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星の子と遊ぼう
星の子と前世トークで俺が楽しい
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レミール様は会話の端々に、俺の心の琴線に触れるワードを混ぜてくる。
多分、おそらく、maybe。何処まで通じるかを測っているのだろう。
少し前の話。
街中で母親に花をプレゼントする子どもの姿に「いい光景ですよね」と反応した時の事。
「そうか。それが君のエモーショナルか」
興味深そうに俺を見ながら呟かれた。
ん?何ですと?
レミール様の言葉に引っ掛かりを覚えて「今一度お願いします」と言おうとしたら、
「エ・エ・エモーショナル、君の瞳にエモーション」
と、目を見つめられながら歌われた。これは出るとこ出したら尊死の山が築けるやつだ。もっと長めにお願いします。
…いや…待て。この歌、聞いた事ある。どこで聴いたか…
「今のでYouTuneInで一時流行ってたの思い出しちゃったよ」
ああ!それだ!あちこちで中途半端に流れすぎてサビしか記憶にないけど。
「僕も」
そうか、レミール様もサバー(大型動画サイトYouTuneInを好んで観る人。投稿メインの人はツーナーと言われる。呼び名は通称で、当然のように非公式)でしたか。
「僕は重量級サバー(ヘビーユーザー)じゃないけど、サブカル好きなのが眷属にいてね。たまに付き合っていたのさ。仲間の趣味を受け入れるのは集団活動で最大成果を得る為に必要なステップだよ」
なにそれ上司の鏡か。
……という出来事があった。
エモさを切り込むきっかけは何でもよかったのだろうと思われる。ただやりたかっただけじゃないかな。
恐らくそれで、判ったことがあったのだろう。
暫くの後…
「………一蓮・托生!」
「「ゴウリュウジャー!」」
「……………はっ!」
しまった!無意識に反応してしまった!
「特定した」
レミール様がニヤリと笑う。何かがバレたようだ。
ゴウリュウジャーは前世で激ハマリした戦隊ヒーローシリーズの一つだ。毎話終盤で仲間が敵と「一蓮・托生!」と自爆し、翌週には普通に出てくるという『これは戦隊ヒーロー…なの…か?』『最初は「何コレマジ草」って観てたけど、翌週が待ち遠しい』『この謎の中毒性がたまらない』などと巨大掲示板サイトで大盛り上がり。『好き嫌いは別れる作品だが、触れてしまうと沼に沈む』と評された一作だ。
俺もニチアサは勿論、コメントが流れる形式の大型動画投稿サイト(YouTuneInとは別の所)の公式チャンネルで弾幕を楽しんでいた。まさか、こんな異世界で視聴者とエンカウントするなんて…
「何故…ご存知なのですか…?」
面白いものがお好きでも、さすがにこれは幅が広すぎるやつだ。玄人向けまで押さえてるとか…半端ないって!
「仲魔に特撮好きが居てね。放映時期等の各種解説付き上映会に付き合わされたんだ」
良いお仲間ですね。……各種解説付きとか、何シリーズ見たんですか?好きじゃないと辛いですよね?
「ヒーローものはほぼ毎年変わる上に息が長いからどれかは当たるだろうと思っていたのだけど…まさかこれがヒットするとは…やっぱり君は面白いねぇ」
実に楽しそうな顔をされておられる。続編?勿論サードシーズン(完結編)まで視聴済みですとも。単発と思わせて3部作、劇場版込で足掛け8年。きっちりリアタイで楽しませて頂きました。
「観るかい?」
「勿論です」
レミール様の特殊空間(上層階級のモデルルームに過ごしやすさを足した感じの一部屋)に招かれた俺は、お仲間さんが用意してくれたであろうゴウリュウジャー応援セット(法被とハチマキ、ペンライト※劇場版公式グッズ)を装備の完全スタイルで(時間の都合上)2回に分けて最後まで一気見させていただいた。
俺の死後に3本目の劇場版出るとかありえない(褒め言葉)!…最高か、いや、最高だ!
「なんというか、絶妙なバランスで似合うのは前の記憶のせいかな?」
応援セットを装備し、画面(ホームシアターのスクリーン)の前で一人盛り上がる俺を、ほんのり温かな眼差しで見つめるレミール様が呟いた。
「ありがとうございます」
レミール様が褒めたつもりがなくてもありがとうございます。離合(ゴウリュウジャーファンの呼び名。公式)にとっては最高の褒め言葉です。
「僕は今、調子に乗るノビくんを見守るドライもんの気持ちがよくわかる」
「光栄です」
「褒めてないんだよなぁ…」
こういうのは、受け取り方次第ですからね!
