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第四十二話 刺客
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「ダメです」
「そこをなんとか! ちょっとだけ! ほんのちょっとだけだから!!」
「何と言われようと、絶対にダメです!」
「……ちぇー」
市長にどうにか一区画だけでも魔法を使用させて欲しいとお願いしたら却下された。解せぬ。
そして再びスコップ片手にえっちらおっちら土を掘る。
しかもヴィルのとこにグルーを置いてきたから文字通りひとりぼっちだ。さっきの愚痴すら言えず、ちょっと寂しい。
普段もギルドのメンバーだったり彼氏だったりといることが多かったから、こうして一人で何か作業をするというのは久々だ。
「てかここ、人っ子一人通らないってどういうことよ」
いくら住宅街や都心から外れた地域とはいえ、ここまで人が通らないというのもどうなのか。それに、こんなに人がいないなら出会いがないじゃないか。
これが恋愛ものの物語だったら、「大丈夫ですか、お嬢さん。僕も手伝いますよ」ってキラキラしたイケメンがやってきて私を助けてくれるというのに、なんなんだこの現実。
出会いがなかったら婚活だってできないんだぞ。畜生。
「ここまで来ると隔離されてるレベルよね。何でこんなとこに畑なんて作ったのかしら、もう」
文句を言いつつ腕を動かす。
こんな仕事とっとと終わらせてさっさと次に行きたい。なるべく早く、イケメンでスキルが高くて大人びてて甘やかしてくれる彼氏……いや、未来の旦那様に出会わなくてはいけないのだから!
そんなことを考えていると不意に背後から気配を感じる。数にして五人程度だろうか。
「……はぁ、やだやだ。私が出会いたいのはイケメンの未来の旦那様だっていうのに」
ザクッ
スコップを地面に深々と差す。
先程までなかった殺気を一身に浴びて無視できるほど、さすがの私も鈍感ではなかった。
「何の用?」
「……ほう。我々に気づくか」
「そりゃ、そこまで殺気向けられたらね。で、私に何のご用事? お茶会のお誘いではなさそうだけど」
「貴様にはさっさとこの地より去ってもらいたい」
「なぜ? 私は要請でここに呼ばれたんだけど。それなのに何もしないまま帰れって言われても、こっちも都合が悪いのよね」
「なるほど。承服しかねるということか」
「そりゃあね。それで? そんな私は始末されるのかしら」
「話が早くて助かる。引き下がらぬと言うのならば、貴様はここで死ね!!」
剣を持った男が斬りかかってくる。それを避けると、さらに他の男達が私に向かって斬りつけてきた。
「うーん、モテモテなのはありがたいんだけど。全員私の好みじゃないのよね。……ということで、一昨日来やがれ!」
私がスコップで応酬すると、まさか抗戦すると思ってなかったらしい男達は一瞬たじろぐ。
その隙をついて、身を翻しつつ腹部や頸椎に蹴りをそれぞれお見舞いした。
「ぐぇ!」
「こ、こんなに強いとは聞いてないぞ……っ」
「こいつ、聖女じゃないのか!?」
「魔法も使ってないってのに、くそ……っ」
「おあいにくさま。聖女だからってか弱いとは限らないのよ」
スコップを自在に操り、刺客らしき男達を次々のしていく。そして、結局魔法を使わず五人いた刺客達を見事に全員気絶させ、縛り上げたのだった。
「そこをなんとか! ちょっとだけ! ほんのちょっとだけだから!!」
「何と言われようと、絶対にダメです!」
「……ちぇー」
市長にどうにか一区画だけでも魔法を使用させて欲しいとお願いしたら却下された。解せぬ。
そして再びスコップ片手にえっちらおっちら土を掘る。
しかもヴィルのとこにグルーを置いてきたから文字通りひとりぼっちだ。さっきの愚痴すら言えず、ちょっと寂しい。
普段もギルドのメンバーだったり彼氏だったりといることが多かったから、こうして一人で何か作業をするというのは久々だ。
「てかここ、人っ子一人通らないってどういうことよ」
いくら住宅街や都心から外れた地域とはいえ、ここまで人が通らないというのもどうなのか。それに、こんなに人がいないなら出会いがないじゃないか。
これが恋愛ものの物語だったら、「大丈夫ですか、お嬢さん。僕も手伝いますよ」ってキラキラしたイケメンがやってきて私を助けてくれるというのに、なんなんだこの現実。
出会いがなかったら婚活だってできないんだぞ。畜生。
「ここまで来ると隔離されてるレベルよね。何でこんなとこに畑なんて作ったのかしら、もう」
文句を言いつつ腕を動かす。
こんな仕事とっとと終わらせてさっさと次に行きたい。なるべく早く、イケメンでスキルが高くて大人びてて甘やかしてくれる彼氏……いや、未来の旦那様に出会わなくてはいけないのだから!
そんなことを考えていると不意に背後から気配を感じる。数にして五人程度だろうか。
「……はぁ、やだやだ。私が出会いたいのはイケメンの未来の旦那様だっていうのに」
ザクッ
スコップを地面に深々と差す。
先程までなかった殺気を一身に浴びて無視できるほど、さすがの私も鈍感ではなかった。
「何の用?」
「……ほう。我々に気づくか」
「そりゃ、そこまで殺気向けられたらね。で、私に何のご用事? お茶会のお誘いではなさそうだけど」
「貴様にはさっさとこの地より去ってもらいたい」
「なぜ? 私は要請でここに呼ばれたんだけど。それなのに何もしないまま帰れって言われても、こっちも都合が悪いのよね」
「なるほど。承服しかねるということか」
「そりゃあね。それで? そんな私は始末されるのかしら」
「話が早くて助かる。引き下がらぬと言うのならば、貴様はここで死ね!!」
剣を持った男が斬りかかってくる。それを避けると、さらに他の男達が私に向かって斬りつけてきた。
「うーん、モテモテなのはありがたいんだけど。全員私の好みじゃないのよね。……ということで、一昨日来やがれ!」
私がスコップで応酬すると、まさか抗戦すると思ってなかったらしい男達は一瞬たじろぐ。
その隙をついて、身を翻しつつ腹部や頸椎に蹴りをそれぞれお見舞いした。
「ぐぇ!」
「こ、こんなに強いとは聞いてないぞ……っ」
「こいつ、聖女じゃないのか!?」
「魔法も使ってないってのに、くそ……っ」
「おあいにくさま。聖女だからってか弱いとは限らないのよ」
スコップを自在に操り、刺客らしき男達を次々のしていく。そして、結局魔法を使わず五人いた刺客達を見事に全員気絶させ、縛り上げたのだった。
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