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第五十三話 ホームラン
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「いっけぇぇぇぇぇ!!」
カキーーーーーーーーン!
勢いよく振りかぶったバットで瓦礫を打ち、まっすぐまっすぐシュド=メルに向かって飛んでいく。
【ナ、ナ、何ダトォオオオオ!? ウガッ】
ヤツの腹部に瓦礫が命中する。
【クククク。受ケ止メ……キレテナイダトォォォォ!??】
シュド=メルは一瞬受け止めたと勝ち誇った笑みを浮かべていたが、瓦礫の勢いは止まらず、次元の狭間に向かってシュド=メルごと飛んでいく。
シュド=メルは必死に抵抗するものの、既に抗えるほどの力はないためそのまま時空の裂け目まで到達すると吸い出されるように次元の狭間に落ちていった。
【マダダマダダ、マダコンナトコロデ終ワルワケニハーーーーーー……!】
「よし、ホームラン! ……我は命じる。開いた裂け目を縫い合わせ、時空の裂け目よ消失せよ! リペア!!」
バシュン!
素早く修復魔法を飛ばすと、時空の裂け目は綺麗さっぱりと消え、一気に静寂に包まれて何事もなかったかのような空に戻っていた。
「ふぅ。どうにか討伐できたわね。あー、怠い……」
討伐完了したことで安堵感から一気に疲労が襲ってくる。
想定よりも魔力を使ってしまったようで身体が重い。こんな感覚初めてで「魔力ってやっぱり枯渇するんだ」なんて今更なことを自覚する。
「シオン!」
「あー、ヴィル。お疲れ。大丈夫だった?」
「大丈夫だった? じゃないだろ! シオンのほうが大丈夫なのか!? 顔色が悪いぞ!」
「もう、失礼ね……女性に向かって顔色が悪い、だとか……」
足元がなぜかおぼつかない。ふらふらっと身体がよろめくのを自分でどうすることもできず、倒れそうになった瞬間ヴィルに支えられる。
「あー……ありがとー、助かる」
「おい、すごい身体も熱いじゃないか! すぐに医者に診てもらわないと!」
「大丈夫ダイジョブー。まだ後処理だって残ってるでしょ? 聖女たるもの壊滅した都市をこのままにはしておけないし……」
「そんなのシオンがやらなくたって誰かがやる! とにかく早く医者のところへ!」
なぜか視界が霞んでよく見えないが、ヴィルがなぜか泣きそうな顔をしているのは何となくわかる。せっかく魔物の討伐したのに何でそんな顔をしているんだろうか。
「ヴィルは心配、しすぎよ。私は……最強の聖女なんだから。ちょっと魔力使いすぎちゃっただけだし、こんなの……ちょっと休めば……」
「シオン!? シオン!! シオン!!!」
ガクンッと全身から力が抜ける。そのまま私の意識はそこで途切れた。
カキーーーーーーーーン!
勢いよく振りかぶったバットで瓦礫を打ち、まっすぐまっすぐシュド=メルに向かって飛んでいく。
【ナ、ナ、何ダトォオオオオ!? ウガッ】
ヤツの腹部に瓦礫が命中する。
【クククク。受ケ止メ……キレテナイダトォォォォ!??】
シュド=メルは一瞬受け止めたと勝ち誇った笑みを浮かべていたが、瓦礫の勢いは止まらず、次元の狭間に向かってシュド=メルごと飛んでいく。
シュド=メルは必死に抵抗するものの、既に抗えるほどの力はないためそのまま時空の裂け目まで到達すると吸い出されるように次元の狭間に落ちていった。
【マダダマダダ、マダコンナトコロデ終ワルワケニハーーーーーー……!】
「よし、ホームラン! ……我は命じる。開いた裂け目を縫い合わせ、時空の裂け目よ消失せよ! リペア!!」
バシュン!
素早く修復魔法を飛ばすと、時空の裂け目は綺麗さっぱりと消え、一気に静寂に包まれて何事もなかったかのような空に戻っていた。
「ふぅ。どうにか討伐できたわね。あー、怠い……」
討伐完了したことで安堵感から一気に疲労が襲ってくる。
想定よりも魔力を使ってしまったようで身体が重い。こんな感覚初めてで「魔力ってやっぱり枯渇するんだ」なんて今更なことを自覚する。
「シオン!」
「あー、ヴィル。お疲れ。大丈夫だった?」
「大丈夫だった? じゃないだろ! シオンのほうが大丈夫なのか!? 顔色が悪いぞ!」
「もう、失礼ね……女性に向かって顔色が悪い、だとか……」
足元がなぜかおぼつかない。ふらふらっと身体がよろめくのを自分でどうすることもできず、倒れそうになった瞬間ヴィルに支えられる。
「あー……ありがとー、助かる」
「おい、すごい身体も熱いじゃないか! すぐに医者に診てもらわないと!」
「大丈夫ダイジョブー。まだ後処理だって残ってるでしょ? 聖女たるもの壊滅した都市をこのままにはしておけないし……」
「そんなのシオンがやらなくたって誰かがやる! とにかく早く医者のところへ!」
なぜか視界が霞んでよく見えないが、ヴィルがなぜか泣きそうな顔をしているのは何となくわかる。せっかく魔物の討伐したのに何でそんな顔をしているんだろうか。
「ヴィルは心配、しすぎよ。私は……最強の聖女なんだから。ちょっと魔力使いすぎちゃっただけだし、こんなの……ちょっと休めば……」
「シオン!? シオン!! シオン!!!」
ガクンッと全身から力が抜ける。そのまま私の意識はそこで途切れた。
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