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始まりは断罪の目撃から
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薬の森でのもふもふから1週間後、聖協会にある俺の学習室(という名の執務室)にアーデルハイド殿下がひょっこり顔を出し、サシでの対談イベントが発生した。
何故1週間の間が空いたかというと、学園の進級&卒業試験期間があったからだ。
気を使って頂き、ありがとうございます。
初等部の試験は基礎教養(読み書き算術)、建国史、魔法実技の3つだ。
基礎教養は前世での小中学校レベルなので、問題なし。事前に範囲を軽く復習するだけで済んだ。
建国史もこの世界を知るために読みまくっていた本の知識が役に立ってくれた。
魔法は…的をいくつか粉々に吹っ飛ばしたが、制御自体は出来ているので大丈夫だろう。
本来なら1ヶ月前位に範囲の告知があり、危うそうな学生には特別講義のお誘いなんかもあったらしいのだが、浄化遠征でほぼぶっつけ本番(特に魔法実技)状態だった。
まぁ、首席を狙っている訳では無いので進級できればいいんだ。次年度は平穏な日々を過ごすぞ。
試験の思い出話はさておき、アーデルハイド殿下がどうして俺のところに来たのか、だ。
もふもふを増やせとか言われたらどうしよう。もふ部屋とかできたら通ってしまいそうで怖いんだが。傾国のもふもふとかヤバすぎる。
どうやって切り出そうか迷っていたら、
「君とゆっくり話をしてみたかったんだよね」
と、王子スマイルで先制された。眩しくて直視できない。
「噂の君にアポイントを取ろうと思って学園に行ったんだけど、ウィスフェルメルメスと瘴気対処に意識を持っていかれたからね。君に会えたのは幸運だっよ」
「ウィス……なに………?」
「君が浄化してくれたうさちゃんだよ。アルバ教授にお願いして、うちで飼うことにしたんだ。穏やかでいい子だよ」
その「お願い」が「権力の行使」じゃ……いや、聞きたくないので言わなくて結構です。
うさちゃん、王宮で飼う許可が出たのか。よかったね。
凄い名前貰ってて一瞬思考が止まったけど、普段は「ウィーくん(ウィー様)」っていう愛称で呼ばれているらしく、長い名前いらないじゃん。とか思ったのは胸に秘めた。
「……ん?噂の君?」
うさちゃんの長い名前に気を取られてしまったが、アーデルハイド殿下が引っかかるワードを出していたな。
王族に届くほどの事をやらかした記憶はない訳では無いが、アーデルハイド殿下が来る程のものは…
「グローデン辺境伯が絶賛していた「麗しの御子様」の事だね。姿絵を見る限り学生かな、と思って教授達に話を聞きに行ったんだ」
ラウレスタ様!あんた何吹聴してんですか!?
「はー…………えっ?姿絵?」
ため息をつこうとしたら、また気になるワードに引っかかった。姿絵とか、聞いてないぞそんなの。
「これだよ。グローデン領でかなりの数出回っている。瘴気を払い、聖地に変えた御子様という事で、神に次ぐ崇拝対象になってるようだね。因みに販売元はキュレム衣料商会だ。なかなかのやり手だねぇ」
と、額装された葉書サイズの姿絵を見せてくれた。金髪に黒の瞳の麗しい少女が微笑んでいる。
うん、色々突っ込みたい所はあるけど、わかる人にはわかる俺の御子姿である。メルネ嬢ー!あんた何で俺で手広く商業展開してんだ!?
