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愛だけで生きていけると思うなよ
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「俺はミーコ嬢と結婚するまで帰らない」
「………だそうだよ?」
「………何故俺に振るのですか?」
ごねるロメオロス王子を見ながら、アーデルハイド殿下が俺に振ってくる。
黒き瞳の御子もミーコ嬢もこの場に現れることは無いし、拒否する。
抗議の意を込めてウィー君をかすめ取ろうとしたが、見事に防衛された。
俺ももふもふに癒されたい。
この王族追加訪問に関しての経緯はこうだ。
①俺達がメロメ国の港を出航した後、イニフィリノリス王女の出奔が発覚。
②置き手紙を読んだメロメ国王は「ラフテュ令嬢が付くなら大丈夫だろう」と判断。
③後手にはなるが親書を出して、王女のお世話係の追加を送ろうと準備をしている間にロメオロス王子が幽閉先から脱走。
④親書を携えたライオルノ王子御一行を乗せた船からロメオロス王子が登場。
⑤今更引き返す訳にも行かないから、とりあえず連れてきた。
⑥兄妹も扱いに困る者を他国の王族の前に出すとか正気ですか?←イマココ
………どこから突っ込めばいい?
ロメオロス王子をイニフィリノリス王女とメディナツロヒェン嬢(+アスベル君)に預け(ガチガチの護衛付き)、俺はアーデルハイド殿下と共にライオルノ王子の話を聞くことにした(というよりなってしまった)。
簡単に言うと「何故ロメオロス王子を連れてきた?」という尋問をしたかった訳なのだが、経緯を聞いたら「ライオルノ王子も被害者では…?」と感じてしまう。
「実の所、私も困っている」
一名(原因)を除いた皆さん(俺も含む)が困っていると思いますよ?
一番困っているのは、状況がわからぬままホイホイ付いてきたアスベル君だと思うなぁ。俺はその次。
「ロメオロスは兄弟の中で一番意思疎通ができないんだ。私との性格的な相性もあるのだろうが、女性が絡むと特に会話が成立しなくなる。父…メロメ国王陛下が「人に戻るまで隔離する」と言ってくださっていたから大丈夫だと思ったのに…」
ライオルノ王子が頭を抱えてうなだれる。使者の役割があるとはいえ、船旅と他国へ渡るバカンス計画が見事に打ち砕かれた状況だもんなぁ…
それにしても、ロメオロス王子だ。素で意思疎通が難しいとか…魅了抜きでガチヤバいやつだということが確定したな。自分の親に「人に戻るまで…」とか言われるとか大概では?
船室に閉じ込めてきてもよかったんですよ?
アーデルハイド殿下。「コイツらなんなの?」って俺に目で訴えられても困ります。他国だけでなく、王族は俺の管轄外です。
あと、初めての生き物との邂逅に動揺するのは解りますが、ウィー君を撫で回す手を緩めて下さい。素晴らしいモフモフが禿げたら国の損失です。
「ルーベンスもなかなかだと思っていたけど、これは枠外」
無意識のつぶやきまで出た。気持ちはわかる。
でも、この状況を作り出した要因の一つにアーデルハイド殿下も加わっていることをお忘れなきよう願います。
貴方が俺をメロメ国に行かせたし、「ミーコちゃん」を爆誕させたんですからね?
「ミーコ嬢にこっぴどく振られた時が連れ帰るチャンスだと私は思っている」
なので協力して欲しい、とライオルノ王子。
「無理では?」
そもそも話が通じないから、振られたとか理解しようとしないでしょ?
「可能性があるなら本懐を…」
「無いです」
ミーコちゃんになる気はないし、俺と対面した時点で気づかないので可能性はゼロ以下。好感度は最下層ですよ?
