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66 本来の力
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名を呼んだ瞬間、パーンと破裂音がする。
それと同時に軽くなる身体。
そして、響く絶叫。
ーーいぃぃいいいぃ痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いぃぃぃぃーーーーーー!!!!
顔を上げれば、俺を押し潰そうとしていた魑魅魍魎の身体が大きく裂けている。
俺は身体を起こして立ち上がると、しっかりと敵の姿を直視した。
【希み、は生きる糧である。我の新たな生として、希み生き抜くことの覚悟をしろ】
恐怖を食って、力にする。
希みを持って、生きる糧にする。
かつて自分の名の意味を聞いたとき、母が言っていた言葉。
貴方が希望を持って生きていけるように。
そして、貴方の周りの人々もまた、希望に満ちた生活をしていけるように。
その自分の名に課せられた意味を噛み締める。
そのために、父さんも母さんも俺を命がけで守ってくれた。
今度は俺がみんなを守る番だ……!
「俺は、大嶽丸を倒して、深青を取り戻すんだーーーー!!!」
叫ぶと同時に手には刀が一振り。
そして、その刀からパッと光が拡散する。
先程まで真っ暗だったはずの室内は光で満ち満ちていた。
ーーぎゃあああああぁああぁあぁ!!
ーー眩しい! 眩しい!
ーー目が潰れるぅぅうう!!
ーーあぁあああああぁ、身体がぁあぁ、熱い熱い熱いいいいいいぃぃぃぃ!!!
先程まで姿が見えていなかった魑魅魍魎達が姿を現す。
大きいものから小さいものまで、異形のものがぎっしりと蠢いていた。
ーー殺す殺す殺すぅぅぅぅ!!!
向かってくる異形。
それに向かって思いきり刃を振り上げると、スパッと異形は真っ二つになって消えていった。
ーークソクソクソクソ……っ! こうなったら一斉攻撃だ!!
わらわらわらわらと、あらゆるところから異形がこちらに向かって襲いかかってくる。
それを受け流しつつ、振り向きざまに刃を振るうと衝撃波が出て、一方の異形は皆霧散していった。
ーーまだだ、まだだ、まだだ、まだだーーーーーー!!!
さらに増殖した異形の群れが押し寄せてくる。
「避けられないなら……っ!」
刀剣を地に向かって刺すと同時に下から幾千もの刀が天に向かって生えてくる。
「天翔る星の如く、すべて貫き輝いて見せよ! 流星群円舞!!!」
ドドドドド……っと地中から突き出てきた刀が天に向かって一斉に駆け上がっていく。
ーーうぎゃあああ!!!
ーーぎぃぃいいいいいやあああああ!!
ーーぅぐぁあああああああ!!!
あちらこちらから断末魔の叫びが聞こえる。
それと同時に、今まで張っていた気が一気に抜けて、刀で身体を支えながらもドッドッドッドと大きく心臓が鼓動を打ち、今にもその場で崩れてしまいそうだった。
【力を使いこなせ、我が未来よ】
「ソハヤノツルギ……?」
【あぁ、そなたのかつての姿。そして、大嶽丸の因縁を持つモノだ】
意識が飛びかけるのを必死で抗う。
魑魅魍魎は目に見えるとこにはもういなかったが、やつらはまたすぐに現れるとどこかで悟る。
だから、意識を失っている場合ではなかった。
「俺は、どうすればいい?」
【そなたはただ心のままに。意志の力は強い。そして、それは縁をも遥かに凌ぐ。ゆえに、躊躇うな。己が力を信じ、希みを欲せよ。生きることを諦めるな】
「わかった。俺は、生きることを……希うことを諦めない……っ!!」
【それでいい。ヒトになったのならば、欲を持つのが道理。それは禁忌ではない。定めなのだ】
それだけ言うと、ソハヤノツルギの気配が消える。
代わりに、今度は坂上田村麻呂さんが現れた。
「さぁ、もう一踏ん張りだ。霊力は……まだ微かだがあるな? であれば、我も多少なりとも力を貸そう。そなたの前世にはとても世話になったからな」
言うと、ぶあっと風が吹き荒び、身体に圧がかかる。
だが、全身に風を浴びると幾ばくか身体が軽くなったような気がする。
「力みすぎるな。ある程度は受け流せ。そして、隙を見て貫く。はは、どうだ、簡単だろ?」
「言うのは簡単ですけど、こっちは結構大変なんですよ……」
「はははは、そりゃそうだな。我もこの境地に来るまで幾度も幾度も泥水を啜ってきたわ。だが、希望さえ抱いていれば自ずと強くなるもの。倒れても転んでも立ち上がるのが人間というものだ」
「とにかく、何度も立ち上がれってことですね!」
「おう、そういうことだ」
ずぶずぶずぶずぶ、と光を覆うように再び湧き出す魑魅魍魎。
俺はそれをまっすぐ見据えた。
「いい面構えだ。よし、ではゆくぞ! 相棒!!」
俺はみんなに支えられている。
だからこそ、恐怖に打ち勝てる!
グッと刀を握り締める。
やることは1つ、ただ生き残るだけ。
大嶽丸に勝ち、深青を救うためにも、ただ貪欲に生きることを求める。
「うぉぉおおおおおおおお!!!!」
光を纏った刃が強く強く輝いた。
それと同時に軽くなる身体。
そして、響く絶叫。
ーーいぃぃいいいぃ痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いぃぃぃぃーーーーーー!!!!
