寝起きで語る小話

沖田ねおき

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不鮮明な悪夢

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うとうとしていたときに一瞬だけ夢を見た

白黒の世界で遠くにはポツンと誰かが一人佇んでいる
豆粒ほどの小さなシルエット

なのにそれが例の少年だという確信があった

そして少年が笑みを浮かべているであろうことも
言い知れぬ不安が襲ってくる

ガクン!と大きな揺れを感じて目を覚ます

どうやら頬杖を付いていた手が外れ、前につんのめりかけていたようだった────


* * *


ベッドで横になったとき、うたた寝で見た夢を思い出してしまった

せっかく忘れていたというのに眠るときになってあの映像が瞼の裏に蘇る

あのときは随分遠くにいたが、だんだんこちらに近付いてきたらどうしよう...

そんな不安に苛まれてか鼓動が早くなる

だからといって寝付けなくなる、というわけではなくむしろ強い眠気が襲ってきている

このままではまた悪い夢を見てしまう

完全に目を閉じてしまわないうちに一度上体を起こして呼吸を整える
心臓を落ち着かせ、なるべく怖いことは考えないように

目が冴えてしまったかとも思ったが、再び横になるとすぐに眠気が迎えに来た

そのまま身を任せてしまえれば良かったのだが、うたた寝の夢が今度はハッキリと映し出される

まるで続きを見ろと強制させるように

目覚めなきゃ...目覚めなきゃと思えば思うほど身体は動かなくなり、ずっと遠くにいたはずの影がどんどん近付いてくる
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