寝起きで語る小話

沖田ねおき

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不鮮明な悪夢

3.

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見たくない!

何とか声を出そうと藻掻こうにも喉から呻き声が漏れるだけで叫ぶことはできなかった

その間にも人影は距離を縮め、心臓が大きく跳ねたと同時に目の前に現れる


────!

ハッと目が覚めた
脳みそを揺らすほどに大きく波打つ鼓動

あの少年だった

凍り付くような笑顔を浮かべて真っ直ぐこちらを見つめてきた

夢から覚めても網膜に焼き付いたようで、暗がりの中に先程の光景が陽炎のように揺らめいていた


* * *


彼は死神だ
魂を刈り取るあの大釜こそないけれど

私の死期が近いから、私が消えていなくなるまでのカウントダウンを数えにきたんだろう

だから何度も悪夢として私の元を訪れる

後何日、後何時間と寿命が縮んでいく様を、ニコニコとあの恐ろしい笑顔で眺めているに違いない

そう考えると…何だか安心した

どうかもう二度と夢から覚まさないでくれとお願いする

そして、こんな私を跡形もなく消し去ってほしいと

祈るように胸の前で手を組み眠りにつく

彼は私のこの思いを叶えてくれるだろうか──
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