ダメンズメーカー聖女 〜結婚したくて尽くしまくってたら最強の聖女になっちゃいました〜

鳥柄ささみ

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第四十一話 疲労のせい

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「別にシオンは今まで通りヴィルでいいけどな」
「もちろん、変えるつもりはないわよ。呼びにくいし」
「そうか。シオンらしいな」
「さて、私はそろそろ自分の部屋に戻るわ。あのご令嬢に私がここにいるのバレたら面倒だし。本当は連れ帰ってあげたいけど、そうしたら色々と面倒なことになりそうなのは目に見えてるから、ごめんね」
「いや、俺もそんな気がしているから気にするな。だが、無理を承知で言うが、できれば早くここの問題を解決してほしい」
「早急に片付けたいのはやまやまだけど、魔法使わずに土掘るのって思ってるよりも結構大変なんだからね?」
「それはわかっているんだが」

 ガチャガチャガチャガチャ!

 ドンドンドンドン!

「ヴィデルハルト様~!? 開けてくださいませー!!」

 噂をすれば嵐のように舞い戻ってきた彼女。
 もう夜更けだというのにそんなことおかまいなしにドアの前で叫んでいる。

「本当にまた来るとは……」
「大丈夫。こちら側から開けなきゃ開かないよう魔法かけてるから安心して。ついでに防音魔法もかけておく。朝になったら自然に解除されるわ」

 パチンと指を鳴らすと一瞬で外からの音が一切聞こえなくなる。

「ありがとう。これでゆっくり寝れる」
「何かあったら防衛魔法が発動するし、いざとなったらグルーを使って追い払っちゃえばいいわよ」
「あぁ、そうする」
「それじゃ、私はもう帰るね。グルーをよろしく」
「あぁ。色々とありがとうシオン」
「いいえー。じゃあ、おやすみ」
「おやすみ」

 ヴィルににっこりと微笑まれてちょっとだけキュンとする。
 そしてそんな自分に気づいて、顔が熱くなって慌ててヴィルの視線を避けるように彼から顔を逸らした。

 うん、相変わらずヴィルは顔がいい。
 イケメンに微笑まれたらキュンしちゃうのは仕様だ、仕方ない。それにやっぱり感謝されるのは気持ちがいいし。うん、だからこれは不可抗力だ。

 自分で自分にそう言い訳しつつ、ヴィルに背を向けて転移魔法で自分だけ元の部屋に戻る。
 なぜか未だに顔が熱かった。

「ヴィルにときめくだなんて、きっと疲労のせいね」

 部屋に戻ってくるなり、バタンとベッドに突っ伏す。回復魔法は使っているものの、疲労感は拭いきれなかった。

「早く寝よ」

 きっと疲れているせいで思考が正常に働いてないのだとそう自分に言い聞かせて、私は明日に備えて眠りについたのだった。
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