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第二章
side蒼 ㉝
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目覚めると、腰に鈍痛を感じ、無理にでも立ち上がろうとするが、足に力が入らなかった。
どうしたものかと思っていると、シュンとした一縷が現れた。
昨夜やり過ぎたと感じているのだろう。
前にもやり過ぎたことがあって、その時に今後意識が飛ぶ程にやり過ぎることはしないと約束したのだ。
「信じられないっ!前に約束したよね?」
約束を破った一縷に怒っていた。
そこまで怒る必要はないし、そこまで怒ってもいない。
「ごめん…完全にやり過ぎた」
「当たり前だよ」
「今日はお世話させていただきます」
「当然っ!」
「何かしてもらいたいことあるか?」
「朝ご飯食べたい」
「ちょっと待ってな。持ってくる」
一縷はキッチンに行き、バターロールとコーヒーをお盆に二人分乗せて戻ってきた。
「今あるのこれしかなかった」
「うん。大丈夫」
寝室で二人で朝ご飯を食べる。
「ご馳走様でした」
持ってきてくれた一縷にお礼の意味も込めて、手を合わせた。
すると、一縷が僕の隣に座ってきた。
「今日は何か予定あるのか?」
「特にないけど?」
「それじゃ、今日は一日ゆっくりしようか」
「久々にそうしよう」
一緒に暮らし始めて、ほとんど一緒にいることがなかった。
僕が研究職だからというものあって、なかなか家に帰って来れなかった。
帰ってきても、シャワーを浴びて、着替えを取りに帰ってくる程度。
さすがに一縷に寂しい思いをさせてるんじゃないかと不安に思っていると、一縷がモゾモゾと隣に潜り込んできた。
(やっぱり一人で寂しかったんだろうなぁ…)
そう思うと無碍にできず、隣に来た一縷にくっついていた。
ゆっくりしていても、時々刻々と新薬の研究は進んでいく。
部下からの定時連絡の電話が鳴る。
そんな時、一縷は僕の服の裾をキュッと掴んだ。
(あの事まだ引きずっているのかな…)
どうしたものかと思っていると、シュンとした一縷が現れた。
昨夜やり過ぎたと感じているのだろう。
前にもやり過ぎたことがあって、その時に今後意識が飛ぶ程にやり過ぎることはしないと約束したのだ。
「信じられないっ!前に約束したよね?」
約束を破った一縷に怒っていた。
そこまで怒る必要はないし、そこまで怒ってもいない。
「ごめん…完全にやり過ぎた」
「当たり前だよ」
「今日はお世話させていただきます」
「当然っ!」
「何かしてもらいたいことあるか?」
「朝ご飯食べたい」
「ちょっと待ってな。持ってくる」
一縷はキッチンに行き、バターロールとコーヒーをお盆に二人分乗せて戻ってきた。
「今あるのこれしかなかった」
「うん。大丈夫」
寝室で二人で朝ご飯を食べる。
「ご馳走様でした」
持ってきてくれた一縷にお礼の意味も込めて、手を合わせた。
すると、一縷が僕の隣に座ってきた。
「今日は何か予定あるのか?」
「特にないけど?」
「それじゃ、今日は一日ゆっくりしようか」
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一緒に暮らし始めて、ほとんど一緒にいることがなかった。
僕が研究職だからというものあって、なかなか家に帰って来れなかった。
帰ってきても、シャワーを浴びて、着替えを取りに帰ってくる程度。
さすがに一縷に寂しい思いをさせてるんじゃないかと不安に思っていると、一縷がモゾモゾと隣に潜り込んできた。
(やっぱり一人で寂しかったんだろうなぁ…)
そう思うと無碍にできず、隣に来た一縷にくっついていた。
ゆっくりしていても、時々刻々と新薬の研究は進んでいく。
部下からの定時連絡の電話が鳴る。
そんな時、一縷は僕の服の裾をキュッと掴んだ。
(あの事まだ引きずっているのかな…)
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