28 / 53
第二十五話 厄介
しおりを挟む
「早速ですが、国民には秋王が一度体調を崩して国へ返していた妃を再び呼び戻したというていで、お披露目の儀を明日執り行います」
「承知した」
花琳が頷くと、雪梅が困った様子で首を傾げ「まぁ、どうしましょう」と眉を下げた。
「どうかしたか?」
「えぇと、お披露目は明日ですか……? ワタシ、長い船旅でしたものであまり体調が優れないので、できれば一日延ばしていただくことは可能でしょうか」
「そうか。峰葵?」
「承知しました。日程を変えるよう手筈して周知しておきます」
峰葵を見ずに声だけかけると、呼応するようにすぐさま返事が返ってくる。
今までは峰葵とこのような些細なやりとりが嬉しかったが、今では言葉を交わすのが苦しく、花琳にとって毒でしかなかった。
「お気遣い、ありがとうございます。あぁ、貴方が峰葵さまですね。ワタシのこと、覚えていらっしゃるでしょうか?」
「失礼。今は謁見中ですので、私との個人的な私語は……」
「あら、謁見中は峰葵さまとお話してはいけないのでしょうか?」
雪梅が可愛らしい顔でこちらを向く。
その姿はまるで親に許可をせがむ子供だ。
彼女は年上であるはずなのに、振る舞いはまるで幼な子のようだった。
「いや、いい峰葵。雪梅殿もお疲れのようだし、その儀が明後日になるのであればこれで謁見は終了としよう。我も仕事があるゆえ」
「まぁ、陛下はお忙しいのですね」
「えぇ。ですからあまり雪梅殿に構えぬと思いますが、そこの峰葵が雪梅さまの用件を聞きますので、彼に何でも言ってください」
「陛下……っ」
「いいな?」
峰葵が何か言いたそうにしているのはわかったが、あえて強めに念押しをする。
みんながいる手前、そうするしかなかった。
「……御意」
「早速、雪梅殿に後宮の案内をしてくれ。当時とあまり変わってはいないが、彼女が離れてだいぶ日も経つ。不自由がないようにくれぐれも配慮してくれ。では、我は先に下がるぞ」
「はい」
「まぁ、嬉しい。ありがとうございます。陛下」
ニコニコと愛らしい笑みを浮かべて恭しく頭を下げる雪梅。
そのままにっこりと微笑むと、彼女は峰葵の腕にしがみついた。
「これから仲良くしてくださいね、峰葵さま。よろしくお願いします」
「……こちらこそ」
自分ができなかったことをしてのけ、目の前であどけなく振る舞う雪梅の姿に、花琳は胸がギュッと押し潰されそうになる。
「ワタシ、できれば城下も見たいのですが。ここに来るまでに寄り道しちゃダメだと言われたから。だから峰葵さま、連れてってくださらない?」
「今すぐというわけには参りませんが、雪梅さまがお望みになるのであれば、できるだけ意に添えるよう努めます」
「まぁ、嬉しい! ありがとう、峰葵さま」
(苦しい。嫌だ。見たくない)
花琳はそんな彼らの姿が見ていられなくて、サッと彼らに背を向けるとそのまま謁見の間をあとにする。
一刻も早くこの空間から出たくて、花琳は足早に私室へと戻ったのだった。
◇
「なんなんですか、あの女!」
「良蘭。聞こえるから大きな声で言わないの」
夕食を終え、遠征の報告や各国の情報などの書かれた書簡を見ていると、珍しく良蘭が声を荒げて憤っていた。
もちろん、あの女というのは雪梅のことである。
「食事が合わないから変えて、盛り付けが気に食わないから変えて、食材を吉紅海のものも使って、従者にも人数分おかわりができるように振る舞えって、さすがにおかしくありません!?」
「そう怒らないの。彼女は今度こそここで一生過ごさなきゃいけない人だし、そもそも二度目の召喚で世継ぎを産むためだけに全てを捨ててきた人なのだから」
「全然捨ててきてないじゃないですか! 今までこんなに持ち込んだ妃を見たことないですし! そもそも、我が国の財政を何だと思っているのでしょうか!」
「良蘭」
窘めるように名を呼ぶと、「うぐぐぐ」と唸る良蘭。
「それにしても、以前来たときと態度が雲泥の差ですっ」
「以前は他の妃もいたからね。当時、彼女は最年少だったし、配慮したのでは?」
「だからと言って、今回傍若無人に振る舞っていいわけではないじゃないですか。花琳さまが今まで質素倹約されてたからこそ財源確保してたのに、それを食い潰そうとして……っ」
「こら、口が悪いわよ。とはいえ、あまり度が過ぎても困るからある程度釘は刺しておかないとだけど、仲考が出てくると厄介ね」
