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28 グループ分け
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「ふぁあああ……っわふ」
無意識に大きなあくびをしそうになって、慌てて噛み殺す。
すると、隣から「なんだか最近眠そうだね」と声をかけられる。
顔を向けると、相変わらず心配そうに眉を下げた天音がいた。
「あー、色々と勉強だの鍛錬だのしてるからな」
主に陰陽師の、と心の中で付け加える。
天音を心配させたくないから濁しているのだが、それが逆効果になっている気がしないでもない。
「そうなんだ。無理はしないでね。って、あ! そういえば、きーくんはどうするの? 登山のグループ」
そう、現在は来月の登山に向けてのグループ決めの時間だ。
俺は、特に組みたいメンバーがいたわけでもなかったのだが、水戸さんから輝と組んで他の女の子にちょっかいをかけないように監視をよろしく、と念押しされてしまったため、必然的に輝とグループを組むことになっている。
グループ分けの必須条件は男女比がなるべく半々になるようにとのことで、どの女子グループを入れるかが目下の悩みだ。
「天音ちゃん、一緒にどう?」
「おい、輝!」
急に自分の肩からにゅっと顔を出す輝。
女子がやるならまだしも、輝にやられると気持ち悪い。
というか、いきなり何を言い出すのか。
「私? 私は、カナちゃんとかマチちゃんとかと一緒にグループ組むつもりだから2人に聞いてみないと……」
「そかそか! だったらぜひ聞いてみてくれない?」
「だから、おい! 輝!! 何でそんな話になるんだよ」
強引に話を進める輝。
促された天音は、パタパタと2人のとこへ向かってしまった。
「そんなに天音と組みたいのかよ」
「別に、そういうわけじゃないけどー。むしろ、そのほうがいいと思って?」
何やら意味深な視線を向けられる。
さすがにそこまで鈍感ではないので、輝が何を意図してるかは察することができた。
「はぁ!? だから、俺と天音はそんなんじゃ……っ」
「って言うけどさー、実際に希生は天音ちゃん以外だとあんまり喋らないじゃん。別の女子に対してだとぶっきらぼうだし。それなら、天音ちゃんと組んだほうが楽しめるんじゃない?」
「まぁ、そうかもだけど……」
正直、かれこれ16年も生ているというのに、女子との接し方がよくわからない。
姉はいるし、天音という幼馴染みはいるものの、姉は身内だし天音は女子という括りではなく幼馴染みの括りに分類されているため、一般的な女子とはまた違った接し方になっている。
だからか、天音以外の女子と一緒のときは何を話したらいいのか、むしろ話しかけていいのか? などと違った意味でドキドキしてしまう。
こういうところが年齢イコール彼女いない歴に繋がっているのだろうが、相変わらず輝は目敏いな、と思う。
「でしょでしょー? しかもまだ新学期始まったばっかりなんだから、こういう普段とは違ったところで別の一面出せたほうが得だって! 下手に壁作ってあとあと遠巻きにされるよりいいっしょ? 天音ちゃんをきっかけに他の女子と仲良くできる可能性だってあるし!」
「うぅ、まぁ……一理あるな」
モテることしか考えていないようでいて、こいつ、結構色々なこと考えているな、と素直に感心する。
こういうところがモテる秘訣なのだろうなぁ。
俺には絶対に無理そうだが。
「きーくん! カナちゃんもマチちゃんもオッケーくれたよ!」
「それはよかった。じゃあ、決まりだな!」
「あ、あぁ」
なんだか周りの押しに負けてしまって流されたような気もしないでもないが、これもまたそういう運命なのだろう。
天音にふと視線をやると、「よろしくね、きーくん」と嬉しそうに笑われた。
無意識に大きなあくびをしそうになって、慌てて噛み殺す。
すると、隣から「なんだか最近眠そうだね」と声をかけられる。
顔を向けると、相変わらず心配そうに眉を下げた天音がいた。
「あー、色々と勉強だの鍛錬だのしてるからな」
主に陰陽師の、と心の中で付け加える。
天音を心配させたくないから濁しているのだが、それが逆効果になっている気がしないでもない。
「そうなんだ。無理はしないでね。って、あ! そういえば、きーくんはどうするの? 登山のグループ」
そう、現在は来月の登山に向けてのグループ決めの時間だ。
俺は、特に組みたいメンバーがいたわけでもなかったのだが、水戸さんから輝と組んで他の女の子にちょっかいをかけないように監視をよろしく、と念押しされてしまったため、必然的に輝とグループを組むことになっている。
グループ分けの必須条件は男女比がなるべく半々になるようにとのことで、どの女子グループを入れるかが目下の悩みだ。
「天音ちゃん、一緒にどう?」
「おい、輝!」
急に自分の肩からにゅっと顔を出す輝。
女子がやるならまだしも、輝にやられると気持ち悪い。
というか、いきなり何を言い出すのか。
「私? 私は、カナちゃんとかマチちゃんとかと一緒にグループ組むつもりだから2人に聞いてみないと……」
「そかそか! だったらぜひ聞いてみてくれない?」
「だから、おい! 輝!! 何でそんな話になるんだよ」
強引に話を進める輝。
促された天音は、パタパタと2人のとこへ向かってしまった。
「そんなに天音と組みたいのかよ」
「別に、そういうわけじゃないけどー。むしろ、そのほうがいいと思って?」
何やら意味深な視線を向けられる。
さすがにそこまで鈍感ではないので、輝が何を意図してるかは察することができた。
「はぁ!? だから、俺と天音はそんなんじゃ……っ」
「って言うけどさー、実際に希生は天音ちゃん以外だとあんまり喋らないじゃん。別の女子に対してだとぶっきらぼうだし。それなら、天音ちゃんと組んだほうが楽しめるんじゃない?」
「まぁ、そうかもだけど……」
正直、かれこれ16年も生ているというのに、女子との接し方がよくわからない。
姉はいるし、天音という幼馴染みはいるものの、姉は身内だし天音は女子という括りではなく幼馴染みの括りに分類されているため、一般的な女子とはまた違った接し方になっている。
だからか、天音以外の女子と一緒のときは何を話したらいいのか、むしろ話しかけていいのか? などと違った意味でドキドキしてしまう。
こういうところが年齢イコール彼女いない歴に繋がっているのだろうが、相変わらず輝は目敏いな、と思う。
「でしょでしょー? しかもまだ新学期始まったばっかりなんだから、こういう普段とは違ったところで別の一面出せたほうが得だって! 下手に壁作ってあとあと遠巻きにされるよりいいっしょ? 天音ちゃんをきっかけに他の女子と仲良くできる可能性だってあるし!」
「うぅ、まぁ……一理あるな」
モテることしか考えていないようでいて、こいつ、結構色々なこと考えているな、と素直に感心する。
こういうところがモテる秘訣なのだろうなぁ。
俺には絶対に無理そうだが。
「きーくん! カナちゃんもマチちゃんもオッケーくれたよ!」
「それはよかった。じゃあ、決まりだな!」
「あ、あぁ」
なんだか周りの押しに負けてしまって流されたような気もしないでもないが、これもまたそういう運命なのだろう。
天音にふと視線をやると、「よろしくね、きーくん」と嬉しそうに笑われた。
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