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ミニー
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「あたしの事もですか?」
「勿論」
「うれしい……ニース様」
ミニーはそう言うと僕の肩に頭を預けた。少し酒が効きすぎているようだ。
ミニーの少女らしいさわやかな香りがして彼女のスースーという息遣いを感じる。
「……」
「ミニー?」
「……」
ミニーは眠ってしまっていた。
それで僕は彼女をそのままにして酒瓶をラッパのみして夕闇が落ちていくのを眺める。
2時間後、真っ暗になった公園のベンチでミニーが目を覚ました。
「……は?」
「起きた?」
ミニーは真っ赤になって僕の肩から頭をどかして両手で顔を覆っていた。
「大丈夫涎は拭いておいたから」
「ええ!そんな!」
「ははは、嘘だよ、涎なんて垂れてないから」
「もう!ニース様って!」
ミニーは真っ赤になってテレながら怒る。
「良く寝て居たから起こせなくてね」
「……ごめんなさい、あたし」
「いいよ」
「でも凄く良い夢をみました」
「へぇ、どんな夢?」
「それが良く覚えてないのだけど、夢の中で凄く幸せでした」
「それは良かったね……そろそろ帰ろうか」
「はい……でも今日は帰る所がないのです」
「宿なら……」
「ニース様のお家に泊めてください」
もうすっかり酒の酔いは醒めているはずだけど、ミニーは大胆な事を言う。
「……良いよ、でも男の一人暮らしだからあまり期待しないでね」
「やったー!」
ミニーは子供っぽく喜んだ。
中央公園から僕のアパートまでは徒歩数分の距離であっという間についてしまう。
考えてみたらこの家に始めてのお客さんだった。
大きな寝室にはベッドが2つあるので、普段使っていない方を彼女に案内する。
「うわぁ、素敵な所ですね」
ミニーは大げさに驚いた。今では彼女もお金持ちなので家くらい好きに買えるはずなのだ。
「ミニーは自分の家を買ってないのだね」
「はい、あたし実は孤児院で育ったの」
彼女が告白をする。
「ほとんど全部孤児院に寄付しちゃいました」
彼女はあっけらかんとして言った。
「ほぅ……それは喜んだだろうね」
「ええ!」
なんとも太っ腹な女の子だ。それで僕はタンスの中の大金を思い出し、あとで少し持たせようと考えたのだが。
「でも大丈夫です!ニース様に頂いたこの弓でどんどん稼げますもの!」
彼女はずっと離さず担いでいる弓を見せていう。
安易に金をあげてしまおうと思った僕の浅はかな考えを、彼女は吹き飛ばしてくれた。
「偉いなぁ」
「えへへ……、でも今夜はニース様のお手伝いをしたいのです」
「というと?」
僕はドキドキして訊く。
「魔宝玉武器を作るお手伝い」
「はは、そういうことね」
僕は少し赤くなった。
「……別の事を考えてらしたのですか?」
「まぁ、気にしないでくれ」
「あたし、こう見えても結構身持ち硬いのですよ?」
「……!」
それは別のことを連想させて僕は更に顔が赤くなる。
それに女性と2人で夜を過ごすというのは凄く久しぶりだったきがするのだ。
それはともかく、男の一人暮らしの部屋に入ってきて言うセリフでもないなと考え直す。
「ニース様って奥手でいらっしゃるの?」
ミニーの言葉は質問ではなく確定事項のように聞こえた。
「まぁ割と」
割とどころかこれまで貧乏自慢のような冒険者生活だったのだ。どこにも彼女を作る余裕などない。
何かミニーに主導権を握られてようになり僕はタジタジである。
孤児院という苛烈な環境はしたたかさを育むようだ……。
「良かったぁ……」
「へ?」
僕があっけに取られているとミニーは嬉しそうにしてベッドに腰を降ろして、ようやく旅人の外套を脱いだ。
