幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎

文字の大きさ
上 下
51 / 62

奴隷商

しおりを挟む

 魔王都

 前回はゆっくり見て回る機会がなかったけど、こうやって繁華街を歩いてみると男にとっては魅力的な都会なのだと判る。

 夕方にもなると凄く綺麗な女性たちが路上で客引きをして、猥雑な店の看板が並んび音楽が流れている。僕も男だし暇な時に手を引かれたら付いていってしまうかもしれない。だけど今回は遊んでいる暇はない。

 客引きの女性たちの淫靡な魔力が掛かった腕から逃れ、夜の街を抜けていく。

 だが、その看板の一つが目に留まる。奴隷商の店で、看板には「虐待用、食用、繁殖用」等と書かれていて気分が悪いがそこに「本日人族あり」とも有ったのだ。

「奴隷屋かぁ、アモンが奴隷‥‥」

 一瞬だけ3人の奴隷姿が頭に浮かんだが、現実にはなさそうだったので通り過ぎようとしたが、やはり気になってしまい店に入った。

「これはいらっしゃませ」

 入店早々ど派手なジャケットを着たオッサンが僕のそばにやってきて案内を始める。

「この店に人族が居ると聞いてきたが」
「ええ、他にも色々と取り揃えてございますどうぞこちらへ」

 オッサンについていくと、建物の奥の方に案内されて分厚いカーテンの奥の扉を開き淫靡な雰囲気の大きな部屋に入った。空間魔法なのだろうか、部屋のあちこちが桃色や紫に光り薄暗く装飾している。

「ご自由にお座りください」

 オッサンが指さす沢山のソファーの空いているところに座れという事のようだ。客は全体的に3分入りといった感じで、姿からして魔族が多いようだ。

 奥のステージのようなところでは音楽に合わせて首輪をつけられた奴隷達がセクシーな女性に寄り添われ、一人づつステージの中央に歩いてきて去っていく。中には裸に近い奴隷もいた。種族的には初めて見る亜人種が多く、次々と現れては去っていく中、正確にカウントしてはいないが8割ほどは亜人のようだ。

 爬虫類系、げっ歯類系、等が多い。亜人は獣人とも違っていて、彼ら奴隷達は顔が完全に獣だ。知能が高いかどうかは知らないが服を着ているところを見ると一応は文明もあるのだろう。

「では皆さん本日のラスト1、とっておきの人族でございます」

 ステージの隅で大きな声で案内が入り、人族と思われる美少女の奴隷が登場して会場がどよめく。

「おおお、決めたぞ」

 客の魔族の一人が興奮して叫ぶ。僕も釣られて見入ったが、知り合いには居ない顔で少し安心した。

「え~それでは最後に全員上がりまして落札会とします、まず開始価格です~」

 司会がアナウンスすると、今まで登場した奴隷達が全員、首から大きな値札を下げて登場した。

「1番4000金、2番‥‥12番20万金」

 1人ずつ落札開始価格を紹介していく。最後に紹介された人族の美少女は20万金らしい。

 次々と落札されていく様子を茫然と眺めて居ると最後の人族の番が回ってきて魔族の貴族風のオッサンが叫ぶ。

「100万金!」

 会場からどよめきともため息ともつかない声がして、それで彼女は落札された。

「ありがとうございます、本日はこれで終了となります落札者の方はこちらへ」

 僕は帰る客の相手をしている案内のオッサンにもう少し話を聞こうと思い最後まで残っていた。

「お帰りはこちらへどうぞ」
「その前に少し訊きたいのだけど」
「そりゃもう、なんでもどうぞ」
「奴隷屋は魔王都に沢山あるのですか?」
「いいえ、うちだけですよ!潜りでやっているところは知りませんが、認可されているのはうちだけです
!」

 オッサンは胸を張って答える。

「そうなんだ、あと、人族というのは定期的に入荷するものなのか?」
「定期的ではありませんね、非常に希少な商品ですので」
「どうやって入荷するんだ?捕まえてくるのか?」
「ほとんどは繁殖ですが、稀にとらえられて来たものもいるようですね」
「へぇ‥‥」

 すると、魔人事件により帝都が襲撃された件も無関係とも言い切れないのだろうか?などと考えて居たらステージの方で揉める声が聞こえた。

「おい、これは違うじゃないか!」

 さっきの貴族のオッサンが美少女の頭をつかんで怒鳴っていた。

「こいつは魔族の子だろうが!見ろ、ここに角があるだろう!」
「はい‥‥はい、何か手違いがございまして、大変申し訳ございません」

 髪の毛に隠れて見えにくかったようだが、どうやらその子は人族ではなく魔族の子だったようだ。
 それで揉めているのを見て一瞬安心した。

「では、返金のうえ後で処分いたします」
「ダメだ、我は恥をかいた!今すぐに我の目の前で殺せ!」

 貴族のオッサンの凶悪な要求に僕は寒気を覚えた。同族の少女を殺せだとか。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

目つきが悪いと仲間に捨てられてから、魔眼で全てを射貫くまで。

桐山じゃろ
ファンタジー
高校二年生の横伏藤太はある日突然、あまり接点のないクラスメイトと一緒に元いた世界からファンタジーな世界へ召喚された。初めのうちは同じ災難にあった者同士仲良くしていたが、横伏だけが強くならない。召喚した連中から「勇者の再来」と言われている不東に「目つきが怖い上に弱すぎる」という理由で、森で魔物にやられた後、そのまま捨てられた。……こんなところで死んでたまるか! 奮起と同時に意味不明理解不能だったスキル[魔眼]が覚醒し無双モードへ突入。その後は別の国で召喚されていた同じ学校の女の子たちに囲まれて一緒に暮らすことに。一方、捨てた連中はなんだか勝手に酷い目に遭っているようです。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを掲載しています。

勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。 応援本当に有難うございました。 イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。 書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」 から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。 書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。 WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。 この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。 本当にありがとうございました。 【以下あらすじ】 パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった... ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから... 第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。 何と!『現在3巻まで書籍化されています』 そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。 応援、本当にありがとうございました!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

処理中です...