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自殺未遂
第二十六話
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『少し休まれた方がいいですよ?』
桃が倒れて二日目の夜、見回りに来た看護師から声をかけられた。
『昨夜来られてからずっと付きっきりですよね?』
「…はい」
『それではあなたが倒れてしまいます』
「それでもこの子についていてあげたいんです」
『簡易ベッドと毛布を用意しておきますからいつでも休んでくださいね』
「お気遣いありがとうございます」
桃のベッドの隣に簡易ベッドと毛布を用意して、看護師はいなくなった。
折角の気遣いだが、寝られる程の余裕が今の保にはなかった。
(寝ている間に桃が死んでしまったら…)
そう思うと寝ることさえ怖くなってしまった。
どんどん精神的に追い詰められていった。
夜になっても桃は起きることはなかった。
しかし、少しばかり光が見えてきた。
峠を越えたらしい。
あとは意識が戻ってくるのを待つばかりだ。
ふと立ち上がろうとした時、保は意識をなくした。
(……………………………………)
周りを見渡すと隣に桃が寝ている。
どうやら倒れたらしい。
『だからちゃんと休んでくださいと言ったのに…』
ベッドを運んでくれた看護師だった。
「えっと……倒れたんですよね?」
『倒れていました。疲労が原因だろうと…』
「そうですか…。お手数をおかけしました」
『心配なのは分かります。あなたが倒れたら、この子が目覚めた時誰が側にいてあげるんですか?』
「…………………………」
『この子が起きた時あなたまで倒れていたらこの子はもっとショックですよ?』
「…………そうですね…」
『だからちゃんと寝てください』
「………………はい……」
『今夜はゆっくり休んでください』
それだけ言うと、看護師は病室から出て行った。
保の手を伸ばせば、桃の手がに届く位置にベッドを移動させてくれたようだ。
こんな小さな心配りが今の保には沁みた。
「不甲斐なくてごめんなぁ…」
精神的に相当弱っているようだった。
涙が込み上げてきた。
保は桃の手を握り、そのまま眠りの淵に落ちて行った。
桃が倒れて二日目の夜、見回りに来た看護師から声をかけられた。
『昨夜来られてからずっと付きっきりですよね?』
「…はい」
『それではあなたが倒れてしまいます』
「それでもこの子についていてあげたいんです」
『簡易ベッドと毛布を用意しておきますからいつでも休んでくださいね』
「お気遣いありがとうございます」
桃のベッドの隣に簡易ベッドと毛布を用意して、看護師はいなくなった。
折角の気遣いだが、寝られる程の余裕が今の保にはなかった。
(寝ている間に桃が死んでしまったら…)
そう思うと寝ることさえ怖くなってしまった。
どんどん精神的に追い詰められていった。
夜になっても桃は起きることはなかった。
しかし、少しばかり光が見えてきた。
峠を越えたらしい。
あとは意識が戻ってくるのを待つばかりだ。
ふと立ち上がろうとした時、保は意識をなくした。
(……………………………………)
周りを見渡すと隣に桃が寝ている。
どうやら倒れたらしい。
『だからちゃんと休んでくださいと言ったのに…』
ベッドを運んでくれた看護師だった。
「えっと……倒れたんですよね?」
『倒れていました。疲労が原因だろうと…』
「そうですか…。お手数をおかけしました」
『心配なのは分かります。あなたが倒れたら、この子が目覚めた時誰が側にいてあげるんですか?』
「…………………………」
『この子が起きた時あなたまで倒れていたらこの子はもっとショックですよ?』
「…………そうですね…」
『だからちゃんと寝てください』
「………………はい……」
『今夜はゆっくり休んでください』
それだけ言うと、看護師は病室から出て行った。
保の手を伸ばせば、桃の手がに届く位置にベッドを移動させてくれたようだ。
こんな小さな心配りが今の保には沁みた。
「不甲斐なくてごめんなぁ…」
精神的に相当弱っているようだった。
涙が込み上げてきた。
保は桃の手を握り、そのまま眠りの淵に落ちて行った。
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