今朝の出来事を思い出す。
なぜか雪梅の肩を持っていたけど、ただの気まぐれか、それとも花琳への嫌がらせか。
(嫌がらせだったら面倒だなぁ)
今後も釘を刺そうとすると横槍を入れられるかもしれない。
事実、今日も入れられたわけだし、そもそも心象的に美人の前では何をやっても勝てないというのは今日の空気感から理解した。
下手に花琳が口を出せば上層部の反感を買い、ただでさえ低下した士気をより下げることになるだろう。
(厄介だなぁ……)
味方を増やせと余暉に言われたのに、このままでは敵を増やすばかりだ。
どうにか……せめて民意だけでもこちらにつけておきたいと花琳は悩むもすぐに答えは出せそうにもなかった。
「花琳さま、お疲れです? 大丈夫ですか?」
「えぇ、平気。ちょっと考えごとしてただけ。難しいわね、人の心って」
「花琳さま……」
「秋王として民を導かないといけないのだから、上層部にも雪梅にも構ってる場合ではないのだけど、凡人の私にはなかなか兄のように思う通りにはいかないわ」
決して取捨選択ができていないわけではないが、花琳は優しすぎるきらいがある。
そのせいで損切りが上手くできておらず、変に反感を買ってしまってそれで落ち込むといったことも多々あった。
まだ十八の娘に感情を殺して割り切れというのもなかなか難しく、どうしても余暉のような判断ができずに自己嫌悪する。
「お兄さまならもっと上手くできただろうな……」
「何をおっしゃっているのです。花琳さまは余暉さまと比べる必要などございません。今までだって花琳さまだからこそできていることがたくさんあります。余暉さまとは方向性が違うとは思いますが、花琳さまなりの良い国づくりをしようと奮闘されていると私は思いますよ」
良蘭に熱く語られて面食らう。
彼女は冷静沈着であまりこのようなことを言うような気質ではないのだが、だからこそ花琳が気負わないようにと配慮してくれるのがありがたかった。
「全く、良蘭は私に甘いのだから。でも、ありがとう」
「甘いわけではありません! 事実ですから。それに何でも鞭ばかりではよろしくないかと。人間には飴も必要ですから」
「なるほど」
(甘やかしと厳しさとの兼ね合いが大事)
ふむふむ、と一人唸る花琳。
そういえば、市井の女将さんも亭主を手の平で転がすには厳しいことばかりは言わずに甘い言葉で褒めるのも大事だと言っていたことを思い出した。
「ありがとう、良蘭。おかげで、いいことを思いつきそうな気がする」
何やらいい考えが浮かびそうだと、机に向かう。
そして書簡を広げながら筆を持ち、花琳はさらさらと草案を書き始めるのであった。
「承知した」
花琳が頷くと、雪梅が困った様子で首を傾げ「まぁ、どうしましょう」と眉を下げた。
「どうかしたか?」
「えぇと、お披露目は明日ですか……? ワタシ、長い船旅でしたものであまり体調が優れないので、できれば一日延ばしていただくことは可能でしょうか」
「そうか。峰葵?」
「承知しました。日程を変えるよう手筈して周知しておきます」
峰葵を見ずに声だけかけると、呼応するようにすぐさま返事が返ってくる。
今までは峰葵とこのような些細なやりとりが嬉しかったが、今では言葉を交わすのが苦しく、花琳にとって毒でしかなかった。
「お気遣い、ありがとうございます。あぁ、貴方が峰葵さまですね。ワタシのこと、覚えていらっしゃるでしょうか?」
「失礼。今は謁見中ですので、私との個人的な私語は……」
「あら、謁見中は峰葵さまとお話してはいけないのでしょうか?」
雪梅が可愛らしい顔でこちらを向く。
その姿はまるで親に許可をせがむ子供だ。
彼女は年上であるはずなのに、振る舞いはまるで幼な子のようだった。
「いや、いい峰葵。雪梅殿もお疲れのようだし、その儀が明後日になるのであればこれで謁見は終了としよう。我も仕事があるゆえ」
「まぁ、陛下はお忙しいのですね」
「えぇ。ですからあまり雪梅殿に構えぬと思いますが、そこの峰葵が雪梅さまの用件を聞きますので、彼に何でも言ってください」
「陛下……っ」
「いいな?」
峰葵が何か言いたそうにしているのはわかったが、あえて強めに念押しをする。
みんながいる手前、そうするしかなかった。
「……御意」
「早速、雪梅殿に後宮の案内をしてくれ。当時とあまり変わってはいないが、彼女が離れてだいぶ日も経つ。不自由がないようにくれぐれも配慮してくれ。では、我は先に下がるぞ」