交渉のスタートラインにも立たせないし立たせるものか。
そもそもあんな状態の王子を国内とはいえ人前に出していたメロメ国が心配ですよ?俺に裁量があったら外に出さない。
ライオルノ王子がアーデルハイド殿下に「やだこの子すごいバッサリ斬ってくる」って目で訴えてるけど、アーデルハイド殿下は「いつもの事ですが何か?」という微笑みで返す。
ええ。俺はNoと言える(ようになった)日本人ですもの。
この世界で神様と対話できる位にメンタル鍛われました。
「イニフィリノリス王女殿下はラフテュ伯爵令嬢の学園卒業までラキアラス王国でお預かりするのは、問題ありません。ラフテュ伯爵令嬢も学園生活を楽しんでいると聞いています。イニフィリノリス王女殿下との関係も良好の様ですので、互いに良い経験となる事でしょう」
アーデルハイド殿下のこの発言は公式に「おたくのお嬢さん預かりますよ」と言うのに等しい。王女様、良かったですね。
傍から見るとお茶会に見えるこの場だが、ちゃんと公式の外交として根回しされているので場を任されているアーデルハイド殿下が決めたことはラキアラス王国の決定になる。
なぜそんな場に俺が混ぜられているのかは疑問しかないのだが。
俺を側近と言い張る発言は、陛下の許可が出ても俺が認めない。
「妹はうまくやっているでしょうか。人前に出ることをあまり好まない子なので、置き手紙を見ても信じられず「誘拐では?」と疑いました」
うん。内向的な子が突然行動を起こすと、周囲はびっくりするよね。本人はずっと考えた末の行動なんだけど、誰にも話さないから突然に見える。
「イニフィリノリス王女殿下は学園の蔵書に興味を示され、楽しく過ごされている様です」
俺が「もう帰りますよ」って声を掛けないとダメなくらい書庫に篭っています。
環境的には「麗しの令嬢が滞在するに相応しい場所に!」と魔研の皆さんが頑張り、快適な閲覧スペースが出来上がっているので悪くはない。
休憩や昼食などは授業の合間を縫って通い詰めているアスベル君が上手く調整している様だ。
ある意味最高の環境とも言える。ちょっと羨ましい。
「学園の視察をされては如何でしょう。イニフィリノリス王女殿下が過ごされる環境を一見されるのもよろしいかと」
見たら安心するだろうし。
「そうだね。我が王国最大の学園を見て頂こう」
アーデルハイド殿下が早速手配を始める。これは早ければ明日、遅くても数日以内に行われるだろう。
その前にロメオロス王子を閉じ込める策をメディナツロヒェン嬢と相談して立てておかねば。
「………だそうだよ?」
「………何故俺に振るのですか?」
ごねるロメオロス王子を見ながら、アーデルハイド殿下が俺に振ってくる。
黒き瞳の御子もミーコ嬢もこの場に現れることは無いし、拒否する。
抗議の意を込めてウィー君をかすめ取ろうとしたが、見事に防衛された。
俺ももふもふに癒されたい。
この王族追加訪問に関しての経緯はこうだ。
①俺達がメロメ国の港を出航した後、イニフィリノリス王女の出奔が発覚。
②置き手紙を読んだメロメ国王は「ラフテュ令嬢が付くなら大丈夫だろう」と判断。
③後手にはなるが親書を出して、王女のお世話係の追加を送ろうと準備をしている間にロメオロス王子が幽閉先から脱走。
④親書を携えたライオルノ王子御一行を乗せた船からロメオロス王子が登場。
⑤今更引き返す訳にも行かないから、とりあえず連れてきた。
⑥兄妹も扱いに困る者を他国の王族の前に出すとか正気ですか?←イマココ
………どこから突っ込めばいい?
ロメオロス王子をイニフィリノリス王女とメディナツロヒェン嬢(+アスベル君)に預け(ガチガチの護衛付き)、俺はアーデルハイド殿下と共にライオルノ王子の話を聞くことにした(というよりなってしまった)。
簡単に言うと「何故ロメオロス王子を連れてきた?」という尋問をしたかった訳なのだが、経緯を聞いたら「ライオルノ王子も被害者では…?」と感じてしまう。
「実の所、私も困っている」
一名(原因)を除いた皆さん(俺も含む)が困っていると思いますよ?
