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第六話 謁見
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「陛下。こちらがシオン殿でございます」
「うむ。彼女が……彼女が、か?」
何なの、さっきから。そんなに私が白夜光のギルマスのシオンだと不都合なの?
会う人会う人みんな同じ反応をされると正直傷つくんですけど。
彼らははたしてどういうシオンを想像していたのか、とだんだん戸惑いよりも苛立ちが勝ってくる。
「はい。間違いなく、彼女が超上級ギルド白夜光のギルドマスターであるシオン殿で間違いございません」
「そうか。想像していたよりも……随分と若いな。まさかこんな細身の女性だったとは……ベヒーモスやゴーレムを単騎で倒したこともあるとも聞いていたが、そんな小さな身体と細腕で……」
「僕とあまり年が変わらなそうじゃないか……」
あーなるほど。
もっとおばさんでマッチョな体型をしていると思われていたのね。そりゃ、私の顔や身体を見るたびにみんなそんな反応するわけだわ。
王や王子の言葉で自分が今までどういう風に思われていたか何となくわかり、彼らの反応に合点がいく。
一応超上級ギルドのマスターということで人並み以上に名前が知れ渡っている自覚はあったが、まさかそんなイメージを持たれていたとは心外である。
そこで、はたと気づく。
え、ちょっと待って。もしかして、それが原因で婚期が遠のいているのでは!?
悪い可能性が思い浮かんで青ざめる。
女性の超上級のギルマスってやっぱりイメージ悪いのかな。
それなら能力隠してか弱い女のフリする? でも、今更能力を隠してか弱いフリしても先日みたいなことになっちゃったら元も子もないし。
ならいっそ、強い女性を好きな男性に焦点を絞って狙うとか、うん、それがいいかも。
私が今後の展望について妄想を膨らませていると、「ごほん」と王が咳払いをする。ハッと我にかえると近くにいた大臣が「王の御前だと言っているだろう。集中したまえ」と小声ながら強く指摘された。
王の顔は特に変わりないが、王子は呆れたような顔をしている。そんな呆れた顔でもイケメンだから凄い。
「それで、シオン殿。キミを呼んだのにはワケがある。単刀直入に言おう。次期聖女にキミが選ばれた」
「そうですか。私が次期聖女に…………って、はぁ!? 私が聖女!??」
「シオン殿!」
大臣に不敬だと咎められるも、私はそれどころじゃなかった。
聖女と言ったら国の平和の象徴。
我が国の女性であればみんなが憧れる存在ではあるのだが、いかんせん国の安寧を保つための聖なるものの化身ということで生涯未婚でなければならない制約があるのだ。
そのため、結婚したい私にとっては一番なりたくないものである。
「うむ。彼女が……彼女が、か?」
何なの、さっきから。そんなに私が白夜光のギルマスのシオンだと不都合なの?
会う人会う人みんな同じ反応をされると正直傷つくんですけど。
彼らははたしてどういうシオンを想像していたのか、とだんだん戸惑いよりも苛立ちが勝ってくる。
「はい。間違いなく、彼女が超上級ギルド白夜光のギルドマスターであるシオン殿で間違いございません」
「そうか。想像していたよりも……随分と若いな。まさかこんな細身の女性だったとは……ベヒーモスやゴーレムを単騎で倒したこともあるとも聞いていたが、そんな小さな身体と細腕で……」
「僕とあまり年が変わらなそうじゃないか……」
あーなるほど。
もっとおばさんでマッチョな体型をしていると思われていたのね。そりゃ、私の顔や身体を見るたびにみんなそんな反応するわけだわ。
王や王子の言葉で自分が今までどういう風に思われていたか何となくわかり、彼らの反応に合点がいく。
一応超上級ギルドのマスターということで人並み以上に名前が知れ渡っている自覚はあったが、まさかそんなイメージを持たれていたとは心外である。
そこで、はたと気づく。
え、ちょっと待って。もしかして、それが原因で婚期が遠のいているのでは!?
悪い可能性が思い浮かんで青ざめる。
女性の超上級のギルマスってやっぱりイメージ悪いのかな。
それなら能力隠してか弱い女のフリする? でも、今更能力を隠してか弱いフリしても先日みたいなことになっちゃったら元も子もないし。
ならいっそ、強い女性を好きな男性に焦点を絞って狙うとか、うん、それがいいかも。
私が今後の展望について妄想を膨らませていると、「ごほん」と王が咳払いをする。ハッと我にかえると近くにいた大臣が「王の御前だと言っているだろう。集中したまえ」と小声ながら強く指摘された。
王の顔は特に変わりないが、王子は呆れたような顔をしている。そんな呆れた顔でもイケメンだから凄い。
「それで、シオン殿。キミを呼んだのにはワケがある。単刀直入に言おう。次期聖女にキミが選ばれた」
「そうですか。私が次期聖女に…………って、はぁ!? 私が聖女!??」
「シオン殿!」
大臣に不敬だと咎められるも、私はそれどころじゃなかった。
聖女と言ったら国の平和の象徴。
我が国の女性であればみんなが憧れる存在ではあるのだが、いかんせん国の安寧を保つための聖なるものの化身ということで生涯未婚でなければならない制約があるのだ。
そのため、結婚したい私にとっては一番なりたくないものである。
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