顔を上げれば、俺を押し潰そうとしていた魑魅魍魎の身体が大きく裂けている。
俺は身体を起こして立ち上がると、しっかりと敵の姿を直視した。
【希み、は生きる糧である。我の新たな生として、希み生き抜くことの覚悟をしろ】
恐怖を食って、力にする。
希みを持って、生きる糧にする。
かつて自分の名の意味を聞いたとき、母が言っていた言葉。
貴方が希望を持って生きていけるように。
そして、貴方の周りの人々もまた、希望に満ちた生活をしていけるように。
その自分の名に課せられた意味を噛み締める。
そのために、父さんも母さんも俺を命がけで守ってくれた。
今度は俺がみんなを守る番だ……!
「俺は、大嶽丸を倒して、深青を取り戻すんだーーーー!!!」
叫ぶと同時に手には刀が一振り。
そして、その刀からパッと光が拡散する。
先程まで真っ暗だったはずの室内は光で満ち満ちていた。
ーーぎゃあああああぁああぁあぁ!!
ーー眩しい! 眩しい!
ーー目が潰れるぅぅうう!!
ーーあぁあああああぁ、身体がぁあぁ、熱い熱い熱いいいいいいぃぃぃぃ!!!
先程まで姿が見えていなかった魑魅魍魎達が姿を現す。
大きいものから小さいものまで、異形のものがぎっしりと蠢いていた。
ーー殺す殺す殺すぅぅぅぅ!!!
向かってくる異形。
それに向かって思いきり刃を振り上げると、スパッと異形は真っ二つになって消えていった。
ーークソクソクソクソ……っ! こうなったら一斉攻撃だ!!
わらわらわらわらと、あらゆるところから異形がこちらに向かって襲いかかってくる。
それを受け流しつつ、振り向きざまに刃を振るうと衝撃波が出て、一方の異形は皆霧散していった。
ーーまだだ、まだだ、まだだ、まだだーーーーーー!!!
さらに増殖した異形の群れが押し寄せてくる。
「避けられないなら……っ!」
刀剣を地に向かって刺すと同時に下から幾千もの刀が天に向かって生えてくる。
「天翔る星の如く、すべて貫き輝いて見せよ! 流星群円舞!!!」
ドドドドド……っと地中から突き出てきた刀が天に向かって一斉に駆け上がっていく。
ーーうぎゃあああ!!!
ーーぎぃぃいいいいいやあああああ!!
ーーぅぐぁあああああああ!!!
あちらこちらから断末魔の叫びが聞こえる。
それと同時に、今まで張っていた気が一気に抜けて、刀で身体を支えながらもドッドッドッドと大きく心臓が鼓動を打ち、今にもその場で崩れてしまいそうだった。
【力を使いこなせ、我が未来よ】
「ソハヤノツルギ……?」
【あぁ、そなたのかつての姿。そして、大嶽丸の因縁を持つモノだ】
意識が飛びかけるのを必死で抗う。
魑魅魍魎は目に見えるとこにはもういなかったが、やつらはまたすぐに現れるとどこかで悟る。
だから、意識を失っている場合ではなかった。
「俺は、どうすればいい?」
【そなたはただ心のままに。意志の力は強い。そして、それは縁をも遥かに凌ぐ。ゆえに、躊躇うな。己が力を信じ、希みを欲せよ。生きることを諦めるな】
「わかった。俺は、生きることを……希うことを諦めない……っ!!」
【それでいい。ヒトになったのならば、欲を持つのが道理。それは禁忌ではない。定めなのだ】
それだけ言うと、ソハヤノツルギの気配が消える。
代わりに、今度は坂上田村麻呂さんが現れた。
「さぁ、もう一踏ん張りだ。霊力は……まだ微かだがあるな? であれば、我も多少なりとも力を貸そう。そなたの前世にはとても世話になったからな」
言うと、ぶあっと風が吹き荒び、身体に圧がかかる。
だが、全身に風を浴びると幾ばくか身体が軽くなったような気がする。
「力みすぎるな。ある程度は受け流せ。そして、隙を見て貫く。はは、どうだ、簡単だろ?」
「言うのは簡単ですけど、こっちは結構大変なんですよ……」
「はははは、そりゃそうだな。我もこの境地に来るまで幾度も幾度も泥水を啜ってきたわ。だが、希望さえ抱いていれば自ずと強くなるもの。倒れても転んでも立ち上がるのが人間というものだ」
「とにかく、何度も立ち上がれってことですね!」
「おう、そういうことだ」
ずぶずぶずぶずぶ、と光を覆うように再び湧き出す魑魅魍魎。
俺はそれをまっすぐ見据えた。
「いい面構えだ。よし、ではゆくぞ! 相棒!!」
俺はみんなに支えられている。
だからこそ、恐怖に打ち勝てる!
グッと刀を握り締める。
やることは1つ、ただ生き残るだけ。
大嶽丸に勝ち、深青を救うためにも、ただ貪欲に生きることを求める。
「うぉぉおおおおおおおお!!!!」
光を纏った刃が強く強く輝いた。
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