アイテムマイスター物語〜ゴミスキルで能無し認定された主人公はパーティーから追放され好き勝手に生きる事に決めました

すもも太郎

文字の大きさ
18 / 52

ロックオン

しおりを挟む
 その日、ラセルは気分がよかった。

 思いがけずSランクに認定されたこと、個人では持ちきれないほどの金を手に入れたこと、そして炎と氷の魔法剣を買い揃えた事だ。

「ラセル!おかえり!」

「リーナ、ただいま」

 武器防具屋で氷の剣を手に入れた帰り、店を出るとリーナに出会った。

「今日クエストから戻ったんだよ、君もギルドかい?」

「違うわよ、今日はラセルを捕まえにきたの」

「ふうん?どんな用事だい?」

 リーナが自分を捕まえるだのと言うのは子供時代以来のセリフだった。

「実はね……宮廷からラセルを監視しろって言われてきたの」

「ははは、なんの冗談だよ」

「えへへ、じゃあ個人的に付き纏っちゃおうかしら」

「ふ~ん、何をたくらんでいるんだ?」

 リーナはいつも忙しそうにしていて、自分に構っている暇はない事をラセルは知っている。

「ふふ、付き纏ってご飯を奢ってもらう魂胆よ」

 リーナは悪戯っぽく笑いながらいう。

「良いよ、今日はすごく気分がいいんだ」

 ラセルはリーナと近年長く話をしてない事を思い出してそれに同意した。

「あら、あたしとのご飯はついでなの?」

「たはは……」

 その指摘は少し当たっていた。

「まさか当たり?酷いわねぇ」

「まぁまぁ、王都で一番高級な店に行こうと思うのだけど、この格好で良いと思う?」

「え?ほんと!いいよいいよ、全然いいよ!」

 リーナはラセルの知っている子供の頃のようにはしゃいで喜んだ。

 実際は、使い込まれた旅人の服と皮のジャケットなのでとても高級店には似合いそうには無かったが。

 指輪の効果で影なく光を発していて、新品のように輝いて見えていた。

「ふふ、じゃあ行こうか」

 そう言うとリーナは剣を下げてない方の右手に自分の手を絡ませて来る。


 その高級店の一つ、ラフィは王都の中心部近く、貴族の館が立ち並ぶ通りに面していた。

「まさかここに来れる日が来るとは思って無かったよ」

「早く入りましょう!」

 リンリンリン……

 鈴がついた高級な装飾の施された重厚な木製のドアを開けると、中年男の受付係が内部から扉を引き、お辞儀をしながら二人を招き入れた。 

「いらっしゃいませ」

「二人なのだけど席はありますか?」

「ええ、ございますよ、ただ腰のお召し物はこちらでお預かりいたします」

「そうなんだ」

 高級店のマナーを知らないラセルは急いで炎と氷の剣を腰ベルトごと手渡す。

「はい、大切にお預かりさせていただきます……ではこちらへどうぞ」

 受付係は受け取った装備を入り口付近のカウンターに設置された魔法の保管箱にサッとしまい、二人を店内へ案内した。

 店内は既に大勢の貴族や金持ちで賑わっており、ラセルは豪華な内装や貴族達の煌びやかな服装に目が泳ぐ。

 しかし、受付の男はラセルの身なりを全く気にしていない様子なのが彼にとっては不思議に思えた。

 二人が店内の隅の方の席に誘導され進む中、会話中の貴族達がラセルの姿に気がついて妙な顔をしたのが分かる。

 今は指輪の力のせいでそんな些細な事までラセルには分かってしまい、その力が少し邪魔に感じてすらいた。

 引かれた椅子に着くと、ボーイがやってきてメニューを二人に手渡した。

「うーん……」

 その怪奇な呪文のような料理名がずらりと並んだメニュー表を見てラセルは思わず唸ってしまう。

 書いてある意味はよくわかったのだが、具体的に食べてみないと味までは分からないのだ。

「おすすめのコースメニューをお願いします」

 結局、初見のラセルには単品の料理がどのくらいの量なのか、どんな味付けなのか想像も出来ないのでコース料理を頼むことになる。

 ただ、そこの店の相場が大体把握できた。

 単品料理もほぼ全て一皿10金以上で、コース料理に至っては二人で100金もする。

 以前であれば絶対に入店しようと思わない価格だった。

 
「それで……リーナは最近どうしていたんだ?まだ赤い薔薇にいるのかい?」

「そこはもう辞めちゃったの、今はラセルと同じソロよ」

 赤い薔薇というのは女子だけで結成された冒険者パーティーで、リーナもそこに所属していた。

「もう辞めたのかい?この一年で何回目?」

「えーとね、10回くらいかな、ははは……」

 リーナはパーティーに入ってはすぐにやめる癖がついている……ラセルはそう思っていた。

「まぁ、リーナは人気者だからぁ直ぐに次のパーティーから声がかかるだろうけどね」

 ラセルは半分呆れながらも笑っていう。

 リーナはなぜかラセルを眩しそうに見ながら微笑んだ。

 そんなリーナの顔を初めてみたラセルは一瞬ドキッとしてしまう。

 まさか、リーナがそんな顔を自分に向ける何て思わなかったのだ。


 あれ?こいつこんなに可愛かったっけ……?

「なんでそんなに見るの?」

 リーナがそう言うまでラセルは彼女を凝視していた事に気がつき急いで目を逸らす。

「いや、えーとさ、リーナ少し変わったよな?」

「ええ……変わったのはあなたじゃない、ラセル」

 ラセルは話を変えようとして少し成功した。

「ああ、このプレート今日もらったんだよ」

「え!?なにその金色の?」

「Sランクに認定されたんだ」

「Sランクですって!?」

「声がでかいぞ」

 リーナが驚く声が店中に響き、ラセルは慌てて注意した。

「ご、ごめん……でもSランク何てあったの?」

「僕も知らなかったけど、あるらしい」

「それは凄いことじゃないの?」

「多分そうなんだろうな……」

 ラセルはそう言って指輪をしている手でプレートを掴んで胸にしまう時に異変に気がついた。

「あれ?指輪が……ない」

「そうよ、ずっとしてないわ」

「なんだって!?」

「ラセル、シー!」

 今度はラセルが叫んでリーナに注意された。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

スキル『倍加』でイージーモードな異世界生活

怠惰怠man
ファンタジー
異世界転移した花田梅。 スキル「倍加」により自分のステータスを倍にしていき、超スピードで最強に成り上がる。 何者にも縛られず、自由気ままに好きなことをして生きていくイージーモードな異世界生活。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

処理中です...