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第三十二話 サイズ
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「そのサイズだと可愛いらしいのにね」
「ふんっ、威厳も何もなくただ可愛いと言われても嬉しくないわいっ!」
「そう? そういえば、グリフォンって名前ないの? 呼ぶとき毎回グリフォンって言うのもアレだし」
「今更すぎるじゃろ。ワシの名はグレムルじゃ」
あ、ちゃんと名前あったのねと聞いたくせに内心驚くも、顔には出さないでおく。
「じゃ、グルーで。グルーはなるべく大人しくしといてね」
「ワシの名が随分とフランクなものに……」
「てか、ヴィルはどうしたの? 急にフードを被ったりして」
さぁ、街に行こう! というタイミングで突然目深にフードを被るヴィル。前回のプハマの村ではそんなことしなかったのに。
「いや、あの……実は……」
「何よ、はっきり言いなさいよ」
「なるべく、ここにいるとある人物に会いたくなくてな」
「うん? 何で急にそんなこと言い出すのよ。ここに来るのなんて国王に言われたときからわかってたんだし、言うならもっと早く言いなさいよ」
「いや、その、来てから思い出したというか……」
そんなことある? と眉を顰めるも、ヴィルの様子から察するにどうやら本当らしい。
さっきの明るい表情から一転、キョドキョドと挙動不審になっている辺り、すっかり忘れていたようだ。
普通、会いたくないほどの人物がいるなら真っ先にその人のことを想像しそうものだが。
「とにかく、その相手はマダシの市長とかではないんでしょ?」
「そ、そうだが」
「だったらこんなに大きな都市なんだし、会う約束さえしてなければ早々に会うこともないわよ。大丈夫大丈夫」
「そ、そうか? 確かに、それもそうだよな」
「そうそう。むしろ会ったら奇跡でしょ。いや、逆に運命?」
「それは勘弁してくれ」
考えるだけで寒気がする、と溢すヴィル。
どうやらそこまで言うくらい相当会いたくない人物がいるらしい。それほど嫌悪する人物ということは、元カノとか何か因縁のある相手なのだろうか。
「なぁ、お主達行くのか行かないのか? ワシを縮めたんだ、どちらかはっきりせい」
「行く行く! とりあえず、どんな内容の依頼かはわからないけど、ちゃちゃっと行ってちゃちゃっと終わらせればいいんでしょう?」
「あぁ、そうしてくれると助かる」
「じゃあ、さっさと中入って用件聞いちゃいましょう! 用件の中身によってはすぐに終わるだろうし」
なんて、私は未だに表情を曇らせて行き渋るヴィルの手を掴んで引っ張って意気揚々と大都市マダシの中に入ったのだった。
「ふんっ、威厳も何もなくただ可愛いと言われても嬉しくないわいっ!」
「そう? そういえば、グリフォンって名前ないの? 呼ぶとき毎回グリフォンって言うのもアレだし」
「今更すぎるじゃろ。ワシの名はグレムルじゃ」
あ、ちゃんと名前あったのねと聞いたくせに内心驚くも、顔には出さないでおく。
「じゃ、グルーで。グルーはなるべく大人しくしといてね」
「ワシの名が随分とフランクなものに……」
「てか、ヴィルはどうしたの? 急にフードを被ったりして」
さぁ、街に行こう! というタイミングで突然目深にフードを被るヴィル。前回のプハマの村ではそんなことしなかったのに。
「いや、あの……実は……」
「何よ、はっきり言いなさいよ」
「なるべく、ここにいるとある人物に会いたくなくてな」
「うん? 何で急にそんなこと言い出すのよ。ここに来るのなんて国王に言われたときからわかってたんだし、言うならもっと早く言いなさいよ」
「いや、その、来てから思い出したというか……」
そんなことある? と眉を顰めるも、ヴィルの様子から察するにどうやら本当らしい。
さっきの明るい表情から一転、キョドキョドと挙動不審になっている辺り、すっかり忘れていたようだ。
普通、会いたくないほどの人物がいるなら真っ先にその人のことを想像しそうものだが。
「とにかく、その相手はマダシの市長とかではないんでしょ?」
「そ、そうだが」
「だったらこんなに大きな都市なんだし、会う約束さえしてなければ早々に会うこともないわよ。大丈夫大丈夫」
「そ、そうか? 確かに、それもそうだよな」
「そうそう。むしろ会ったら奇跡でしょ。いや、逆に運命?」
「それは勘弁してくれ」
考えるだけで寒気がする、と溢すヴィル。
どうやらそこまで言うくらい相当会いたくない人物がいるらしい。それほど嫌悪する人物ということは、元カノとか何か因縁のある相手なのだろうか。
「なぁ、お主達行くのか行かないのか? ワシを縮めたんだ、どちらかはっきりせい」
「行く行く! とりあえず、どんな内容の依頼かはわからないけど、ちゃちゃっと行ってちゃちゃっと終わらせればいいんでしょう?」
「あぁ、そうしてくれると助かる」
「じゃあ、さっさと中入って用件聞いちゃいましょう! 用件の中身によってはすぐに終わるだろうし」
なんて、私は未だに表情を曇らせて行き渋るヴィルの手を掴んで引っ張って意気揚々と大都市マダシの中に入ったのだった。
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