「うん。君が楽しいなら、それでいいや」
俺はこの楽しい空間で、魂の疲れを昇華させています。
「ヒーローってさ、なんで変身するのかな?」
久々の戦隊モノ視聴で上がりきったテンションを下げるためのおやつタイムに、レミール様がぶっ込んできた。
根底を覆す質問はおやめ下さい。
「変身って、ロマンじゃないですか」
「素の方が強いときあるよね?」
それはあれです。ゴウリュウシルバー(敵の組織から救出されて仲間になった改造人間)が特殊なんです。
「変身する事で使える技があって、そっちの方がカッコイイならしますよ」
合体巨大ロボに乗れるなら、チート触手の封印も辞さないッ!
「ファルム君もドレス着て必殺技出すの?」
辛い現実に引き戻すのはおやめ下さい。
「アレは望んでやってるものではありません」
自国の王族に命じられたら、やらざるを得ないじゃないですか!
俺の天上の保護者も止める気ないから通っちゃうんですよ!止めてよ!
「君もドレスというバトルスーツを装備して舞踏会という戦場に出るんだから、立派な変身ヒーローだよねぇ」
「ねじ込むように振るのおやめ下さい」
こちらの上位者も止める気ない(むしろ煽り気味)ですよね。
これ、即拒否らないとシリーズ化するやつでしょ?無理無理無理!ただでさえもう前世込み年齢不惑越えてるのにこれ以上やられたら疲れ果てたメンタルがゲージ振り切って無になってしまう!まだ達観したくない!人生楽しみたい!
「ドレスも楽しんじゃおうよ」
それを楽しむ余裕が俺にはありません。
「見たいな」
「着ませんからね」
持ってこないでくださいね。レミール様のことだから、他の世界とかこの世界の伝説の素材とかで作って来るんでしょ?着ませんからね。持ってきたら着ないで博物館に持っていきますよ。
「着てる時を狙って見に来るね」
あっ、これ絶対来るやつだ。
「現実が辛い…」
「このゴウリュウトレーラーを部屋に飾るといいよ」
それ限定の DXバージョンじゃないですか!
「ありがとうございます!」
計略にハマっている気もしなくもないけど、もうなるようになればいいよ。
多分、おそらく、maybe。何処まで通じるかを測っているのだろう。
少し前の話。
街中で母親に花をプレゼントする子どもの姿に「いい光景ですよね」と反応した時の事。
「そうか。それが君のエモーショナルか」
興味深そうに俺を見ながら呟かれた。
ん?何ですと?
レミール様の言葉に引っ掛かりを覚えて「今一度お願いします」と言おうとしたら、
「エ・エ・エモーショナル、君の瞳にエモーション」
と、目を見つめられながら歌われた。これは出るとこ出したら尊死の山が築けるやつだ。もっと長めにお願いします。
…いや…待て。この歌、聞いた事ある。どこで聴いたか…
「今のでYouTuneInで一時流行ってたの思い出しちゃったよ」
ああ!それだ!あちこちで中途半端に流れすぎてサビしか記憶にないけど。
「僕も」
そうか、レミール様もサバー(大型動画サイトYouTuneInを好んで観る人。投稿メインの人はツーナーと言われる。呼び名は通称で、当然のように非公式)でしたか。
「僕は重量級サバー(ヘビーユーザー)じゃないけど、サブカル好きなのが眷属にいてね。たまに付き合っていたのさ。仲間の趣味を受け入れるのは集団活動で最大成果を得る為に必要なステップだよ」
なにそれ上司の鏡か。
……という出来事があった。
エモさを切り込むきっかけは何でもよかったのだろうと思われる。ただやりたかっただけじゃないかな。
恐らくそれで、判ったことがあったのだろう。
暫くの後…
「………一蓮・托生!」
「「ゴウリュウジャー!」」
「……………はっ!」
しまった!無意識に反応してしまった!
