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現代の兵器
しおりを挟む翌日僕はカッツのパーティーを探して冒険者ギルドに顔をだした。
すると運よく次のクエストを求めてカウンターのリジーに話しかけている様子だった。
「やあカッツ」
「あ!どうも師匠!」
「ニースさん!」
「ニース様」
3人がそれぞれの言葉で僕に返事を返す。カッツは僕を師匠と呼んでいる。
「3人とも、今日もし良ければ僕の実験に付き合ってくれないか?謝礼は金貨5枚だすよ」
「え!本当ですか!行きます行きます!」
「勿論行きますよ」
「ニース様」
全員やる気があるようだったのでそれで即決した。
僕は彼らに前金として金貨5枚を渡しそのまま王宮に連れて行った。
「え?ここ王宮ですよ?」
「そうだ、ここで実験をやるんだよ、王様達に君達の実力をみせてやろう」
「え!」
「ええ~~~!」
「はい、ニース様」
僕が言うとミニー以外は驚いて固まっていた。
「大丈夫、普段通りやってくれたらそれでいい、今日はアイテムの性能試験なのだから」
カッツ達は冒険者として未熟であるが、それだけにアイテムの性能を示すには丁度いいのだ。
「おはようございます」
王宮の正門で挨拶をすると、警備兵が最敬礼をして門を開ける。
「ひゃあ、すっげー」
「ニース様ってVIP待遇なんですね」
「流石ニース様」
それぞれで驚きを口々に表す。
そのまま進むと王宮の前で王族と側近の近衛兵が既に待機していた。
皆わくわくして僕らの到着を待っていたという風情で、嬉しくなった。
「おはようございます」
「おはよう!本日はよろしく頼みますよ!皆さん!」
王に挨拶をすると、王はカッツ達を見てにこにことする。
その後、近衛兵団との話し合いをして段取りを決め愈々実演を始める事になる。
「まずは、暴風の剣を作ります」
僕は王宮からテスト用に差し出された大剣のバランスを見て、丁度良い位置に持ってきていた風の魔宝玉を埋め込んだ。
バシィ―!
「うん、これで良い、カッツこれを持ってそこで演武をしてみせてくれ」
「え!はい!」
カッツは大剣を僕から受け取ると驚いた。
「うわ!軽いですね!どうなっているの?」
「まるでナイフみたいだろう?それで練習用の演武をしてみせて」
はい!と元気よく言うとカッツは戦士の基本の攻撃の型を演武して見せた。
ブヒュン!ブオンブオン!ババ!ビシュン!……
まるでSランク戦士のように身軽に動き、大剣を自由自在に操った。
「おおお!素晴らしい!」
パチパチパチパチ
パチパチパチパチ
その演武に近衛兵からも拍手が巻き起こる。
「彼はC級冒険者なのです」
「なんと!」
僕が王に説明すると王は愕然としていた。どう見てもSランクの手練れの動きなのだ。
「では次に魔法矢の実演をしましょう」
僕はミニーを呼び、彼女の愛用の弓を貸してもらう。
「悪いね、少し強化させてもらうから」
「ニース様のお役に立てるのならあたし何でもします!」
ミニーは気負って言うがもっと気楽にやってくれて良いのだと伝える。
「いつも通りやってくれればそれで良いよ」
バシュン!
ミニーの弓に大きな炎玉とバースト玉を埋め込む。
「これでよし、それでは弓であの的に向かって魔法矢を連射して見せて欲しい」
弓を渡しながらミニーに指示をだす。
「はい!」
ミニーは王宮に用意された遠方にある積み岩の的に向かい、大きな炎の矢を出現させて一気に連射する。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!
ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
秒間数十発の火炎矢が連射され、着弾すると凄まじい爆音を発して標的の積み岩を粉みじんにした。
「おおおおおおおお」
その場の全員が唸っていた。それは数千人以上の魔弓軍の破壊力だった。これを食らったらいくら防御していても無駄に思える。
「どう?もっと撃てそう?」
「はい!まだまだいけます」
「へぇ~~」
カッツがため息をつく。後ろに居る王族も皆同様だった。ミニーの可愛らしい姿と対照的な破壊力にただため息をつくのみだ。
「では最後にマーシーちゃんに」
僕は予め作っておいたホーリーの腕輪を渡した。
「はい、これは?」
腕輪を渡しながら王族にそれを説明する。
「マーシーちゃんは防御系魔法専門ですが、彼女でもホーリーを放てる事を証明します」
「え!あたし?ホーリーなんて無理です……」
マーシーは究極魔法と呼ばれるホーリーを放てと言われて尻込みした。
「大丈夫、イメージして唱えるだけであとはその腕輪がやってくれるから」
「本当?」
「うん」
不安そうなマーシーに笑顔で答える。
「標的はあの山の上の廃城でイメージして」
「……はい」
それは王宮の裏山にあり今は使われていない砦で、事前に王宮に破壊許可を得ていたものだ。
「では始め」
「ん~~……ホーリー!」
キシィ……ッドゴォオオオオオオオオオオオオン!
ホーリーが眩しい太陽のような輝きを放ち砦の上空で大爆発を起こし、耳をつんざく爆音を発して砦を丸焦げにした。
「はぁああ?」
「ふぅう……」
「……」
全員がその破壊力に呆気にとられていた。
「これは……強力すぎるのでは……」
王がビビってしまっている。
確かにこれでは戦争どころか単なる大虐殺でしかない。
「大丈夫です、これを見せつけてやれば戦争にならずに軍を引くでしょう」
「……なるほど!流石グランドロードであるなぁ、その通りである」
僕の説明に王は納得した。戦争にならなければお互いに被害をださず、友好関係を築ければそれが一番であるはずだった。
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