「はい」
「まぁ、嬉しい。ありがとうございます。陛下」
ニコニコと愛らしい笑みを浮かべて恭しく頭を下げる雪梅。
そのままにっこりと微笑むと、彼女は峰葵の腕にしがみついた。
「これから仲良くしてくださいね、峰葵さま。よろしくお願いします」
「……こちらこそ」
自分ができなかったことをしてのけ、目の前であどけなく振る舞う雪梅の姿に、花琳は胸がギュッと押し潰されそうになる。
「ワタシ、できれば城下も見たいのですが。ここに来るまでに寄り道しちゃダメだと言われたから。だから峰葵さま、連れてってくださらない?」
「今すぐというわけには参りませんが、雪梅さまがお望みになるのであれば、できるだけ意に添えるよう努めます」
「まぁ、嬉しい! ありがとう、峰葵さま」
(苦しい。嫌だ。見たくない)
花琳はそんな彼らの姿が見ていられなくて、サッと彼らに背を向けるとそのまま謁見の間をあとにする。
一刻も早くこの空間から出たくて、花琳は足早に私室へと戻ったのだった。
◇
「なんなんですか、あの女!」
「良蘭。聞こえるから大きな声で言わないの」
夕食を終え、遠征の報告や各国の情報などの書かれた書簡を見ていると、珍しく良蘭が声を荒げて憤っていた。
もちろん、あの女というのは雪梅のことである。
「食事が合わないから変えて、盛り付けが気に食わないから変えて、食材を吉紅海のものも使って、従者にも人数分おかわりができるように振る舞えって、さすがにおかしくありません!?」
「そう怒らないの。彼女は今度こそここで一生過ごさなきゃいけない人だし、そもそも二度目の召喚で世継ぎを産むためだけに全てを捨ててきた人なのだから」
「全然捨ててきてないじゃないですか! 今までこんなに持ち込んだ妃を見たことないですし! そもそも、我が国の財政を何だと思っているのでしょうか!」
「良蘭」
窘めるように名を呼ぶと、「うぐぐぐ」と唸る良蘭。
「それにしても、以前来たときと態度が雲泥の差ですっ」
「以前は他の妃もいたからね。当時、彼女は最年少だったし、配慮したのでは?」
「だからと言って、今回傍若無人に振る舞っていいわけではないじゃないですか。花琳さまが今まで質素倹約されてたからこそ財源確保してたのに、それを食い潰そうとして……っ」
「こら、口が悪いわよ。とはいえ、あまり度が過ぎても困るからある程度釘は刺しておかないとだけど、仲考が出てくると厄介ね」
今朝の出来事を思い出す。
なぜか雪梅の肩を持っていたけど、ただの気まぐれか、それとも花琳への嫌がらせか。
(嫌がらせだったら面倒だなぁ)
今後も釘を刺そうとすると横槍を入れられるかもしれない。
事実、今日も入れられたわけだし、そもそも心象的に美人の前では何をやっても勝てないというのは今日の空気感から理解した。
下手に花琳が口を出せば上層部の反感を買い、ただでさえ低下した士気をより下げることになるだろう。
(厄介だなぁ……)
味方を増やせと余暉に言われたのに、このままでは敵を増やすばかりだ。
どうにか……せめて民意だけでもこちらにつけておきたいと花琳は悩むもすぐに答えは出せそうにもなかった。
「花琳さま、お疲れです? 大丈夫ですか?」
「えぇ、平気。ちょっと考えごとしてただけ。難しいわね、人の心って」
「花琳さま……」
「秋王として民を導かないといけないのだから、上層部にも雪梅にも構ってる場合ではないのだけど、凡人の私にはなかなか兄のように思う通りにはいかないわ」
決して取捨選択ができていないわけではないが、花琳は優しすぎるきらいがある。
そのせいで損切りが上手くできておらず、変に反感を買ってしまってそれで落ち込むといったことも多々あった。
まだ十八の娘に感情を殺して割り切れというのもなかなか難しく、どうしても余暉のような判断ができずに自己嫌悪する。
「お兄さまならもっと上手くできただろうな……」
「何をおっしゃっているのです。花琳さまは余暉さまと比べる必要などございません。今までだって花琳さまだからこそできていることがたくさんあります。余暉さまとは方向性が違うとは思いますが、花琳さまなりの良い国づくりをしようと奮闘されていると私は思いますよ」
良蘭に熱く語られて面食らう。
彼女は冷静沈着であまりこのようなことを言うような気質ではないのだが、だからこそ花琳が気負わないようにと配慮してくれるのがありがたかった。
