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第七十六話 魔王
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「そんなことよりどうするんじゃ」
「何が?」
「あの魔王と呼ばれておるヤツ、本物じゃぞ」
「え?」
「は!?」
グルーの言葉に呆気に取られる。まさか本物の魔王だなんて思わず、私が呆然してる隣でヴィルは頭を抱えていた。
「え、イケメンすぎてあだ名が魔王様なだけじゃないの?」
「何を言っておるんじゃ。お主、イケメンに惑わされて魔力をよく見ておらんじゃろう」
「はっ、そうだった。えっと……ヤバっ! 魔力の量ヤバっ!!」
「そんなに凄いのか?」
「凄いなんてもんじゃないわよ! 私と同じくらいあるもの」
「それは……色々とマズいんじゃないか?」
「こんにちは。可愛いお嬢さん。何を話しているんだい?」
コソコソと話し合っている間にいつの間にか村人達は消えていて、代わりに魔王が目の前にいた。
近くで見てもやっぱりカッコいい。
声もいいし、物腰も柔らかくて素敵だし、いい匂いがするし、ドキドキするし、これは……恋!?
あまりに好みのタイプで頬を染める。今までの歴代彼氏とは比べものにならないほど、どストライクだった。
「えっと、あの……魔王様がカッコいいなぁ、と」
ぽう、と惚けたように答えれば、「おい、違うだろ!」と隣のヴィルからツッコミが入る。
「おや、それはありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ。ところで、キミの名前は?」
「私ですか? 私はシオンです」
「シオン。美しいキミに見合ったいい名前だね」
「ありがとうございます」
ヴィルが「何で本名を言ったんだ」というような目をしてこちらを見ているが、仕方ない不可抗力だ。いくら魔王と言えど、こんなイケメンに名前を聞かれたら答えないわけにいかない。
「シオンは何をしにここへ?」
「それは……その……魔王様のお噂を聞きまして、一目お目にかかろうと思いまして……」
ヴィルの視線が刺さりまくってどうにか軌道修正していく。
「そうなんだ。どう? 僕を見た感想は」
「カッコよくて素敵で……魔力量も凄いなぁと思いました」
ついポロッと余計なことを言ってしまって「ヤバっ」と思ったが後の祭り。口に出した言葉が戻るはずもなく、グルーも「あちゃあ」という顔をしていた。
「そういうシオンもすごい魔力量じゃないか。魔王の僕と匹敵するくらいだよね」
「いえ、そんな。私は魔王様に比べたら全然ですわ。おほほ」
焦るあまり、笑って誤魔化そうとする。
内心、キャラ違うにもほどがあるだろう!? と自分で自分にツッコミを入れるが、もう半分ヤケクソだった。
「そうかな? シオンの魔力量なら、僕の妃になる資格があると思うけど」
「妃、ですか……?」
「うん、そう。僕の妃。どうかな? 僕と結婚して、僕の子供を産んでよ。シオンとの子ならこの世で最も素晴らしい最強の子が生まれると思うけど」
「け、結婚!?」
まさかこんなにいきなり魔王から求婚されるとは思わず、頭が真っ白になる。
魔王との結婚。
聖女が魔王と結婚して子供を作るってアリなのか? え、ダメだよね。でも、魔王様カッコいいし、優しそうだし、アリでは? でも、魔王と結婚したら聖女できないし。でも、結婚したらもう聖女続ける必要ないのでは? あーでも、何もしないで家庭に入るのはちょっと物足りないような……。
あーでもないこーでもない、と頭を抱える。もういっそこのまま魔王様の手を取って婚活終了してもいいんじゃないか、いやでもさすがにそれはどうなの、と私の心は激しく揺れていた。
「何が?」
「あの魔王と呼ばれておるヤツ、本物じゃぞ」
「え?」
「は!?」
グルーの言葉に呆気に取られる。まさか本物の魔王だなんて思わず、私が呆然してる隣でヴィルは頭を抱えていた。
「え、イケメンすぎてあだ名が魔王様なだけじゃないの?」
「何を言っておるんじゃ。お主、イケメンに惑わされて魔力をよく見ておらんじゃろう」
「はっ、そうだった。えっと……ヤバっ! 魔力の量ヤバっ!!」
「そんなに凄いのか?」
「凄いなんてもんじゃないわよ! 私と同じくらいあるもの」
「それは……色々とマズいんじゃないか?」
「こんにちは。可愛いお嬢さん。何を話しているんだい?」
コソコソと話し合っている間にいつの間にか村人達は消えていて、代わりに魔王が目の前にいた。
近くで見てもやっぱりカッコいい。
声もいいし、物腰も柔らかくて素敵だし、いい匂いがするし、ドキドキするし、これは……恋!?
あまりに好みのタイプで頬を染める。今までの歴代彼氏とは比べものにならないほど、どストライクだった。
「えっと、あの……魔王様がカッコいいなぁ、と」
ぽう、と惚けたように答えれば、「おい、違うだろ!」と隣のヴィルからツッコミが入る。
「おや、それはありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ。ところで、キミの名前は?」
「私ですか? 私はシオンです」
「シオン。美しいキミに見合ったいい名前だね」
「ありがとうございます」
ヴィルが「何で本名を言ったんだ」というような目をしてこちらを見ているが、仕方ない不可抗力だ。いくら魔王と言えど、こんなイケメンに名前を聞かれたら答えないわけにいかない。
「シオンは何をしにここへ?」
「それは……その……魔王様のお噂を聞きまして、一目お目にかかろうと思いまして……」
ヴィルの視線が刺さりまくってどうにか軌道修正していく。
「そうなんだ。どう? 僕を見た感想は」
「カッコよくて素敵で……魔力量も凄いなぁと思いました」
ついポロッと余計なことを言ってしまって「ヤバっ」と思ったが後の祭り。口に出した言葉が戻るはずもなく、グルーも「あちゃあ」という顔をしていた。
「そういうシオンもすごい魔力量じゃないか。魔王の僕と匹敵するくらいだよね」
「いえ、そんな。私は魔王様に比べたら全然ですわ。おほほ」
焦るあまり、笑って誤魔化そうとする。
内心、キャラ違うにもほどがあるだろう!? と自分で自分にツッコミを入れるが、もう半分ヤケクソだった。
「そうかな? シオンの魔力量なら、僕の妃になる資格があると思うけど」
「妃、ですか……?」
「うん、そう。僕の妃。どうかな? 僕と結婚して、僕の子供を産んでよ。シオンとの子ならこの世で最も素晴らしい最強の子が生まれると思うけど」
「け、結婚!?」
まさかこんなにいきなり魔王から求婚されるとは思わず、頭が真っ白になる。
魔王との結婚。
聖女が魔王と結婚して子供を作るってアリなのか? え、ダメだよね。でも、魔王様カッコいいし、優しそうだし、アリでは? でも、魔王と結婚したら聖女できないし。でも、結婚したらもう聖女続ける必要ないのでは? あーでも、何もしないで家庭に入るのはちょっと物足りないような……。
あーでもないこーでもない、と頭を抱える。もういっそこのまま魔王様の手を取って婚活終了してもいいんじゃないか、いやでもさすがにそれはどうなの、と私の心は激しく揺れていた。
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