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あれから結婚式を挙げ、ベルーナとウィクトルは正式に夫婦になった。宿屋の運営と飲み比べと称して酔った相手から情報を得る情報屋もきちんと夫婦で連携しながらこなしている。
そして情報屋の仕事をしているうちに、かつてベルーナがいた国ではベルーナの予想通りなことが起きていたことを知った。
ディデリクス王子は結婚と同時に国王になり、前国王夫妻は隠居。ディデリクス国王が国家運営をすることになったが、結婚したからといってすぐに性格が変わるわけもなく、何か突拍子もないことを思いついては国民を気まぐれに振り回してばかりだった。
また、ベルーナの代わりに嫁いだカダレ公爵令嬢は自己中心的な性格で、国の運営はもちろん王妃としての勤めも放棄して散財ばかりしていた。また、噂通りの奔放な性格だったようで、世継ぎを次々と産むもののいずれも髪や瞳、肌の色さえバラバラで、誰がどう見てもディデリクス国王の子とは思えない子ども達ばかりだったが、ディデリクス国王は若くて可愛らしく夜伽がうまくて評判のカダレ妃を盲目的に愛し、咎めることなく好き勝手させていた。
もちろん、このような状態で国家が運営できるわけもなく、国は疲弊し国民は不満を募らせた。そして、とうとう堪忍袋の緒が切れた国民達が決起し一斉に王宮に押し寄せ、国王夫妻を捕縛。王宮前で大勢の国民達の前で大々的に処刑されたのだった。もちろん、ディデリクス国王に寄生するように甘い汁ばかり啜っていた貴族達も次々と捕縛され、ベルーナの両親もその中に入っていたそうだ。
ちなみに、その打倒国王を最初に掲げたのはかつてのベルーナの領民達であったそうで、国王達亡き今は優良な貴族や国民が国家を運営し、今までとは比べ物にならないほど国が安定しているらしい。
先日も、ベルーナがアーロン国王のところに用事があって出向いたところ、現在宰相として君臨しているベルーナの元領民がたまたま来ていて感動の再会を果たし、「ベルーナ様! いずれまた国に戻って来てください!!」と熱弁された。ベルーナとしても現在の自国がどのような変化を遂げたか気になったが、アーロン国王はベルーナを手放す気は毛頭なく、どうにか交渉をして旅行だけならいいとの許可は得ることができ、旅行としてだがベルーナ達は国へ戻ることが叶ったのだった。
◇
「本当にすごいな、ベルーナは」
「何が?」
「いや、婚約破棄されても、国外追放されても、こうして力強く生きていることに改めて感心してな」
「何よ、急に。……ウィクトルがいてくれたからこうして私が好き勝手できてるのよ」
あの一件からさらに数年経ち、二人の間には三人の子どもが生まれ、宿屋の運営も順調でたくさんの縁もでき、婚約破棄を受けたときには想像もつかないほど順風満帆だった。
「幸せか?」
「今更何よ、当たり前でしょう? それとも、ウィクトルは幸せじゃないの?」
「それはもちろん、幸せに決まってるだろう。ずっと諦めていたベルーナとの結婚もできたし、子どもまで授かれたんだからな」
ウィクトルがベルーナに口付ける。
ベルーナはその口付けを受け入れながら、きっかけである婚約破棄のことを思い出し、心の中で改めて「婚約破棄おめでとー! あのときの私」と思うのだった。
終
そして情報屋の仕事をしているうちに、かつてベルーナがいた国ではベルーナの予想通りなことが起きていたことを知った。
ディデリクス王子は結婚と同時に国王になり、前国王夫妻は隠居。ディデリクス国王が国家運営をすることになったが、結婚したからといってすぐに性格が変わるわけもなく、何か突拍子もないことを思いついては国民を気まぐれに振り回してばかりだった。
また、ベルーナの代わりに嫁いだカダレ公爵令嬢は自己中心的な性格で、国の運営はもちろん王妃としての勤めも放棄して散財ばかりしていた。また、噂通りの奔放な性格だったようで、世継ぎを次々と産むもののいずれも髪や瞳、肌の色さえバラバラで、誰がどう見てもディデリクス国王の子とは思えない子ども達ばかりだったが、ディデリクス国王は若くて可愛らしく夜伽がうまくて評判のカダレ妃を盲目的に愛し、咎めることなく好き勝手させていた。
もちろん、このような状態で国家が運営できるわけもなく、国は疲弊し国民は不満を募らせた。そして、とうとう堪忍袋の緒が切れた国民達が決起し一斉に王宮に押し寄せ、国王夫妻を捕縛。王宮前で大勢の国民達の前で大々的に処刑されたのだった。もちろん、ディデリクス国王に寄生するように甘い汁ばかり啜っていた貴族達も次々と捕縛され、ベルーナの両親もその中に入っていたそうだ。
ちなみに、その打倒国王を最初に掲げたのはかつてのベルーナの領民達であったそうで、国王達亡き今は優良な貴族や国民が国家を運営し、今までとは比べ物にならないほど国が安定しているらしい。
先日も、ベルーナがアーロン国王のところに用事があって出向いたところ、現在宰相として君臨しているベルーナの元領民がたまたま来ていて感動の再会を果たし、「ベルーナ様! いずれまた国に戻って来てください!!」と熱弁された。ベルーナとしても現在の自国がどのような変化を遂げたか気になったが、アーロン国王はベルーナを手放す気は毛頭なく、どうにか交渉をして旅行だけならいいとの許可は得ることができ、旅行としてだがベルーナ達は国へ戻ることが叶ったのだった。
◇
「本当にすごいな、ベルーナは」
「何が?」
「いや、婚約破棄されても、国外追放されても、こうして力強く生きていることに改めて感心してな」
「何よ、急に。……ウィクトルがいてくれたからこうして私が好き勝手できてるのよ」
あの一件からさらに数年経ち、二人の間には三人の子どもが生まれ、宿屋の運営も順調でたくさんの縁もでき、婚約破棄を受けたときには想像もつかないほど順風満帆だった。
「幸せか?」
「今更何よ、当たり前でしょう? それとも、ウィクトルは幸せじゃないの?」
「それはもちろん、幸せに決まってるだろう。ずっと諦めていたベルーナとの結婚もできたし、子どもまで授かれたんだからな」
ウィクトルがベルーナに口付ける。
ベルーナはその口付けを受け入れながら、きっかけである婚約破棄のことを思い出し、心の中で改めて「婚約破棄おめでとー! あのときの私」と思うのだった。
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