椅子に座っていなければ、膝から崩れ落ちていただろう。
「これは父上に献上されたやつなんだけどね。グローデン領の瘴気を浄化しに行くメンバーに「御子」の記載があるのは知っていたのだけど、姿絵を見た父上と側近が「誰だ?」ってザワついて大変だったよ」
はは…まぁ、そりゃあ、召喚したはずの聖女と姿が違いますからね。「あの子は誰?」ってなるよな。
………待って、陛下と側近がザワついた…?王宮には父上が……ヤバい。嫌な汗出てきた。
「…まさか…ち、父…も、これ、を…?」
「コレはアルファスまで回ってないハズだよ。管轄が違うからね」
「よかっ…」「ただ…」
「街にも出回っているから、そっちは見ているかもしれない」
終わった……やらされた女装が親バレするとか(心が)死ぬ!もう外歩けない!修道院とかに入って神に許しを乞いつつ生涯引きこもり生活しなきゃ!あ、ここ(俺の生活域)もその施設の一つじゃん…引っ越さなくていいの…逃げ場なくて詰む………好きでやったんじゃないのに…
「ふふ、かわいいなぁー」
頭を抱えて盛大に混乱する俺の姿を見ながら、アーデルハイド殿下が楽しげに微笑んでいたが、今の俺には構う余裕なんかない。
「落ちついたかい?」
「取り乱してしまい、申し訳ありません」
親バレという危機から発した状態異常(混乱)から一時的に立ち直った俺は、優雅にお茶のおかわりを飲むアーデルハイド殿下に謝罪した。
王族にみっともない姿を晒してしまった。いや、元は貴方様の弟のせい…というか、聖女召喚(ガチャ)を認めた陛下のせいですけどね!
「いいんだよ。君も隠し事の親バレで慌てるんだな、っていうのがわかったからね」
「見た目の通り、まだ遊びたい盛りの子どもですよ」
いくつになっても隠し事の親バレは恐ろしいですけどね。
「普通の子どもは聖女の身代わりで浄化の最前線に立ったり、学園の教授に瘴気対策の提案なんかしないものだよ」
「確かにそうですね」
それを言われるとぐうの音も出ない。
中身は前世込みでおじさんだからな。致し方なし。
身体年齢に引っ張られて無心に飛び跳ねたりしてたのは、一瞬だった気がする。懐かしいあの頃(現在の身体年齢13歳)
「まぁ、親バレしていたら即家族会議の案件だから、まだ大丈夫なんじゃないかな?」
「関係各位と自身の心の安寧の為に、生涯暴かれて欲しくないですけどね」
バレたら家族会議の前に突撃されるだろうな。兄上に。
「ははは、アルファスよりもラスフェルムの方が厄介そうだよね」
「全くもってその通りですね」
心を読まれたかと思った。
「さて。改めて確認なんだけど、ファルムファス君。君が御子で間違いないんだよね」
「………不本意ながら、その通りです」
ガチで不本意なんだからね!
何故1週間の間が空いたかというと、学園の進級&卒業試験期間があったからだ。
気を使って頂き、ありがとうございます。
初等部の試験は基礎教養(読み書き算術)、建国史、魔法実技の3つだ。
基礎教養は前世での小中学校レベルなので、問題なし。事前に範囲を軽く復習するだけで済んだ。
建国史もこの世界を知るために読みまくっていた本の知識が役に立ってくれた。
魔法は…的をいくつか粉々に吹っ飛ばしたが、制御自体は出来ているので大丈夫だろう。
本来なら1ヶ月前位に範囲の告知があり、危うそうな学生には特別講義のお誘いなんかもあったらしいのだが、浄化遠征でほぼぶっつけ本番(特に魔法実技)状態だった。
まぁ、首席を狙っている訳では無いので進級できればいいんだ。次年度は平穏な日々を過ごすぞ。
試験の思い出話はさておき、アーデルハイド殿下がどうして俺のところに来たのか、だ。
もふもふを増やせとか言われたらどうしよう。もふ部屋とかできたら通ってしまいそうで怖いんだが。傾国のもふもふとかヤバすぎる。
どうやって切り出そうか迷っていたら、
「君とゆっくり話をしてみたかったんだよね」
と、王子スマイルで先制された。眩しくて直視できない。
「噂の君にアポイントを取ろうと思って学園に行ったんだけど、ウィスフェルメルメスと瘴気対処に意識を持っていかれたからね。君に会えたのは幸運だっよ」
「ウィス……なに………?」
「君が浄化してくれたうさちゃんだよ。アルバ教授にお願いして、うちで飼うことにしたんだ。穏やかでいい子だよ」
その「お願い」が「権力の行使」じゃ……いや、聞きたくないので言わなくて結構です。
うさちゃん、王宮で飼う許可が出たのか。よかったね。
凄い名前貰ってて一瞬思考が止まったけど、普段は「ウィーくん(ウィー様)」っていう愛称で呼ばれているらしく、長い名前いらないじゃん。とか思ったのは胸に秘めた。
「……ん?噂の君?」
うさちゃんの長い名前に気を取られてしまったが、アーデルハイド殿下が引っかかるワードを出していたな。
王族に届くほどの事をやらかした記憶はない訳では無いが、アーデルハイド殿下が来る程のものは…
「グローデン辺境伯が絶賛していた「麗しの御子様」の事だね。姿絵を見る限り学生かな、と思って教授達に話を聞きに行ったんだ」
ラウレスタ様!あんた何吹聴してんですか!?
