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愛だけで生きていけると思うなよ
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「ファルム君、婚約者生えたって本当?」
「!?聞いてませんが?」
メロディアス家の応接間の一つ(5つある)。俺はアーデルハイド殿下と茶を酌み交わしていた。
もちろん、アーデルハイド殿下の目的はウィー君だ。取り返しに来られたところ申し訳ないですが、ウィー君は両親とお出かけ中なんですよね。
「可愛いお洋服作って来るわ」ってウッキウキで夫婦仲良くお出かけです。
しかしそこで「出直そう」ではなく「帰宅まで待つでしょ」と当然のようにくつろぎだすのが我が王国の王太子様です。
アーデルハイド殿下の背後に控える近衛、ロシェル様が「今いないなら帰りましょうよ」って顔をしているが全く気にもしない。
あれでしょ?【ウィー君>>越えられない壁>>その他】なんでしょ?ウィー君と同列の期間なの付き合いだもの。わかるよ。
それよりも婚約者ってなんですか?
「どういうことでしょうか?」
何故親にも聞かされてない話をアーデルハイド殿下がふっかけてくるのか。
「え?君がメロメの王女連れてきたんじゃないの?」
「俺はまだ子どもなので、そのような伝手はありませんよ。メディナツロヒェン嬢がお誘いされたのでは?出航した帰りの船の中で紹介頂いたのが初対面です」
同じ船で帰ったからって関係者とは限りませんよ?
そして何故「子どもって…」って笑いこらえるんですかね?俺まだ学園初等部に通うギリ少年ですよ?まあ、中身は大人ですが。
「レニフェル嫁に出したら親族になれるって思ってたのに横取りされた気分になってた」
「どの立場で見てるんですか?相手は王女様ですよ?俺の身分……は…どうにかされそうですね」
そういえばうちは侯爵家だった。王女の嫁ぎ先としては可能性無くはない位置じゃないか。それに、我が家がもっと下の地位でもアーデルハイド殿下が何かしそうで油断ならない。
いやしかし、俺にも選択の余地を下さい。どちらも現時点での俺の中では候補外です。
「秘密裏に会ったりする?」
しませんよ?
「レニフェル様もイニフィリノリス第五王女もメディナツロヒェン嬢も、船から降りた後一度もお会いしてません」
下船後、王城に直行してウィー君拉致った直後に父上に捕獲されて家に連行。聖協会への連絡と学園生活(休んだ分の補講とか課題提出とか)でまだ他に目を向ける余裕なんてないですよ。
「本当に会ってないの?」
「そもそも、そう簡単に会える立場の方ではないでしょう?」
まだ帰国後3日しか経ってないですよ?繰り返しますが、そんな暇ないですって。
「じゃあどこに行ってるんだ…?」
遊びに行っているのでは?
「いらっしゃらないんですか?」
「昼間は城から出てると聞いているね」
遊びに行っているのでは?(二回目)
「レニフェル様もですか?」
「レニフェルが先陣を切って護衛を撒いているんだ」
「遊びに行っているのでは?」
あ、声に出てしまった。
「君のところに来てないということは、やっぱりそうなんだろうねぇ…。何処行ってるんだろう。知るの怖いなぁ…」
アーデルハイド殿下が遠くを見ながら呟く。王女様達がフラフラ遊び歩いてるの認めたくないですものね…
「何故俺の所に来るという選択肢があるのかという疑問点はありますが、安全な所で遊んでおられるといいですね」
俺そんなに暇そうに見えるのかなぁ…
「アイローチェが加わってないだけマシと思うべきか…」
関わりだしてから、俺の中の大淑女アイローチェ様が激しく崩れてきているのですが、王太子殿下何とかしてください。貴方のお妃様が我が家にミーコちゃんのドレス送り付けやがったんですよ。
「レニフェル見つける魔法とかないの?」
GPS仕込むの?魔法で?事前準備無しは無茶振りもいいとこですよ?
