アタシの生き様

ネコート

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アタシの生き様

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──近ごろ身体が重たい。


上手く飛び跳ねたりダッシュできなくなった。しっぽの辺りがなんだかイヤな感じなの。


「腫瘍ができていますね。見た目より内側の方が大きいかと」
「腫瘍?!手術で取れないんですか?」
「高齢ウサちゃんなので体に負担が大きすぎて…手術は耐えられないでしょう…」
「そんな…じゃあこの子は…」


病院は嫌いっていつも言ってるのに。飼い主はバカだからしょっちゅう連れてくる。だけど様子がおかしいの。
いつもにこにこしてる白衣の人が暗い感じでモゴモゴ喋ってさ。注射もされなかった。


家に帰ってホッとしたらクタクタになって、アタシは寝てしまった。

寝ててもウサギだからちゃーんと周りの音は聞こえてる。ほら、耳がピクってなるでしょ?


「…ごめん」

ピクん

「…ごめんね。気付いてあげられなくて」


泣いてたら眠れないよ。気が散るじゃない。


数日するとアタシの体はとても痛くなるようになった。
我慢できなくて気絶してると飼い主が抱き起こしてくれた。分かってるじゃない。その姿勢が一番好きなの。


もう姿勢を保てなくなったアタシはケージから出て、カゴと体を支えるためのタオルが用意された。
うん、この姿勢がやっぱり一番楽。飼い主はとってもおバカさんだけどこういうところは分かってるんだ。


「今日はよく飲めたね。良かった」

ご飯が食べれなくなったアタシに飼い主は何かの汁を出した。舐めてみたら甘くて、たくさん口を動かした。少し動いただけで体が痛くて仕方ないけど、何か食べないとって自然に思うから。


──もう目が見えない。

何も…食べれない。


鼻をヒクヒクさせると飼い主が撫でてきた。痛いって言ってるのに全然分かってくれない。

バカで…優しい飼い主。

もうわかってるよ。アタシの時間がもうすぐ止まるの。それでも最後の瞬間までしっかり生きたい。


アタシは、生きたい…




ショコラは腫瘍が見つかってから1ヶ月後に虹の橋を渡った。

ウサギのような小動物は警戒心が強いため、体調を崩すと長くて3日持つかどうかということだったけれど、どういうわけかうさぎの闘病生活にしてはかなり長い期間頑張ってくれた。
夜中、偶然目覚めた私はショコラの最期を看取ることが出来た。ゆっくり動かなくなっていくショコラは、最期まで生きるのを諦めず懸命に生き抜いているように見えた。

だからサヨナラなんて決して言わなかったと思う。



今なお愛してやまない可愛い私のショコラ
きっと幸せに暮らしてるよね
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