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第七十一話 自問自答
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すんすんと首元で匂いを嗅がれて抗議しようとすれば、間近にはヴィルの顔。
相変わらず顔がいいな、ザ・王子様フェイスのイケメンだなぁ、とつい見惚れているとなぜかさらに近づいてくる。
こんな距離感でヴィルと見つめ合ったことなどなくて、さすがにテンパる。
「どうして逃げるんだ?」
「いやいやいやいや、普通の距離感じゃないでしょ」
「そうか?」
「そうだよ! てか、急に距離感バグりすぎでしょ! 疲れてる? 早くお風呂入ってきたほうがいいんじゃない?」
きっと疲れすぎて思考が鈍っているのだろうと風呂を勧めてみるが、のらりくらりとしていて入る気配がない。
しかもあれからさらに距離を詰めてきていて、私は逃げきれずに押し倒されてしまった。
「じょ、冗談キツいんですけど」
「冗談? オレはいつでも本気だが?」
言いながら覆い被される。
端正な顔が目の前にあって、慌てて顔を背けようとするも片手で押さえられてしまってそらすことができなかった。
「あの、ヴィル。誰かと勘違いしてない?」
「勘違い? シオンだろう?」
「そうだけど」
わかってて何でいきなりこんな展開!? え、確かにキスはしたことあるかもしれないけど、こういう展開になる布石あった?
身に覚えがなくて混乱する。
それなのにさらにヴィルは距離を詰めてきて、今では唇が重なりそうなほどの至近距離。吐息が口元にかかり、あまりの近さにクラクラしてくる。
「シオンはオレのことをどう思ってるんだ?」
「ど、どうって言われても……。相棒というか、弟子というか……」
「そういうんじゃなくて」
「そういうんじゃないってどういうこと?」
「わかってるだろ? それとも焦らしてるのか? 悪いヤツだな」
フッと口元を弛めたかと思えば唇の端に口づけを落とされる。そんなこと今まで歴代彼氏にもされたこともない私は心臓がバクバクで、唐突な展開に頭がおかしくなりそうだった。
「ヴィルのことは好きだけど、そういう対象じゃないというか」
「どうして?」
「どうして、って言われても……」
自分でもどうしてかはわからない。
別にヴィルのこと見た目も中身も特別嫌いではないし、むしろ好きだ。
じゃあ、どうして……?
自問自答する。そして気づいた。
あぁ、私は怖いんだ。
ヴィルともしそういう関係になってしまったら、別れが来てしまうのが怖いんだ。
だから今の関係を壊したくなくて、好きなのに好きじゃないフリをしているんだ。
「オレはシオンのこと好きだ」
「は、え!?」
「だから、オレはシオンと一緒になりたい」
「いや、待って待って待って待って! って、力強いな!?」
口づけしてこようとするヴィルの身体をどうにか押し返す。
ドキドキしすぎて魔力もどんどん湧き出てきていて、魔法が暴走して吹っ飛ばさないようにするので必死だった。
相変わらず顔がいいな、ザ・王子様フェイスのイケメンだなぁ、とつい見惚れているとなぜかさらに近づいてくる。
こんな距離感でヴィルと見つめ合ったことなどなくて、さすがにテンパる。
「どうして逃げるんだ?」
「いやいやいやいや、普通の距離感じゃないでしょ」
「そうか?」
「そうだよ! てか、急に距離感バグりすぎでしょ! 疲れてる? 早くお風呂入ってきたほうがいいんじゃない?」
きっと疲れすぎて思考が鈍っているのだろうと風呂を勧めてみるが、のらりくらりとしていて入る気配がない。
しかもあれからさらに距離を詰めてきていて、私は逃げきれずに押し倒されてしまった。
「じょ、冗談キツいんですけど」
「冗談? オレはいつでも本気だが?」
言いながら覆い被される。
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「あの、ヴィル。誰かと勘違いしてない?」
「勘違い? シオンだろう?」
「そうだけど」
わかってて何でいきなりこんな展開!? え、確かにキスはしたことあるかもしれないけど、こういう展開になる布石あった?
身に覚えがなくて混乱する。
それなのにさらにヴィルは距離を詰めてきて、今では唇が重なりそうなほどの至近距離。吐息が口元にかかり、あまりの近さにクラクラしてくる。
「シオンはオレのことをどう思ってるんだ?」
「ど、どうって言われても……。相棒というか、弟子というか……」
「そういうんじゃなくて」
「そういうんじゃないってどういうこと?」
「わかってるだろ? それとも焦らしてるのか? 悪いヤツだな」
フッと口元を弛めたかと思えば唇の端に口づけを落とされる。そんなこと今まで歴代彼氏にもされたこともない私は心臓がバクバクで、唐突な展開に頭がおかしくなりそうだった。
「ヴィルのことは好きだけど、そういう対象じゃないというか」
「どうして?」
「どうして、って言われても……」
自分でもどうしてかはわからない。
別にヴィルのこと見た目も中身も特別嫌いではないし、むしろ好きだ。
じゃあ、どうして……?
自問自答する。そして気づいた。
あぁ、私は怖いんだ。
ヴィルともしそういう関係になってしまったら、別れが来てしまうのが怖いんだ。
だから今の関係を壊したくなくて、好きなのに好きじゃないフリをしているんだ。
「オレはシオンのこと好きだ」
「は、え!?」
「だから、オレはシオンと一緒になりたい」
「いや、待って待って待って待って! って、力強いな!?」
口づけしてこようとするヴィルの身体をどうにか押し返す。
ドキドキしすぎて魔力もどんどん湧き出てきていて、魔法が暴走して吹っ飛ばさないようにするので必死だった。
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