僕は変な気が起きる前に眠ることにした。
「勿論」
「うれしい……ニース様」
ミニーはそう言うと僕の肩に頭を預けた。少し酒が効きすぎているようだ。
ミニーの少女らしいさわやかな香りがして彼女のスースーという息遣いを感じる。
「……」
「ミニー?」
「……」
ミニーは眠ってしまっていた。
それで僕は彼女をそのままにして酒瓶をラッパのみして夕闇が落ちていくのを眺める。
2時間後、真っ暗になった公園のベンチでミニーが目を覚ました。
「……は?」
「起きた?」
ミニーは真っ赤になって僕の肩から頭をどかして両手で顔を覆っていた。
「大丈夫涎は拭いておいたから」
「ええ!そんな!」
「ははは、嘘だよ、涎なんて垂れてないから」
「もう!ニース様って!」
ミニーは真っ赤になってテレながら怒る。
「良く寝て居たから起こせなくてね」
「……ごめんなさい、あたし」
「いいよ」
「でも凄く良い夢をみました」
「へぇ、どんな夢?」
「それが良く覚えてないのだけど、夢の中で凄く幸せでした」
「それは良かったね……そろそろ帰ろうか」
「はい……でも今日は帰る所がないのです」
「宿なら……」
「ニース様のお家に泊めてください」
もうすっかり酒の酔いは醒めているはずだけど、ミニーは大胆な事を言う。
「……良いよ、でも男の一人暮らしだからあまり期待しないでね」
「やったー!」
ミニーは子供っぽく喜んだ。
中央公園から僕のアパートまでは徒歩数分の距離であっという間についてしまう。
考えてみたらこの家に始めてのお客さんだった。
大きな寝室にはベッドが2つあるので、普段使っていない方を彼女に案内する。
「うわぁ、素敵な所ですね」
ミニーは大げさに驚いた。今では彼女もお金持ちなので家くらい好きに買えるはずなのだ。
「ミニーは自分の家を買ってないのだね」
「はい、あたし実は孤児院で育ったの」
彼女が告白をする。
「ほとんど全部孤児院に寄付しちゃいました」
彼女はあっけらかんとして言った。
「ほぅ……それは喜んだだろうね」
「ええ!」
なんとも太っ腹な女の子だ。それで僕はタンスの中の大金を思い出し、あとで少し持たせようと考えたのだが。
「でも大丈夫です!ニース様に頂いたこの弓でどんどん稼げますもの!」
彼女はずっと離さず担いでいる弓を見せていう。
安易に金をあげてしまおうと思った僕の浅はかな考えを、彼女は吹き飛ばしてくれた。
「偉いなぁ」
「えへへ……、でも今夜はニース様のお手伝いをしたいのです」
「というと?」
僕はドキドキして訊く。
「魔宝玉武器を作るお手伝い」
「はは、そういうことね」
僕は少し赤くなった。
「……別の事を考えてらしたのですか?」
「まぁ、気にしないでくれ」
「あたし、こう見えても結構身持ち硬いのですよ?」
「……!」
それは別のことを連想させて僕は更に顔が赤くなる。
それに女性と2人で夜を過ごすというのは凄く久しぶりだったきがするのだ。
それはともかく、男の一人暮らしの部屋に入ってきて言うセリフでもないなと考え直す。
「ニース様って奥手でいらっしゃるの?」
ミニーの言葉は質問ではなく確定事項のように聞こえた。
「まぁ割と」
割とどころかこれまで貧乏自慢のような冒険者生活だったのだ。どこにも彼女を作る余裕などない。
何かミニーに主導権を握られてようになり僕はタジタジである。
孤児院という苛烈な環境はしたたかさを育むようだ……。
「良かったぁ……」
「へ?」
僕があっけに取られているとミニーは嬉しそうにしてベッドに腰を降ろして、ようやく旅人の外套を脱いだ。
僕は変な気が起きる前に眠ることにした。
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