一番困っているのは、状況がわからぬままホイホイ付いてきたアスベル君だと思うなぁ。俺はその次。
「ロメオロスは兄弟の中で一番意思疎通ができないんだ。私との性格的な相性もあるのだろうが、女性が絡むと特に会話が成立しなくなる。父…メロメ国王陛下が「人に戻るまで隔離する」と言ってくださっていたから大丈夫だと思ったのに…」
ライオルノ王子が頭を抱えてうなだれる。使者の役割があるとはいえ、船旅と他国へ渡るバカンス計画が見事に打ち砕かれた状況だもんなぁ…
それにしても、ロメオロス王子だ。素で意思疎通が難しいとか…魅了抜きでガチヤバいやつだということが確定したな。自分の親に「人に戻るまで…」とか言われるとか大概では?
船室に閉じ込めてきてもよかったんですよ?
アーデルハイド殿下。「コイツらなんなの?」って俺に目で訴えられても困ります。他国だけでなく、王族は俺の管轄外です。
あと、初めての生き物との邂逅に動揺するのは解りますが、ウィー君を撫で回す手を緩めて下さい。素晴らしいモフモフが禿げたら国の損失です。
「ルーベンスもなかなかだと思っていたけど、これは枠外」
無意識のつぶやきまで出た。気持ちはわかる。
でも、この状況を作り出した要因の一つにアーデルハイド殿下も加わっていることをお忘れなきよう願います。
貴方が俺をメロメ国に行かせたし、「ミーコちゃん」を爆誕させたんですからね?
「ミーコ嬢にこっぴどく振られた時が連れ帰るチャンスだと私は思っている」
なので協力して欲しい、とライオルノ王子。
「無理では?」
そもそも話が通じないから、振られたとか理解しようとしないでしょ?
「可能性があるなら本懐を…」
「無いです」
ミーコちゃんになる気はないし、俺と対面した時点で気づかないので可能性はゼロ以下。好感度は最下層ですよ?
交渉のスタートラインにも立たせないし立たせるものか。
そもそもあんな状態の王子を国内とはいえ人前に出していたメロメ国が心配ですよ?俺に裁量があったら外に出さない。
ライオルノ王子がアーデルハイド殿下に「やだこの子すごいバッサリ斬ってくる」って目で訴えてるけど、アーデルハイド殿下は「いつもの事ですが何か?」という微笑みで返す。
ええ。俺はNoと言える(ようになった)日本人ですもの。
この世界で神様と対話できる位にメンタル鍛われました。
「イニフィリノリス王女殿下はラフテュ伯爵令嬢の学園卒業までラキアラス王国でお預かりするのは、問題ありません。ラフテュ伯爵令嬢も学園生活を楽しんでいると聞いています。イニフィリノリス王女殿下との関係も良好の様ですので、互いに良い経験となる事でしょう」
アーデルハイド殿下のこの発言は公式に「おたくのお嬢さん預かりますよ」と言うのに等しい。王女様、良かったですね。
傍から見るとお茶会に見えるこの場だが、ちゃんと公式の外交として根回しされているので場を任されているアーデルハイド殿下が決めたことはラキアラス王国の決定になる。
なぜそんな場に俺が混ぜられているのかは疑問しかないのだが。
俺を側近と言い張る発言は、陛下の許可が出ても俺が認めない。
「妹はうまくやっているでしょうか。人前に出ることをあまり好まない子なので、置き手紙を見ても信じられず「誘拐では?」と疑いました」
うん。内向的な子が突然行動を起こすと、周囲はびっくりするよね。本人はずっと考えた末の行動なんだけど、誰にも話さないから突然に見える。
「イニフィリノリス王女殿下は学園の蔵書に興味を示され、楽しく過ごされている様です」
俺が「もう帰りますよ」って声を掛けないとダメなくらい書庫に篭っています。
環境的には「麗しの令嬢が滞在するに相応しい場所に!」と魔研の皆さんが頑張り、快適な閲覧スペースが出来上がっているので悪くはない。
休憩や昼食などは授業の合間を縫って通い詰めているアスベル君が上手く調整している様だ。
ある意味最高の環境とも言える。ちょっと羨ましい。
「学園の視察をされては如何でしょう。イニフィリノリス王女殿下が過ごされる環境を一見されるのもよろしいかと」
見たら安心するだろうし。
「そうだね。我が王国最大の学園を見て頂こう」
アーデルハイド殿下が早速手配を始める。これは早ければ明日、遅くても数日以内に行われるだろう。
その前にロメオロス王子を閉じ込める策をメディナツロヒェン嬢と相談して立てておかねば。
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