19 / 114
第一章
side蒼 ⑦
しおりを挟む
一縷とバイトを始めて1ヶ月。
毎日が楽しくてたまらない。
バイト内容は、お茶くみ、コピー、各部署から上がってくる物品補充など。
今日は企画部の会議があるため、会議室の準備を一縷と二人でやっている。
作業は予め分担してて、一縷は資料のコピーの配置で、僕はお茶とコップのセッティング。
そんな中、うっかり僕が湯飲みを落として割ってしまった。
一縷が僕を見て、心配そうにするから努めて大丈夫な振りをして破片の片付けをする。
これまたうっかり僕が湯飲みの破片で指を切ってしまった。
本当にドジすぎる…。一縷がさっきよりももっと心配そうに僕を見る。
だけどさっきよりも何だか一縷の様子がおかしい。
顔がやたら赤いし、息が上がってる。興奮状態のようだった。
どんどん一縷が僕の方に近づく。
「いち、顔赤いし、息上がっているけど、大丈夫?」
たまらず声をかけた。
一縷は現状の自分に戸惑っている様子で空調の温度を変えてもらうと会議室を後にした。
僕も何が起きたのか、よく分からなかったけど、今はコップの破片の片付けと自分の指の手当てをやらなくちゃ。
のんびりしてる暇はないからね。
割れたコップの片付けはもう終わっている。
最近よく怪我をするため持ち合わせていた絆創膏を貼り、一縷が戻ってくるのを待った。
5分くらいしてから一縷は戻ってきた。出て行く前よりはいつも通りの一縷のようだった。
「いち、もう大丈夫?」
大丈夫そうに見えたけど、やっぱり心配。
「もう大丈夫だ。心配かけてごめんな」と一縷は苦笑いしながら答えてくれた。
さっきの状態の話をこれ以上されたくないんだ。そう言われてるような気がした。
だから僕はあえていつものように振舞った。
「大丈夫ならよかった。早く準備終わらせちゃおう」
そう言って手早く会議の準備を整えた。
毎日が楽しくてたまらない。
バイト内容は、お茶くみ、コピー、各部署から上がってくる物品補充など。
今日は企画部の会議があるため、会議室の準備を一縷と二人でやっている。
作業は予め分担してて、一縷は資料のコピーの配置で、僕はお茶とコップのセッティング。
そんな中、うっかり僕が湯飲みを落として割ってしまった。
一縷が僕を見て、心配そうにするから努めて大丈夫な振りをして破片の片付けをする。
これまたうっかり僕が湯飲みの破片で指を切ってしまった。
本当にドジすぎる…。一縷がさっきよりももっと心配そうに僕を見る。
だけどさっきよりも何だか一縷の様子がおかしい。
顔がやたら赤いし、息が上がってる。興奮状態のようだった。
どんどん一縷が僕の方に近づく。
「いち、顔赤いし、息上がっているけど、大丈夫?」
たまらず声をかけた。
一縷は現状の自分に戸惑っている様子で空調の温度を変えてもらうと会議室を後にした。
僕も何が起きたのか、よく分からなかったけど、今はコップの破片の片付けと自分の指の手当てをやらなくちゃ。
のんびりしてる暇はないからね。
割れたコップの片付けはもう終わっている。
最近よく怪我をするため持ち合わせていた絆創膏を貼り、一縷が戻ってくるのを待った。
5分くらいしてから一縷は戻ってきた。出て行く前よりはいつも通りの一縷のようだった。
「いち、もう大丈夫?」
大丈夫そうに見えたけど、やっぱり心配。
「もう大丈夫だ。心配かけてごめんな」と一縷は苦笑いしながら答えてくれた。
さっきの状態の話をこれ以上されたくないんだ。そう言われてるような気がした。
だから僕はあえていつものように振舞った。
「大丈夫ならよかった。早く準備終わらせちゃおう」
そう言って手早く会議の準備を整えた。
0
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
愛する事はないと言ったのに
マイユニ
BL
両親の期待に応えるべく真面目に順風満帆な毎日を送っていた大倉聡真(おおくらそうま)は、Ωだと診断されてから世界が変わった。両親の関心は弟へ向けられ、友人からは襲われそうになり、抑制剤の副作用で体調を崩す日々。おまけに厄介払いをしたいのか見合いまで勧められる。
真面目に生きることが馬鹿馬鹿しくなった聡真は、遊んでやろうと歓楽街へ。そこで、ある男と出会い一夜を共にする。もう出会うはずはないと思っていた男となんの運命のいたずらかか、見合いをすることに。自分のことを覚えていないような素振りの男から、見合いの最後に「君のことを愛することはない」と告げられる。たまに抱いてくれるなら構わないという条件を出すと驚いた顔をする男。自分も愛することはないからという答えを気に入った男から、話を進めたいと言われ受け入れる。
こうして結婚の話は進んでいき、二人の結婚生活が始まった。
オメガバース設定です。
薬の開発が進んでいて発情を抑制できている世界です。
背後注意なシーンには*マークをつけています。
今後、主人公が攻め以外から無理やり襲われるシーンが出てきます。
苦手な方は読むのをお控えください。
毎日20時更新です。
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
この愛のすべて
高嗣水清太
BL
「妊娠しています」
そう言われた瞬間、冗談だろう?と思った。
俺はどこからどう見ても男だ。そりゃ恋人も男で、俺が受け身で、ヤることやってたけど。いきなり両性具有でした、なんて言われても困る。どうすればいいんだ――。
※この話は2014年にpixivで連載、2015年に再録発行した二次小説をオリジナルとして少し改稿してリメイクしたものになります。
両性具有や生理、妊娠、中絶等、描写はないもののそういった表現がある地雷が多い話になってます。少し生々しいと感じるかもしれません。加えて私は医学を学んだわけではありませんので、独学で調べはしましたが、両性具有者についての正しい知識は無いに等しいと思います。完全フィクションと捉えて下さいますよう、お願いします。
告白ゲームの攻略対象にされたので面倒くさい奴になって嫌われることにした
雨宮里玖
BL
《あらすじ》
昼休みに乃木は、イケメン三人の話に聞き耳を立てていた。そこで「それぞれが最初にぶつかった奴を口説いて告白する。それで一番早く告白オッケーもらえた奴が勝ち」という告白ゲームをする話を聞いた。
その直後、乃木は三人のうちで一番のモテ男・早坂とぶつかってしまった。
その日の放課後から早坂は乃木にぐいぐい近づいてきて——。
早坂(18)モッテモテのイケメン帰国子女。勉強運動なんでもできる。物静か。
乃木(18)普通の高校三年生。
波田野(17)早坂の友人。
蓑島(17)早坂の友人。
石井(18)乃木の友人。
こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件
神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。
僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。
だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。
子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。
ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。
指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。
あれから10年近く。
ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。
だけど想いを隠すのは苦しくて――。
こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。
なのにどうして――。
『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』
えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)
白い部屋で愛を囁いて
氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。
シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。
※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる