ダメンズメーカー聖女 〜結婚したくて尽くしまくってたら最強の聖女になっちゃいました〜

鳥柄ささみ

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第七十八話 プレッシャー

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 シュド=メルなんて比じゃないほどのプレッシャー。だんだんと威力が増していて、立っているのすらやっとの状態だった。
 周りを見ると村人達は邪気に当てられたせいか皆次々と倒れていく。グルーは魔物なせいもあって、魔力に干渉されたらしく魔物本来の凶暴さが顔を出しそうになっていた。

 さすがにこのままここでやり合うのはマズい!

「癒しを与えよ。邪気を払えよ。ここにいる者全てを正常へと戻せ! リカバリー!!」

 パンッと手を叩いて全体に状態異常解除の魔法をかける。

「あれ、ここは?」
「何がどうなって……」
「グルー! 村人達を村の外に移動させるから彼らを守って!」
「おぉ、わかった!」

 村人達の洗脳を解くと、すかさずグルーに指示を出す。
 私は再びパンッと大きく手の平を叩くとそのまま村人全員を村の外へと避難させ、グルーもそれに合わせて外へ向かった。

「ほう。やるね。さすが僕が見込んだだけはある」
「それはどうも。でも、いくらイケメンだからってやっていいことと悪いことがあるのよ! イケメン無罪というわけにはいかないからね!!」
「それは残念だ」

 魔王が手を振ると、ヴィルのほうに向かってかまいたちが起きる。すかさずパチンと指を鳴らしてショックウェーブを当てると、相殺されてかまいたちは消えてなくなった。

「ふぅん、相打ちか。面白い」
「ヴィル、大丈夫!?」

 パチン、と指を鳴らして回復するとヴィルが唸りながら身体を動かし始めた。

「ヴィル!」
「させないよ」

 ヴィルのところへ駆け寄ろうとするも、そのままヴィルの身体は宙へと浮かぶ。魔法で拘束されているからか、苦悶の表情を浮かべていた。

「ヴィルを離しなさい!」
「嫌だと言ったら?」
「力づくで奪い取るまでよ!」

 ダッと地を蹴って魔王に近づく。そして片手剣を魔法で作り、魔王に斬りかかった。

 ガキンッ

 振り上げた剣は軽く防がれる。そして腕を掴まれたかと思えば、そのまま魔王に引き寄せられた。

「威勢はいいようだね。うんうん、ますます僕の好みだ。キミの力があれば、この世界を意のままに操ることも可能だよ? ねぇ、自分達の世界ってとっても魅力的だと思わないかい?」

 美声で囁かれていつもならキュンキュンとなってしまうが、それよりもヴィルを助けたい気持ちの方がまさっていた。
 けれど、魔王の力が強く、いつもなら簡単に抜けられるはずなのに、魔王の手から抜けることが全然できない。

「全然思わない! 私は今の世界を気に入ってるの。だから魅力的にも思わないし、貴方の言うことなんか聞かない!」
「おや、さっきまでは僕の言葉に耳を傾けてくれたというのに。シオンは僕の顔が好きなんだろう?」
「好きよ! 好きだけど、大事な人を傷つけるのは許せない!!」
「ふふ、正直だね。なら、そのまま素直になっちゃえばいいのに」

 唇を重ねられそうになって、慌てて口を押さえる。キョトンとした顔の魔王。今がチャンスだと、私は早口で詠唱をした。

「万物を司る大地よ大気よ水よ炎よ。今ここで一つになりて爆ぜよ! エクスプロージョン!!」
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