「特定した」
レミール様がニヤリと笑う。何かがバレたようだ。
ゴウリュウジャーは前世で激ハマリした戦隊ヒーローシリーズの一つだ。毎話終盤で仲間が敵と「一蓮・托生!」と自爆し、翌週には普通に出てくるという『これは戦隊ヒーロー…なの…か?』『最初は「何コレマジ草」って観てたけど、翌週が待ち遠しい』『この謎の中毒性がたまらない』などと巨大掲示板サイトで大盛り上がり。『好き嫌いは別れる作品だが、触れてしまうと沼に沈む』と評された一作だ。
俺もニチアサは勿論、コメントが流れる形式の大型動画投稿サイト(YouTuneInとは別の所)の公式チャンネルで弾幕を楽しんでいた。まさか、こんな異世界で視聴者とエンカウントするなんて…
「何故…ご存知なのですか…?」
面白いものがお好きでも、さすがにこれは幅が広すぎるやつだ。玄人向けまで押さえてるとか…半端ないって!
「仲魔に特撮好きが居てね。放映時期等の各種解説付き上映会に付き合わされたんだ」
良いお仲間ですね。……各種解説付きとか、何シリーズ見たんですか?好きじゃないと辛いですよね?
「ヒーローものはほぼ毎年変わる上に息が長いからどれかは当たるだろうと思っていたのだけど…まさかこれがヒットするとは…やっぱり君は面白いねぇ」
実に楽しそうな顔をされておられる。続編?勿論サードシーズン(完結編)まで視聴済みですとも。単発と思わせて3部作、劇場版込で足掛け8年。きっちりリアタイで楽しませて頂きました。
「観るかい?」
「勿論です」
レミール様の特殊空間(上層階級のモデルルームに過ごしやすさを足した感じの一部屋)に招かれた俺は、お仲間さんが用意してくれたであろうゴウリュウジャー応援セット(法被とハチマキ、ペンライト※劇場版公式グッズ)を装備の完全スタイルで(時間の都合上)2回に分けて最後まで一気見させていただいた。
俺の死後に3本目の劇場版出るとかありえない(褒め言葉)!…最高か、いや、最高だ!
「なんというか、絶妙なバランスで似合うのは前の記憶のせいかな?」
応援セットを装備し、画面(ホームシアターのスクリーン)の前で一人盛り上がる俺を、ほんのり温かな眼差しで見つめるレミール様が呟いた。
「ありがとうございます」
レミール様が褒めたつもりがなくてもありがとうございます。離合(ゴウリュウジャーファンの呼び名。公式)にとっては最高の褒め言葉です。
「僕は今、調子に乗るノビくんを見守るドライもんの気持ちがよくわかる」
「光栄です」
「褒めてないんだよなぁ…」
こういうのは、受け取り方次第ですからね!
「うん。君が楽しいなら、それでいいや」
俺はこの楽しい空間で、魂の疲れを昇華させています。
「ヒーローってさ、なんで変身するのかな?」
久々の戦隊モノ視聴で上がりきったテンションを下げるためのおやつタイムに、レミール様がぶっ込んできた。
根底を覆す質問はおやめ下さい。
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合体巨大ロボに乗れるなら、チート触手の封印も辞さないッ!
「ファルム君もドレス着て必殺技出すの?」
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「アレは望んでやってるものではありません」
自国の王族に命じられたら、やらざるを得ないじゃないですか!
俺の天上の保護者も止める気ないから通っちゃうんですよ!止めてよ!
「君もドレスというバトルスーツを装備して舞踏会という戦場に出るんだから、立派な変身ヒーローだよねぇ」
「ねじ込むように振るのおやめ下さい」
こちらの上位者も止める気ない(むしろ煽り気味)ですよね。
これ、即拒否らないとシリーズ化するやつでしょ?無理無理無理!ただでさえもう前世込み年齢不惑越えてるのにこれ以上やられたら疲れ果てたメンタルがゲージ振り切って無になってしまう!まだ達観したくない!人生楽しみたい!
「ドレスも楽しんじゃおうよ」
それを楽しむ余裕が俺にはありません。
「見たいな」
「着ませんからね」
持ってこないでくださいね。レミール様のことだから、他の世界とかこの世界の伝説の素材とかで作って来るんでしょ?着ませんからね。持ってきたら着ないで博物館に持っていきますよ。
「着てる時を狙って見に来るね」
あっ、これ絶対来るやつだ。
「現実が辛い…」
「このゴウリュウトレーラーを部屋に飾るといいよ」
それ限定の DXバージョンじゃないですか!
「ありがとうございます!」
計略にハマっている気もしなくもないけど、もうなるようになればいいよ。
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