレ達はそんなんじゃ……っ!」
「素直じゃないのう」
「だから違うって!!」
「はいはい。そんな言い争いしないの。グルーも元気そうでよかった。結構吹っ飛ばされたりしてたけど大丈夫? てか、魔王に真っ黒焦げにされたはずじゃ?」
「あぁ、死にかけたがお主のおかげでこの通りじゃ」
グルーが自分の無事を見せつけるように空中で一回転してみせる。確かに毛並みも良く、特に怪我らしい怪我は見当たらなかった。
「さすが私の契約のおかげね。普通の魔族ならやられてるだろうし」
「そうじゃな。おかげで命拾いしたわ。いや~、それにしてもまさか、お主が本物の勇者と聖女の合いのk「黙れ」」
「全く。無茶するんだから」
「シオンに言われたくない。あぁ、あとこれのおかげで助かった。ありがとう」
言われて視線を落とすとそこには以前あげたネックレスが。なるほど、これのおかげでヴィルは死なずに済んだらしい。過去の私グッジョブすぎる。
「てか、どうなってるんだ? 魔王は? 一体、何がどうなって……」
「ふっふっふー。何を隠そう、この最強の聖女たる私が倒したわよ!」
「……は? じょ、冗談だろ?」
ふふん、と胸を張るとあからさまに怪訝そうな顔をするヴィル。どう見ても信じてないといった感じだ。
「そう思うでしょ? それが本当なんだな~。おかげで城も綺麗になってるでしょ?」
「た、確かに。言われてみればそうだな。……マジか」
「マジで~す」
いぇーいとピースして見せれば苦笑される。そりゃ魔王を倒したと言われても、あれだけの能力差があったし、すぐに理解できないのも無理はない。
「そうか。凄いな、シオン。本当にやってのけるなんて」
「ふふふ。まぁね! でもまぁ、こうして倒せたのもヴィルのおかげではあるけどね。ヴィルのおかげで私が活躍できたわけだし。ありがと、ヴィル」
「っ、あ、あのときのオレにできることと言ったらアレくらいしかなかったし」
「もう、照れちゃって~。素直にどういたしまして、くらい言いなさいよ」
「……別に照れてないし」
「素直じゃないな~」
再びギュッと抱きつく。
「ヴィル、ありがとう」
「……~~っ」
未だに照れている様子のヴィルが面白くて笑っていると、ヴィルは「笑うなよっ」とさらに顔を赤らめていて可愛らしかった。
「……お主らは本当にムードというのに無縁だのう。こういうときくらいブチュッとキスの一つや二つすりゃあいいじゃろうに」
「グルー!」
目の前には呆れたような表情のグルー。いつのまにか近くにいたようだ。
「お、オレ達はそんなんじゃ……っ!」
「素直じゃないのう」
「だから違うって!!」
「はいはい。そんな言い争いしないの。グルーも元気そうでよかった。結構吹っ飛ばされたりしてたけど大丈夫? てか、魔王に真っ黒焦げにされたはずじゃ?」
「あぁ、死にかけたがお主のおかげでこの通りじゃ」
グルーが自分の無事を見せつけるように空中で一回転してみせる。確かに毛並みも良く、特に怪我らしい怪我は見当たらなかった。
「さすが私の契約のおかげね。普通の魔族ならやられてるだろうし」
「そうじゃな。おかげで命拾いしたわ。いや~、それにしてもまさか、お主が本物の勇者と聖女の合いのk「黙れ」」
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