ダメンズメーカー聖女 〜結婚したくて尽くしまくってたら最強の聖女になっちゃいました〜

鳥柄ささみ

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第七十五話 ナズリの村

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「とりあえず、ナズリの村に着いたらまずは様子見。もし魔王崇拝が事実だとしても、とりあえず魔王を崇拝してるフリをして。ある程度調査を終えたら、一気に洗脳を解くわよ」
「わかった」
「了解じゃ」

 と、意気込んでナズリの村に向かったのはいいのだが。

「余所者だ」
「余所者が何の用だ」
「余所者が何をしに来た」

 来て早々、ナズリの村人達に囲まれてしまった……!

 周りには人、人、人……で人の群れにぐるっと囲まれて、身動きが取れない状態。
 ヴィルはこういうことに慣れてないせいか、多くの人々に悪意を直接向けられて目を回している。

 この状況はさすがにマズいな。一体どうしたものか。

 ここは場数が一番多い私が説得するかと口を開いたときだった。

「おや、そうやって責め立てるんじゃないよ」

 どうやら遠くから誰かが私達の助太刀をしてくれているらしい。彼の鶴の一声で、村人達の圧力が和らぐ。
 まだ人の群れが邪魔で該当する人物は見えないが、きっとこの美声から察するに、とてもいいイケメンに違いない。

「魔王様、ですが……っ」
「こいつらは魔王様のお命を狙いに来た者かもしれません!」
「そんなヤツらを我々の村に入れるわけには」

 え、「魔王様」って言った?

 先程から口々に聞こえてくるワードに、ピシッと固まる。何かの聞き間違いかと思ったが、何度も同じワードを聞こえてくるので、さすがに私の聞き間違いではないだろう。

 さてさて、魔王様とやらはどこに……って、うそ。あれが魔王様?

 目を凝らして魔王様と呼ばれた人に視線を移すと、そこには超絶なイケメンが。
 漆黒の長い髪を一纏めにし、切長な瞳に通った鼻筋。瞳はアメジストのように美しく、唇は薄くて、なめし革のように張りのある褐色の肌。
 誰がどう見てもイケメンだと言い切れるほどカッコよくて、どストライクな男性がそこにいた。

「ヤバ、何あれ。超カッコいい……っ!」
「はぁ!?」

 私がぽぅっと惚けていると、途端に横にいるヴィルがすっとんきょうな声を上げ、鬼の形相でこちらを見てきた。

「シオン、お前見境なさすぎだろ! 相手は魔王と呼ばれている男だぞ!?」
「いや、だって。カッコいいものはカッコいいし」
「オレだってカッコいいだろ!」
「いや、ヴィルもカッコいいけど。ほら、魔王は、その、セクシーというか……色気が……あって素敵だし……?」
「セク……!? お、オレだって、その気になれば……っ!」
「お主達は一体何を言い争いをしてるのじゃ」

 小声で言い争いをしているとグルーが呆れたように溜め息をつく。
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