「それは宮廷魔術師の皆様にお尋ねされては?」
できないとは言わない。スキル欄探ったらそれらしいの出てきそうだし。
スキルやステータスの話をしないのは、うっかり「できそう」って言っちゃうと本気で便利屋扱いされそうだからだ。
ことが起こる度に「よく見たらなんかあるでしょ?」とかやられるのは正直めんどくさい。
ただでさえ「困ったらファルム君に振ったらいい」って今回のメロメ国に送り込まれたんですよ?
俺は静かで穏やかな学園生活を求めているんです。王族の気まぐれに付き合うとかもう嫌です。
なので、王族からの振りは公共機関に丸投げします。魔法は魔術師団へ!
「そこ頼ったら私にも使い回されそうだから嫌」
ご自身のことをよく理解されているようで何よりです。
「俺の方からローフ宮廷魔術師長に進言しておきますね」
「君のことだから、進言とか言って結構な情報も落としていくんでしょ?喜んで研究進めそうだからやめて欲しいなぁ…」
「魔法のプロに一学生が伝えられる情報など些細なものですよ。使い方の具体例を提案するだけです」
「かなりでかい情報だよね?それ」
アーデルハイド殿下を筆頭に、我が王国のフリーダム王族の居場所を把握出来るならそりゃあ嬉々として取り組むでしょうね。
完成したら俺も活用させていただきます。居場所がわかれば避けるのも簡単でしょう?
「アーデルハイド殿下もウィー君の居場所はいつでも知りたいでしょう?」
「勿論!………はっ!」
掛かったな!言質として頂きました!
「ポーニッツ卿からもこの旨お伝え下さい」
「承りました」
「ロシェル!どっちの味方なの?」
恨みがましい眼差しを向けてあげないで下さい。ロシェル様が可哀想です。
「私は政務を滞りなく進められる方の味方です」
「ロシェル…もう少しおおらかにいこうよ」
「王族付きの近衛達の疲弊を感じていただければ幸いです」
わかる。ランバース様の髪に白いのが混ざってるのハロルド様と御家族の所為でしょ?
つまり、王族に関わると心労がとんでもない事になる、ということですよね?
「君は…ファルム君に似てきたね…感化されすぎでしょう」
失礼な。ロシェル様も反論してあげて下さい。
「王国の英雄一族の影響下に入れて光栄です」
「その返しもどうかと思います」
「!?聞いてませんが?」
メロディアス家の応接間の一つ(5つある)。俺はアーデルハイド殿下と茶を酌み交わしていた。
もちろん、アーデルハイド殿下の目的はウィー君だ。取り返しに来られたところ申し訳ないですが、ウィー君は両親とお出かけ中なんですよね。
「可愛いお洋服作って来るわ」ってウッキウキで夫婦仲良くお出かけです。
しかしそこで「出直そう」ではなく「帰宅まで待つでしょ」と当然のようにくつろぎだすのが我が王国の王太子様です。
アーデルハイド殿下の背後に控える近衛、ロシェル様が「今いないなら帰りましょうよ」って顔をしているが全く気にもしない。
あれでしょ?【ウィー君>>越えられない壁>>その他】なんでしょ?ウィー君と同列の期間なの付き合いだもの。わかるよ。
それよりも婚約者ってなんですか?
「どういうことでしょうか?」
何故親にも聞かされてない話をアーデルハイド殿下がふっかけてくるのか。
「え?君がメロメの王女連れてきたんじゃないの?」
「俺はまだ子どもなので、そのような伝手はありませんよ。メディナツロヒェン嬢がお誘いされたのでは?出航した帰りの船の中で紹介頂いたのが初対面です」
同じ船で帰ったからって関係者とは限りませんよ?
そして何故「子どもって…」って笑いこらえるんですかね?俺まだ学園初等部に通うギリ少年ですよ?まあ、中身は大人ですが。
「レニフェル嫁に出したら親族になれるって思ってたのに横取りされた気分になってた」
「どの立場で見てるんですか?相手は王女様ですよ?俺の身分……は…どうにかされそうですね」
そういえばうちは侯爵家だった。王女の嫁ぎ先としては可能性無くはない位置じゃないか。それに、我が家がもっと下の地位でもアーデルハイド殿下が何かしそうで油断ならない。
いやしかし、俺にも選択の余地を下さい。どちらも現時点での俺の中では候補外です。
「秘密裏に会ったりする?」
しませんよ?
