ダメンズメーカー聖女 〜結婚したくて尽くしまくってたら最強の聖女になっちゃいました〜

鳥柄ささみ

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第六十話 言い争い

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「はい、あーん」
「いや、ご飯くらい自分で食べられるから」
「いーからいーから。これくらい彼氏にさせろって。まだ体調が万全じゃないんだろ? 顔色だって悪いじゃないか」
「いや、だからもう彼氏じゃないんだって」
「だから照れるなって! 俺とお前との仲だろ?」

 そう言って無理矢理口元に匙を突きつけてくるダグラス。全然話を聞いちゃいない。

「今はリハビリしないといけないから、そうやって何でも手出しするなと医者にも言われてただろう! 聞いてなかったのか!?」

 あまりに噛み合っていない会話にヴィルが助太刀してくれる。

「何だよ、お前。毎度毎度俺に突っかかってきて。あ、もしかして、お前もシオンに気があるの?」
「なっ!? べ、別にそういうんじゃないが、俺はシオンの相棒として……!」
「はぁ~? 相棒だかなんだか知らないけど、俺のほうがシオンのこと知ってるし、わかってると思うけど。彼女の好きなものとかどんな趣味があるとか言える? 言えないだろ」
「それ、は……っ」
「ほら見ろ。シオンのこと全然わかってないじゃないか」

 ダグラスがヴィルに得意気になって言ってるが、正直ダグラスもちゃんと私のことをわかってるかどうかもあやしい気がしてならない。
 というか、ヴィルとはそもそもそういう付き合いをしてないのだし、私に興味を持つという過程もなかったわけだから、知っていろというほうが無理である。

「シオンのこと今はあまり知らないかもしれないが、これから知ろうとしてるところだ!」
「はんっ、口でだけならどうとでも言えるんだよ。結局、シオンとお前ってその程度の関係だってことだろ?」
「違う! オレはお前なんかよりもシオンのことを大事にしてるし、彼女の役に立ちたいと思ってる!」
「へっ、どうだか。俺の方がシオンのこと大事にしてるし」

 一体、二人は何を競っているんだ。
 てか、ここで言い争いを始めないでほしい。一応私、病人なんだけど、これでも。

「ダグだって知らないでしょ、私のこと」
「へ? いや、何言ってんだよ。シオンのことちゃんとわかってるし」
「じゃあ、何か私に関してることで知ってること言ってみてよ。私のことに詳しいんでしょ?」
「それは……」

 目を泳がせて言い淀むダグラス。
 案の定すぐに私に関する情報など出てこない。そもそも付き合ってたのは二年前だし、きっと何も覚えてないだろう。

 なんて思っていると、ダグラスが何かを思い出したのかパッと顔を明るくさせた。

「あ、あぁ! 脚の付け根! シオンは確か、脚の付け根にホクロがあることを俺は知っているぞ!」
「なっ!?」
「ちょ……っ、はぁ!? バカ! 何言ってんの! 信じられない!!」

 いきなりぶっ込んできたセクハラ発言に、思わずパチンっと指を鳴らして魔法を使う。簡易の転移魔法で家から追い出し、すぐさままたパチンと指を鳴らして家の中に入れないように鍵をかけた。
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