「はー…………えっ?姿絵?」
ため息をつこうとしたら、また気になるワードに引っかかった。姿絵とか、聞いてないぞそんなの。
「これだよ。グローデン領でかなりの数出回っている。瘴気を払い、聖地に変えた御子様という事で、神に次ぐ崇拝対象になってるようだね。因みに販売元はキュレム衣料商会だ。なかなかのやり手だねぇ」
と、額装された葉書サイズの姿絵を見せてくれた。金髪に黒の瞳の麗しい少女が微笑んでいる。
うん、色々突っ込みたい所はあるけど、わかる人にはわかる俺の御子姿である。メルネ嬢ー!あんた何で俺で手広く商業展開してんだ!?
椅子に座っていなければ、膝から崩れ落ちていただろう。
「これは父上に献上されたやつなんだけどね。グローデン領の瘴気を浄化しに行くメンバーに「御子」の記載があるのは知っていたのだけど、姿絵を見た父上と側近が「誰だ?」ってザワついて大変だったよ」
はは…まぁ、そりゃあ、召喚したはずの聖女と姿が違いますからね。「あの子は誰?」ってなるよな。
………待って、陛下と側近がザワついた…?王宮には父上が……ヤバい。嫌な汗出てきた。
「…まさか…ち、父…も、これ、を…?」
「コレはアルファスまで回ってないハズだよ。管轄が違うからね」
「よかっ…」「ただ…」
「街にも出回っているから、そっちは見ているかもしれない」
終わった……やらされた女装が親バレするとか(心が)死ぬ!もう外歩けない!修道院とかに入って神に許しを乞いつつ生涯引きこもり生活しなきゃ!あ、ここ(俺の生活域)もその施設の一つじゃん…引っ越さなくていいの…逃げ場なくて詰む………好きでやったんじゃないのに…
「ふふ、かわいいなぁー」
頭を抱えて盛大に混乱する俺の姿を見ながら、アーデルハイド殿下が楽しげに微笑んでいたが、今の俺には構う余裕なんかない。
「落ちついたかい?」
「取り乱してしまい、申し訳ありません」
親バレという危機から発した状態異常(混乱)から一時的に立ち直った俺は、優雅にお茶のおかわりを飲むアーデルハイド殿下に謝罪した。
王族にみっともない姿を晒してしまった。いや、元は貴方様の弟のせい…というか、聖女召喚(ガチャ)を認めた陛下のせいですけどね!
「いいんだよ。君も隠し事の親バレで慌てるんだな、っていうのがわかったからね」
「見た目の通り、まだ遊びたい盛りの子どもですよ」
いくつになっても隠し事の親バレは恐ろしいですけどね。
「普通の子どもは聖女の身代わりで浄化の最前線に立ったり、学園の教授に瘴気対策の提案なんかしないものだよ」
「確かにそうですね」
それを言われるとぐうの音も出ない。
中身は前世込みでおじさんだからな。致し方なし。
身体年齢に引っ張られて無心に飛び跳ねたりしてたのは、一瞬だった気がする。懐かしいあの頃(現在の身体年齢13歳)
「まぁ、親バレしていたら即家族会議の案件だから、まだ大丈夫なんじゃないかな?」
「関係各位と自身の心の安寧の為に、生涯暴かれて欲しくないですけどね」
バレたら家族会議の前に突撃されるだろうな。兄上に。
「ははは、アルファスよりもラスフェルムの方が厄介そうだよね」
「全くもってその通りですね」
心を読まれたかと思った。
「さて。改めて確認なんだけど、ファルムファス君。君が御子で間違いないんだよね」
「………不本意ながら、その通りです」
ガチで不本意なんだからね!
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