「全く、良蘭は私に甘いのだから。でも、ありがとう」
「甘いわけではありません! 事実ですから。それに何でも鞭ばかりではよろしくないかと。人間には飴も必要ですから」
「なるほど」
(甘やかしと厳しさとの兼ね合いが大事)
ふむふむ、と一人唸る花琳。
そういえば、市井の女将さんも亭主を手の平で転がすには厳しいことばかりは言わずに甘い言葉で褒めるのも大事だと言っていたことを思い出した。
「ありがとう、良蘭。おかげで、いいことを思いつきそうな気がする」
何やらいい考えが浮かびそうだと、机に向かう。
そして書簡を広げながら筆を持ち、花琳はさらさらと草案を書き始めるのであった。
0
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
不吉だと捨てられた令嬢が拾ったのは、呪われた王子殿下でした ~正体を隠し王宮に上がります~
長井よる
恋愛
フローレス侯爵家の次女のレティシアは、この国で忌み嫌われる紫の髪と瞳を持って生まれたため、父親から疎まれ、ついには十歳の時に捨てられてしまう。
孤児となり、死にかけていたレティシアは、この国の高名な魔法使いに拾われ、彼の弟子として新たな人生を歩むことになる。
レティシアが十七歳になったある日、事故に遭い瀕死の王子アンドレアスを介抱する。アンドレアスの体には呪いがかけられており、成人まで生きられないという運命が待ち受けていた。レティシアは試行錯誤の末、何とか呪いの進行を止めることに成功する。
アンドレアスから、王宮に来てほしいと懇願されたレティシアは、正体を隠し王宮に上がることを決意するが……。
呪われた王子×秘密を抱えた令嬢(魔法使いの弟子)のラブストーリーです。
※残酷な描写注意
10/30:主要登場人物•事件設定をUPしました。
男装官吏と花散る後宮〜禹国謎解き物語〜
春日あざみ
キャラ文芸
<第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました。応援ありがとうございました!>
宮廷で史書編纂事業が立ち上がると聞き、居ても立ってもいられなくなった歴史オタクの柳羅刹(りゅうらせつ)。男と偽り官吏登用試験、科挙を受験し、見事第一等の成績で官吏となった彼女だったが。珍妙な仮面の貴人、雲嵐に女であることがバレてしまう。皇帝の食客であるという彼は、羅刹の秘密を守る代わり、後宮の悪霊によるとされる妃嬪の連続不審死事件の調査を命じる。
しかたなく羅刹は、悪霊について調べ始めるが——?
「歴女×仮面の貴人(奇人?)」が紡ぐ、中華風世界を舞台にしたミステリ開幕!
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

果たされなかった約束
家紋武範
恋愛
子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。
しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。
このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。
怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。
※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
皇帝は虐げられた身代わり妃の瞳に溺れる
えくれあ
恋愛
丞相の娘として生まれながら、蔡 重華は生まれ持った髪の色によりそれを認められず使用人のような扱いを受けて育った。
一方、母違いの妹である蔡 鈴麗は父親の愛情を一身に受け、何不自由なく育った。そんな鈴麗は、破格の待遇での皇帝への輿入れが決まる。
しかし、わがまま放題で育った鈴麗は輿入れ当日、後先を考えることなく逃げ出してしまった。困った父は、こんな時だけ重華を娘扱いし、鈴麗が見つかるまで身代わりを務めるように命じる。
皇帝である李 晧月は、後宮の妃嬪たちに全く興味を示さないことで有名だ。きっと重華にも興味は示さず、身代わりだと気づかれることなくやり過ごせると思っていたのだが……
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる