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16 目敏い奴ら
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「きーくん、どうしたの、それ!?」
「あぁ、いや、ちょっとな……」
運が悪いことに、昇降口でバッタリ朝練終わりの天音と出会してしまった。
しかもタイミングが悪く、ちょうど靴の履き替えをしていたところだったので、足にグルグル巻きにされているテーピングやら包帯やらが丸見えの状態だった。
心配性な天音に見られてしまい、これはまずいぞ、と思えば案の定心配そうな表情でこちらを見ている。
「大丈夫なの?病院行った?」
「いや、えーっと、……とりあえず、固定はしてあるから」
「……その様子だと、病院行ってないんでしょ? もうー! 一人暮らしなんだから気をつけないと! てか、そういう非常事態あったなら呼んでくれればよかったのに!」
久々にぷりぷりと怒り始める天音。
式神さんに怒られるのはしょっちゅうだが、普段はのほほんとしてる天音に怒られるというのは、なかなかレアな体験だ。
そんなことを言ったら、火に油を注ぐことになりそうだけど。
「いや、結構夜更けに……その、寝ぼけて階段から落ちて挫いちまってな。あ、でも、見た目ほど酷くはないし、治すために固定してるだけだから」
そんな大したことないぜ、アピールで足を振ってみせる。
多少痛みは走ったが、あえてここは強がってみせた。
「そう? 本当? ……でも、次は何かあったらすぐ呼んでね? たとえ深夜でも! ね?」
「あ、あー、わかったよ。心配してくれてありがとな」
天音からしたら俺が一人暮らしだと思っているぶん、余計に心配してくれているんだろう。
なんだか申し訳ない、と思いつつも、式神さんのことを言えないのでもどかしい。
嘘をついているわけではないが、隠しているのは事実だし、隠し事が苦手な自分からしたら正直に言えないことに胸が痛んだ。
「おーいおーい、どした!? 修羅場か!??」
「お前と一緒にすんな、アホ」
天音と一緒に教室に入れば、輝が俺と天音のギクシャクした様子に素早く気づいて、茶々を入れてくる。
相変わらず目敏いやつだ。
こういう何でも気がつくところがモテる秘訣なのだろうか。
「って、希生怪我してんじゃん!」
「本当、そういうのも気づくの早いな」
「いや、だって歩き方見りゃ誰でもわかるだろ」
わりかし普通に歩いて来たつもりだが、そんなに変な歩き方だっただろうか。
なんか、目敏いを通り越してちょっと恐い。
「そういや、昨日は水戸さんとは大丈夫だったの?」
「大丈夫なわけないだろー!! 聞いてくれよー! 俺のスマホが……! 俺のスマホが……!!」
「何だこれ」
「プリペイドケータイになっちまったんだようーーーー!」
見せられたのは、ちんまい旧型の携帯。
液晶は小さいは、ほぼボタンだらけだわ、でまるで年配者が持っているらくらくフォンのようだとしげしげと見る。
今時こんなんまだあるんだ、と純粋に感心してしまったが、目の前の男には由々しき事態のようだった。
まぁ、気持ちはわからなくはないが。
「写真もまともに撮れねーし、ほぼ電話機能しかなくて、連絡取るにもあんまりネット使えねーし!!」
「あーーー、それはご愁傷様」
「他にもスマホ型のプリペイドケータイとかあるっていうのに! よりにもよってこんなんなんて! あんちゃん酷すぎる!!」
「私が……どうしたの?」
「ひぃぃぃぃぃぃ!!!」
振り返れば、にっこりと黒い笑みを浮かべている水戸さん。
目の前の輝は、恐怖で顔面蒼白だった。
「輝くんが、納得して決めたことだったよねぇ?」
「ハイ、ソウデス」
「うん? 私が悪いの?」
「イエ、メッソウモゴザイマセン」
「わかればよろしい」
相変わらず水戸さんの権力しゅごい。
あえてここはすごいではなく、しゅごい、だ。
そもそも、彼氏の携帯を変更するほどの権力とは一体……。
きっと輝の親も絡んでるだろうに、なんか色々とそういう背景を考えるとこの人だけは絶対に敵にしちゃまずいタイプだとしみじみ思った。
「京極くん」
「ははははははい……!? 何でしょう!??」
「もし輝くんが変なことしてたら、……よろしくね?」
「そ、それはもちろん! 合点承知です!!」
「あ、おい、希生! お前、裏切ったな!!」
「てーるーくーんー?」
「あ、いえ、すみません。ナンデモナイデス」
……本当、こいつは学習しないな。
「あぁ、いや、ちょっとな……」
運が悪いことに、昇降口でバッタリ朝練終わりの天音と出会してしまった。
しかもタイミングが悪く、ちょうど靴の履き替えをしていたところだったので、足にグルグル巻きにされているテーピングやら包帯やらが丸見えの状態だった。
心配性な天音に見られてしまい、これはまずいぞ、と思えば案の定心配そうな表情でこちらを見ている。
「大丈夫なの?病院行った?」
「いや、えーっと、……とりあえず、固定はしてあるから」
「……その様子だと、病院行ってないんでしょ? もうー! 一人暮らしなんだから気をつけないと! てか、そういう非常事態あったなら呼んでくれればよかったのに!」
久々にぷりぷりと怒り始める天音。
式神さんに怒られるのはしょっちゅうだが、普段はのほほんとしてる天音に怒られるというのは、なかなかレアな体験だ。
そんなことを言ったら、火に油を注ぐことになりそうだけど。
「いや、結構夜更けに……その、寝ぼけて階段から落ちて挫いちまってな。あ、でも、見た目ほど酷くはないし、治すために固定してるだけだから」
そんな大したことないぜ、アピールで足を振ってみせる。
多少痛みは走ったが、あえてここは強がってみせた。
「そう? 本当? ……でも、次は何かあったらすぐ呼んでね? たとえ深夜でも! ね?」
「あ、あー、わかったよ。心配してくれてありがとな」
天音からしたら俺が一人暮らしだと思っているぶん、余計に心配してくれているんだろう。
なんだか申し訳ない、と思いつつも、式神さんのことを言えないのでもどかしい。
嘘をついているわけではないが、隠しているのは事実だし、隠し事が苦手な自分からしたら正直に言えないことに胸が痛んだ。
「おーいおーい、どした!? 修羅場か!??」
「お前と一緒にすんな、アホ」
天音と一緒に教室に入れば、輝が俺と天音のギクシャクした様子に素早く気づいて、茶々を入れてくる。
相変わらず目敏いやつだ。
こういう何でも気がつくところがモテる秘訣なのだろうか。
「って、希生怪我してんじゃん!」
「本当、そういうのも気づくの早いな」
「いや、だって歩き方見りゃ誰でもわかるだろ」
わりかし普通に歩いて来たつもりだが、そんなに変な歩き方だっただろうか。
なんか、目敏いを通り越してちょっと恐い。
「そういや、昨日は水戸さんとは大丈夫だったの?」
「大丈夫なわけないだろー!! 聞いてくれよー! 俺のスマホが……! 俺のスマホが……!!」
「何だこれ」
「プリペイドケータイになっちまったんだようーーーー!」
見せられたのは、ちんまい旧型の携帯。
液晶は小さいは、ほぼボタンだらけだわ、でまるで年配者が持っているらくらくフォンのようだとしげしげと見る。
今時こんなんまだあるんだ、と純粋に感心してしまったが、目の前の男には由々しき事態のようだった。
まぁ、気持ちはわからなくはないが。
「写真もまともに撮れねーし、ほぼ電話機能しかなくて、連絡取るにもあんまりネット使えねーし!!」
「あーーー、それはご愁傷様」
「他にもスマホ型のプリペイドケータイとかあるっていうのに! よりにもよってこんなんなんて! あんちゃん酷すぎる!!」
「私が……どうしたの?」
「ひぃぃぃぃぃぃ!!!」
振り返れば、にっこりと黒い笑みを浮かべている水戸さん。
目の前の輝は、恐怖で顔面蒼白だった。
「輝くんが、納得して決めたことだったよねぇ?」
「ハイ、ソウデス」
「うん? 私が悪いの?」
「イエ、メッソウモゴザイマセン」
「わかればよろしい」
相変わらず水戸さんの権力しゅごい。
あえてここはすごいではなく、しゅごい、だ。
そもそも、彼氏の携帯を変更するほどの権力とは一体……。
きっと輝の親も絡んでるだろうに、なんか色々とそういう背景を考えるとこの人だけは絶対に敵にしちゃまずいタイプだとしみじみ思った。
「京極くん」
「ははははははい……!? 何でしょう!??」
「もし輝くんが変なことしてたら、……よろしくね?」
「そ、それはもちろん! 合点承知です!!」
「あ、おい、希生! お前、裏切ったな!!」
「てーるーくーんー?」
「あ、いえ、すみません。ナンデモナイデス」
……本当、こいつは学習しないな。
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