「レニフェル様もイニフィリノリス第五王女もメディナツロヒェン嬢も、船から降りた後一度もお会いしてません」
下船後、王城に直行してウィー君拉致った直後に父上に捕獲されて家に連行。聖協会への連絡と学園生活(休んだ分の補講とか課題提出とか)でまだ他に目を向ける余裕なんてないですよ。
「本当に会ってないの?」
「そもそも、そう簡単に会える立場の方ではないでしょう?」
まだ帰国後3日しか経ってないですよ?繰り返しますが、そんな暇ないですって。
「じゃあどこに行ってるんだ…?」
遊びに行っているのでは?
「いらっしゃらないんですか?」
「昼間は城から出てると聞いているね」
遊びに行っているのでは?(二回目)
「レニフェル様もですか?」
「レニフェルが先陣を切って護衛を撒いているんだ」
「遊びに行っているのでは?」
あ、声に出てしまった。
「君のところに来てないということは、やっぱりそうなんだろうねぇ…。何処行ってるんだろう。知るの怖いなぁ…」
アーデルハイド殿下が遠くを見ながら呟く。王女様達がフラフラ遊び歩いてるの認めたくないですものね…
「何故俺の所に来るという選択肢があるのかという疑問点はありますが、安全な所で遊んでおられるといいですね」
俺そんなに暇そうに見えるのかなぁ…
「アイローチェが加わってないだけマシと思うべきか…」
関わりだしてから、俺の中の大淑女アイローチェ様が激しく崩れてきているのですが、王太子殿下何とかしてください。貴方のお妃様が我が家にミーコちゃんのドレス送り付けやがったんですよ。
「レニフェル見つける魔法とかないの?」
GPS仕込むの?魔法で?事前準備無しは無茶振りもいいとこですよ?
「それは宮廷魔術師の皆様にお尋ねされては?」
できないとは言わない。スキル欄探ったらそれらしいの出てきそうだし。
スキルやステータスの話をしないのは、うっかり「できそう」って言っちゃうと本気で便利屋扱いされそうだからだ。
ことが起こる度に「よく見たらなんかあるでしょ?」とかやられるのは正直めんどくさい。
ただでさえ「困ったらファルム君に振ったらいい」って今回のメロメ国に送り込まれたんですよ?
俺は静かで穏やかな学園生活を求めているんです。王族の気まぐれに付き合うとかもう嫌です。
なので、王族からの振りは公共機関に丸投げします。魔法は魔術師団へ!
「そこ頼ったら私にも使い回されそうだから嫌」
ご自身のことをよく理解されているようで何よりです。
「俺の方からローフ宮廷魔術師長に進言しておきますね」
「君のことだから、進言とか言って結構な情報も落としていくんでしょ?喜んで研究進めそうだからやめて欲しいなぁ…」
「魔法のプロに一学生が伝えられる情報など些細なものですよ。使い方の具体例を提案するだけです」
「かなりでかい情報だよね?それ」
アーデルハイド殿下を筆頭に、我が王国のフリーダム王族の居場所を把握出来るならそりゃあ嬉々として取り組むでしょうね。
完成したら俺も活用させていただきます。居場所がわかれば避けるのも簡単でしょう?
「アーデルハイド殿下もウィー君の居場所はいつでも知りたいでしょう?」
「勿論!………はっ!」
掛かったな!言質として頂きました!
「ポーニッツ卿からもこの旨お伝え下さい」
「承りました」
「ロシェル!どっちの味方なの?」
恨みがましい眼差しを向けてあげないで下さい。ロシェル様が可哀想です。
「私は政務を滞りなく進められる方の味方です」
「ロシェル…もう少しおおらかにいこうよ」
「王族付きの近衛達の疲弊を感じていただければ幸いです」
わかる。ランバース様の髪に白いのが混ざってるのハロルド様と御家族の所為でしょ?
つまり、王族に関わると心労がとんでもない事になる、ということですよね?
「君は…ファルム君に似てきたね…感化されすぎでしょう」
失礼な。ロシェル様も反論してあげて下さい。
「王国の英雄一族の影響下に入れて光栄です」
「その返しもどうかと思います」
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