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桃太郎、真実を語る
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「おい、桃太郎」
「どうしました?フェンリルさん」
「何で俺たちを選んだんだ?」
「どういうことでしょう?」
「フェンリルさんと自分は選ばれたのは分かるんです。どうして猿さんなんでありますか?」
「それは僕も聞きたいですウキ」
「聞いても怒りませんか?」
「あぁ」
「もちろん」
「はい」
「実は…」
桃太郎は選出した時の状況を簡潔に三匹に説明しました。
「なるほどな」
「納得したであります」
「申し訳なさがすごいウキ…」
「すみません…。でも、この時代にフェンリルとフェニックスって存在していたんですね。架空の生物だとばかり思っていました」
「俺は先祖から進化したと聞いている」
「自分もであります」
「進化ですか?」
「俺の先祖は犬だった」
「自分の先祖は雉でありました」
「猿さんは進化しなかったんですか?」
「猿の進化先は人間になるらしいので、俺は進化できないと聞いていますウキ」
「おしゃべりはここまでにしないといけないようだぜ」
「この先に敵が複数いるであります」
「では肩慣らしに少し運動しましょうか」
「がんばりましょうウキ」
察知能力に長けているフェンリルとフェニックスによってずっと先にいる敵の潜伏場所を特定し、うまく退治することができました。
猿を除いて。
フェンリルとフェニックスはそれぞれの体の特徴を有効に使って敵をバタバタと倒しました。
桃太郎もお爺さんが買ってくれた剣で二匹には遠く及ばないまでも、自分の身を守るくらいはできました。
ただ猿はあまりに非力で、小石を投げつけて逃げることしかできません。
結局全てが終わるまでずっと木の上で震えて小さく丸まっていました。
「おい、猿。終わったぞ」
「本当ですかウキ?」
「もう敵はこの周りにはいないであります」
フェンリルとフェニックスの言葉を信じて木の上からゆっくり下りてきました。
「皆の力になれなくて申し訳ないですウキ」
「猿さんは弱いから隠れてくれていいですよ」
「俺とフェニックスがほとんど倒したがな」
「自分の方が若干多く倒したでありますな」
「なんだと!?」
「事実であります」
ぎゃいぎゃい、とフェンリルとフェニックスが言い争いを始めた脇で猿が申し訳なさそうに桃太郎に近づきました。
「桃太郎さん、僕はここでこのパーティーから離れた方がいいと思うのですが…」
「どうしてですか?」
「僕が皆さんの足を引っ張っていると思うのです」
「そんなことありませんよ」
「そうでしょうか?」
「猿さんには猿さんしかできないことをやればいいのです」
「僕にしかできないこと?」
「そうです。私には私にしかできないことがあります。フェンリルさんとフェニックスさんも、それぞれにしかできないことがあります。それを精一杯やればいいだけなのです」
「…分かりました。やってみます」
「その調子です。ちょっと、いつまで言い争っているのですか。さっさと行きますよ」
「オーガ退治の時にどっちが多く勝負だ」
「臨むところであります」
オーガの潜伏先である鬼ヶ島までの道中、何度も敵との戦闘になりました。
その度に猿は一匹だけ皆から離れた場所で待機し、戦闘が終わって迎えが来るのをただひたすら待ちます
元々戦闘に向いていない優しい性格をしているのも相まって、このパーティーにいることに心苦しさを抱えていたが、それを口にすることはありませんでした。
「どうしました?フェンリルさん」
「何で俺たちを選んだんだ?」
「どういうことでしょう?」
「フェンリルさんと自分は選ばれたのは分かるんです。どうして猿さんなんでありますか?」
「それは僕も聞きたいですウキ」
「聞いても怒りませんか?」
「あぁ」
「もちろん」
「はい」
「実は…」
桃太郎は選出した時の状況を簡潔に三匹に説明しました。
「なるほどな」
「納得したであります」
「申し訳なさがすごいウキ…」
「すみません…。でも、この時代にフェンリルとフェニックスって存在していたんですね。架空の生物だとばかり思っていました」
「俺は先祖から進化したと聞いている」
「自分もであります」
「進化ですか?」
「俺の先祖は犬だった」
「自分の先祖は雉でありました」
「猿さんは進化しなかったんですか?」
「猿の進化先は人間になるらしいので、俺は進化できないと聞いていますウキ」
「おしゃべりはここまでにしないといけないようだぜ」
「この先に敵が複数いるであります」
「では肩慣らしに少し運動しましょうか」
「がんばりましょうウキ」
察知能力に長けているフェンリルとフェニックスによってずっと先にいる敵の潜伏場所を特定し、うまく退治することができました。
猿を除いて。
フェンリルとフェニックスはそれぞれの体の特徴を有効に使って敵をバタバタと倒しました。
桃太郎もお爺さんが買ってくれた剣で二匹には遠く及ばないまでも、自分の身を守るくらいはできました。
ただ猿はあまりに非力で、小石を投げつけて逃げることしかできません。
結局全てが終わるまでずっと木の上で震えて小さく丸まっていました。
「おい、猿。終わったぞ」
「本当ですかウキ?」
「もう敵はこの周りにはいないであります」
フェンリルとフェニックスの言葉を信じて木の上からゆっくり下りてきました。
「皆の力になれなくて申し訳ないですウキ」
「猿さんは弱いから隠れてくれていいですよ」
「俺とフェニックスがほとんど倒したがな」
「自分の方が若干多く倒したでありますな」
「なんだと!?」
「事実であります」
ぎゃいぎゃい、とフェンリルとフェニックスが言い争いを始めた脇で猿が申し訳なさそうに桃太郎に近づきました。
「桃太郎さん、僕はここでこのパーティーから離れた方がいいと思うのですが…」
「どうしてですか?」
「僕が皆さんの足を引っ張っていると思うのです」
「そんなことありませんよ」
「そうでしょうか?」
「猿さんには猿さんしかできないことをやればいいのです」
「僕にしかできないこと?」
「そうです。私には私にしかできないことがあります。フェンリルさんとフェニックスさんも、それぞれにしかできないことがあります。それを精一杯やればいいだけなのです」
「…分かりました。やってみます」
「その調子です。ちょっと、いつまで言い争っているのですか。さっさと行きますよ」
「オーガ退治の時にどっちが多く勝負だ」
「臨むところであります」
オーガの潜伏先である鬼ヶ島までの道中、何度も敵との戦闘になりました。
その度に猿は一匹だけ皆から離れた場所で待機し、戦闘が終わって迎えが来るのをただひたすら待ちます
元々戦闘に向いていない優しい性格をしているのも相まって、このパーティーにいることに心苦しさを抱えていたが、それを口にすることはありませんでした。
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