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第四十九話 真実の愛
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「大丈夫、失敗したって死ぬだけだし! 勝てたらラッキーでしょ!」
「ポジティブすぎんか!?」
「ポジティブじゃなかったら聖女なんてやってないわよ! ということで、ちょっと魔力を温存するためにも彼らを外に出しておいて。そのあとはヴィルも外に出すために戻ってきてね!」
「それくらいはお安い御用じゃが……くれぐれも無茶するんじゃないぞ」
「引き際はわかってるつもりだから安心して! ほら、時間ないから早く行って! 大きさ、いつものサイズに戻っていいから!」
パチンと指を鳴らすと、魔力抑制が解除されてグルーのサイズが元に戻る。
それを見て、ギャアギャアとヴィヴリタス家一同が騒ぎ始めたが、構わず首根っこを引っ掴むとぽいぽいぽいっとグルーの背に放り投げた。
「じゃあグルー、行って! 気をつけてね!!」
「お主もな、シオン! ヴィルを頼んだぞ」
グルーが行ったのを見送ると、隣にいるヴィルに視線を移す。
ヴィルはゆらゆらと身体を揺らして安定せず、心ここにあらずといった様子だ。
「早くヴィルを治さないと」
ぐらぐらとした床は落ち着かない。
とりあえず部屋から脱出すると、屋敷は至るところが崩壊し、見るも無惨な状態になっていた。
「まずいわね」
ヴィルの腕を引っ張って崩れていく屋敷の床を飛びながら降りていく。さすがに脱力しかけた成人男性を連れての移動は難しく、自分一人では軽々着地できるところも慎重にならざるを得なかった。
「全く、肝心なときに~~~~っ! 正気に戻ったらただじゃおかないんだからねっ!」
恨み言を言いながらもやっと地面に着地する。
そして屋敷から距離を取ったあと、ヴィルを正気に戻すために状態異常治癒の魔法をかけた。
「ヴィル~、ヴィル~?」
「………………」
「効果なさそうね」
パチン、パチンと指を何度も鳴らすが洗脳は解けた様子がない。契約魔法は大したことなかったのに、洗脳魔法は思ったより高度な魔法が使われているらしい。
「真実の愛の口づけ、ねぇ」
あの女が言っていた真実の愛の口づけという解除条件は本当なのだろうか。でも、治癒魔法が効かないとなると今できる方法が他にはない。
「うーん。物は試しと言うし、やってみるか」
ヴィルには申し訳ないが、可能性として多少なりともある以上、やっておいて損はないだろう。
まぁ、真実の愛って言われてもヴィルと私の間にそういうものはないからきっと無理だとは思うけど。
「ごめんね、ヴィル。ちょっとだけだから我慢してね」
これは状態異常を治すためだからと心の中で言い訳しながら、心ここにあらずなヴィルを引き寄せる。
何だか緊張する。
治癒のためとはいえ、ドキドキしてくる。多分これはヴィルがイケメンだからに違いない。うん、きっとそうだ。
ええい、ままよ!
ヴィルの身体を引き寄せて唇にチュッと自分の唇を合わせる。ヴィルの唇は薄く、とても冷たくて柔らかかった。
「ポジティブすぎんか!?」
「ポジティブじゃなかったら聖女なんてやってないわよ! ということで、ちょっと魔力を温存するためにも彼らを外に出しておいて。そのあとはヴィルも外に出すために戻ってきてね!」
「それくらいはお安い御用じゃが……くれぐれも無茶するんじゃないぞ」
「引き際はわかってるつもりだから安心して! ほら、時間ないから早く行って! 大きさ、いつものサイズに戻っていいから!」
パチンと指を鳴らすと、魔力抑制が解除されてグルーのサイズが元に戻る。
それを見て、ギャアギャアとヴィヴリタス家一同が騒ぎ始めたが、構わず首根っこを引っ掴むとぽいぽいぽいっとグルーの背に放り投げた。
「じゃあグルー、行って! 気をつけてね!!」
「お主もな、シオン! ヴィルを頼んだぞ」
グルーが行ったのを見送ると、隣にいるヴィルに視線を移す。
ヴィルはゆらゆらと身体を揺らして安定せず、心ここにあらずといった様子だ。
「早くヴィルを治さないと」
ぐらぐらとした床は落ち着かない。
とりあえず部屋から脱出すると、屋敷は至るところが崩壊し、見るも無惨な状態になっていた。
「まずいわね」
ヴィルの腕を引っ張って崩れていく屋敷の床を飛びながら降りていく。さすがに脱力しかけた成人男性を連れての移動は難しく、自分一人では軽々着地できるところも慎重にならざるを得なかった。
「全く、肝心なときに~~~~っ! 正気に戻ったらただじゃおかないんだからねっ!」
恨み言を言いながらもやっと地面に着地する。
そして屋敷から距離を取ったあと、ヴィルを正気に戻すために状態異常治癒の魔法をかけた。
「ヴィル~、ヴィル~?」
「………………」
「効果なさそうね」
パチン、パチンと指を何度も鳴らすが洗脳は解けた様子がない。契約魔法は大したことなかったのに、洗脳魔法は思ったより高度な魔法が使われているらしい。
「真実の愛の口づけ、ねぇ」
あの女が言っていた真実の愛の口づけという解除条件は本当なのだろうか。でも、治癒魔法が効かないとなると今できる方法が他にはない。
「うーん。物は試しと言うし、やってみるか」
ヴィルには申し訳ないが、可能性として多少なりともある以上、やっておいて損はないだろう。
まぁ、真実の愛って言われてもヴィルと私の間にそういうものはないからきっと無理だとは思うけど。
「ごめんね、ヴィル。ちょっとだけだから我慢してね」
これは状態異常を治すためだからと心の中で言い訳しながら、心ここにあらずなヴィルを引き寄せる。
何だか緊張する。
治癒のためとはいえ、ドキドキしてくる。多分これはヴィルがイケメンだからに違いない。うん、きっとそうだ。
ええい、ままよ!
ヴィルの身体を引き寄せて唇にチュッと自分の唇を合わせる。ヴィルの唇は薄く、とても冷たくて柔らかかった。
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